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THE WORLD  作者: SEASONS
4月9日
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お帰りなさい

「ん?」



さりげなく時計に視線を向けてみると、

いつの間にか時計の針は30分を過ぎてたみたい。



そんなに長いあいだ考え事をしてたつもりはないんだけど。


何だかんだで20分以上過ぎてたようね。



「…いつの間に?」



小さく呟いていると。



「あら?翔子、待っていてくれたの?」



聞きなれた声が背後から聞こえてきたわ。



とても静かな声だけど。


声の穏やかさに反して、

どことなく嬉しそうに聞こえるわね。



時計から視線を逸らして振り返ってみると。


予想通り、沙織が微笑んでくれていたのよ。



「やっほ~、沙織♪」


「ふふっ。お帰りなさい、翔子。」



…あ。


…うん。



何気ないありふれた言葉なのに。



どうしてかな?



胸の奥で…強く、強く、響いたの。



私が一番聞きたかった言葉。


私が一番好きだった人の言葉。



沙織の想いが詰まった挨拶が。


私の心を埋め尽くしていったのよ。



「…ただいま!沙織♪」



無意識に沙織に飛びついてしまったわ。



そして。



ぎゅっと抱きしめてみた沙織の体は…すごく温かかったの。



やっぱりね。


私は沙織のことが大好きみたい。



こうして抱きしめるだけでね。


幸せだって思えたのよ。



「…待たせちゃってごめんね。」


「ふふっ。もういいの?」


「うん♪もういいの!」


「…そう。」



抱き着いたままでしっかりと頷くと、

沙織も優しく私を抱きしめてくれたわ。



そして。



それ以上何も言わずに。


ただ静かにそっと私の頭を撫でてくれたの。



…沙織らしい、かな。



沙織らしい愛嬌表現だって思うのよ。


言葉じゃなくて、

行動で示してくれているの。



「…ありがとう、沙織。」


「ふふっ。どういたしまして。」



お互いに何も言わずに抱きしめ合う。


ただそれだけで伝わる想いがあると思う。



…沙織と、友達で良かった。



そんなふうに思いながら、

何分くらいが過ぎたのかな?



ただただ沙織と抱きしめ合っていたんだけど。


しばらくしてから沙織が話しかけてくれたのよ。



「ねえ、翔子。」


「…ん?」


「おうちで成美も待ってくれているわ。一緒に来てくれるかしら?」



そんなの。


そんなの聞かれるまでもないわ!



「もちろんよ!!」


「ふふっ」



全力で頷く私を見た沙織は、

今にも泣き出してしまいそうなくらいに涙を浮かべながら優しく微笑んでくれたのよ。



「それじゃあ、行きましょう。」


「ええ!」



歩きだそうとする沙織と並んで、

久し振りの常盤家へ向かうことにしたの。



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