抱きしめていると
《サイド:御堂龍馬》
…さて、と。
彼と真哉の決戦を見届けたあと。
僕達は特風会に向かうために校舎の屋上へと移動した。
…それはまあ、良いんだけどね。
さすがに第1検定試験会場から校舎の屋上までは遠かったかな。
普段なら気にならないけどね。
今は沙織を抱きかかえているから余計にそう思ってしまったんだ。
…だけどね。
この状況に不満なんてないよ。
こうなってしまったことは仕方がないと思うんだ。
試合をする以上はどちらかが勝って、
どちらかが負けるのは当然の結果だからね。
それ自体に不満なんて言えるわけがない。
…それに。
沙織は眠ってるだけだからね。
怪我をしてるわけでもないし、
魔力が尽きたわけでもない。
だから彼を責めるつもりなんてないよ。
まあ、そもそもそんなことを考えようとも思わないけどね。
それよりも。
こうして沙織を抱きしめていると、
沙織を守ってるっていう感じがするからそれほど悪い気分ではないかな。
むしろ普段よりも落ち着いて行動できる余裕が持てているかもしれない。
…他の誰かに任せるつもりなんてないからね。
沙織にはいつも助けてもらっているから。
この役目だけは誰にも譲るつもりはないんだ。
まあ、校舎の階段を上る途中で、
体力的な限界は感じかけていたけれど。
それでも沙織一人くらいなら抱きかかえていても良い運動だったと思ってる。
大切な仲間だからね。
落とすようなことは絶対にしないし、
無理に目覚めさせるつもりもない。
しっかりと沙織を抱きかかえたままで屋上までたどり着いたんだ。
そうして屋上に着いてからすぐに、
僕達は会議室に入ることにした。




