伝えたい言葉
《サイド:深海優奈》
「ん~、まあ…そんな感じかな!」
話を終えた悠理ちゃんは、
笑顔を見せて笑ってくれました。
「面白い話じゃないから、さくっと忘れちゃってください。」
無理にでも明るく振る舞おうとする悠理ちゃんですが、
その元気はどこから来るのでしょうか?
…私なら。
私ならきっと笑うことなんて出来ません。
家族に見捨てられたらきっと。
私ならきっと。
…笑えません。
だから。
だから悠理ちゃんは凄いと思います。
心の中に絶望を抱えているはずなのに。
それを感じさせないように明るく振る舞う悠理ちゃんがとても…とても強く思えました。
「…悠理ちゃん。」
「ん?」
呼び掛ける私に微笑んでくれる悠理ちゃんの笑顔からは絶望なんて感じられません。
…だけどきっと。
この笑顔はきっと偽りです。
悠理ちゃんの本当の笑顔とは違うと思います。
今はまだ。
本心を隠さなければいけないほど心が傷付いているんだと思います。
…きっと。
心をさらけ出してしまったら生きていけないから。
泣いてしまったら立ち直れないから。
だから心を隠して笑っているんです。
…だから。
今の悠理ちゃんの笑顔は、
ただただ悲しみの裏返しのように感じてしまいました。
…だから。
出来ることなら本当の笑顔を見てみたいです。
悠理ちゃんの本当の笑顔を見たいんです。
そう思うからこそ。
悠理ちゃんに尋ねてみることにしました。
「ねえ、悠理ちゃん。これからもずっと…友達だよね?」
どうしてそんな質問をしたのかなんて自分でも分かりません。
だけど。
聞かなければいけないような、
そんな気がしたんです。
「な〜に言ってるのよ〜。当然でしょ!」
…うん。
断言してくれた悠理ちゃんの言葉が凄く嬉しく思えました。
例えホンの少しだけでも悠理ちゃんの心の支えになれていると思えたから。
それだけで嬉しく思えたんです。
例え家族に頼ることができないとしても、
私や先輩達には心を開いてくれていると思えたんです。
そのことが、すごく嬉しかったんです。
だから。
例え今はまだ見れないとしても。
私と向き合ってくれる悠理ちゃんの笑顔が、
いつか本当の笑顔になれる日がくることを…私は信じたいと思います。
「…ねえ、悠理ちゃん。」
「ん~?」
まっすぐ私を見つめてくれる悠理ちゃんに、
どうしてもこの言葉だけは伝えておきたいと思いました。
「…ずっと、ずっと一緒にいようね。」
想いを言葉にした瞬間に。
「もちろん!!」
悠理ちゃんの瞳に。
微かに涙が浮かんだような。
そんな気がしました。




