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THE WORLD  作者: SEASONS
4月9日
387/1354

スペル・デリート

《サイド:美袋翔子》



試合場で向かい合う総魔と真哉。



さすがに誰一人として、

二人の審判を務めようとはしなかったわ。



まあ、どちらかが倒れるまでの試合なんだから。


審判なんて必要ないとは思うけどね。



「…まあいいわ。開始の合図は私が出すわよ。」



二人に話しかけながら試合場の側に歩み寄ってみる。



…一応ね。



中に入るつもりはないわ。



二人の邪魔はしたくないし。


総魔も『全力』を出せない可能性があるからよ。



…総魔の本気を見るためには第3者なんて居ないほうが良いに決まってる。



そう思うからこそ、

試合場内には入らないの。



「…準備はいいわね?」



尋ねてみると。



「いつでもいい。」


「さっさと始めようぜ!」



二人は迷わず返事をしてくれたわ。



だけどね~。


それは良いんだけどね〜。



総魔は相変わらずだけど。


真哉のやる気は何なのかしら?



一度は負けてるんだから、

もっと殊勝しゅしょうな態度を見せるべきじゃない?



私はそう思うのよね〜。



「あんたは、はしゃぎすぎなのよ。」



真哉にダメ出ししてから、

右手を頭上にかかげてみる。


この手を振り下ろせば始まってしまうのよ。



真哉が勝てるとは到底思えないけどね。



だけど総魔が1位に立つことで、

本当の頂点を決める戦いがここから始まってしまうの。



今回の挑戦者は龍馬ね。


それに私と優奈ちゃんってところかしら?



…まあ、私も優奈ちゃんも総魔と戦おうなんて気持ちはないけどね。



それでも挑戦者の一人であることに間違いはないわ。



そんなことも考えながら。


私は一度だけ深呼吸をしてから、

勢いよく右手を振り下ろしたのよ。



「試合、始めっ!!!」


「よっしゃああああーーーーっ!!!!」



気合い全開で飛び出す真哉。


その手には3メートルを越える長さを誇るラングリッサーが握り込まれてる。



薄い緑色の光を放つ槍なんだけど。


風属性を極限まで高めた真哉の速度特性。


強行突破が発動するのよ。



「手加減なしだ!最初から全力で行くぜっ!!」



総魔に向けて槍を向ける真哉。


緑色の光が微かに赤みを帯びていくわ。



これは、あれよ。


突撃の前兆ってやつよ。



「これが最速の一撃だ!行くぜ!必殺、ボルガノン!!」



体勢を低くして突撃の構えを見せた真哉の最速の一撃が、

摩擦抵抗によって槍全体に紅蓮の炎を発生させていく。



炎を帯びた槍による最速の一撃が総魔に襲い掛かったのよ。



『ズドン!!』と鳴り響く重低音。



真哉の一撃は総魔の防御を突き抜けて、

総魔を後方へと弾き飛ばしたわ。



「…っ!!!」



以前よりもさらに加速した一撃。


気合も食欲?も万全の状態での全力攻撃は、

さすがの総魔も対応しきれなかったようね。



試合場の端まで吹き飛ばされた総魔は『ずざざざっ…』と、

試合場を滑ってから結界にぶつかって動きを止めていたわ。



…うっわ~。


…痛そう。



ふらつきながら立ち上がる総魔の腹部が、

かなり深くまで斬られているのが見えたからよ。



溢れ出る流血は本物で、

どう考えても演技には見えないわね。



…これはつまり。



今の真哉の一撃によって、

総魔に攻撃が通じることが証明されたということよ。



「何でもかんでも跳ね返すってわけじゃねえみてえだな?」


「ああ、残念だが魔術の操作には2秒ほどの時間が必要だからな。北条の速度に追いつけないのは事実だ。」



笑顔を浮かべる真哉に、

総魔は隠すことなく答えてた。



「はっ!随分と素直な言葉じゃねえか。降参でもするつもりか?」


「…いや。その必要はない。」



あっさりと否定した総魔は腹部の傷を治療してからルーンを真哉に向けて構え直してる。



「反撃は諦めよう。だが、俺自身の力に時間は必要ない。」



ルーンを構えたままで、真哉に警告したのよ。



「全力で逃げろ。」


「…あぁ?」



首を傾げる真哉に対して、

総魔はルーンの能力を発動させたようね。



「スペル・デリート!!」



沙織の時とは違う魔術よ。


また私の知らない力を解放した瞬間に、

小さな星のきらめきが試合場全域を埋め尽くしたわ。



…なにこれ?



綺麗だけど。


試合場の外にいるからどんな効果があるのかは分からないわ。



…まあ。



総魔がその気になったら試合場の結界ごと破壊しちゃうと思うけどね。



そうなっていないのは総魔が手加減しているからよ。



多分、だけどね。



「…なんだっ!?」



戸惑う真哉は焦りを見せてる。


試合場の外にいる私には分からないけれど。


何かが真哉を襲ってるようね。



「ちっ!?」



真哉が動揺を見せた直後にラングリッサーが消失したのよ。



「なっ!?ラングリッサーが!?」



慌ててルーンを発動させようとする真哉だけど。


どれだけ願ってもルーンは発動しないみたい。



「どういうことだっ!?」



総魔に視線を向ける真哉。


だけど総魔は何も答えないままゆっくりと真哉に歩み寄っていたわ。



…う〜ん。



真哉に何が起きているのかは分からないけれど。



…これはたぶん、あれよね?



解呪系魔術。


アンチ・スペルの強化版だと思うわ。



…って!



それどころじゃないわ!



…これってアレよね!?



生徒指導室に展開されてる封印結界と同質の魔術ってことよ!!



…強制的に魔術を解除する結界。



これは私でもどうにかできる気がしないわ。



「ちっ!!ならっ!エクスカリバー!!!」



苦し紛れの魔術だけど時間稼ぎにはなるはず。


私もそう思ったんだけど。


真哉の魔術は発動しなかったわ。



…やっぱり総魔の結界内では魔術が使えないってことよ。



そして総魔は魔術師ではなくて魔導師。



ほぼ全ての魔術が魔法として使えるはず。



…だから。



総魔が使えば封印結界内では魔術だけじゃなくてルーンも使えないということよ。



…これはもう手の打ちようがないわね。



それこそ総魔を超える攻撃が出来なければ、

太刀打ちすらできないということよ。



「くそっ!魔術が発動しないだとっ!?」



慌てる真哉のすぐ傍に総魔が接近してしまう。



そして。



ルーンを真哉に向けたのよ。



「俺の結界の支配下において、いかなる魔力も稼働しない。それが俺の力だ。もちろん、俺自身を除いてだがな。」


「…なっ!?」



驚愕に染まる真哉の表情。


これはもう勝負が決まったわね。



…やっぱり結界内では魔術が使えないのよ。



この状況を覆せる可能性があるのは龍馬か私くらい?


アルテマなら吹き飛ばせる気がするんだけど。


龍馬なら互角に戦えるのかしら?



…場合によっては。



優奈ちゃんなら影響を受けないどころか、

総魔の魔力を奪い取れる可能性があるかもね。



「全力で逃げろと言ったはずだ。」



警告の意味を説明してから、

総魔は淡々と真哉を斬り捨てたわ。



「…ぐ、はぁ、っ!?」



重傷を負って倒れた真哉。



その直後に。



沙織と同じように、

真哉の体も突然鮮血にまみれたのよ。



「ぐああああああああああああっ!!!」


「『魔力暴走』だ。その被害は残存する魔力が大きければ大きいほど破壊力を増す。」



倒れた真哉に説明した総魔はルーンを解除したわ。



同時に試合場から消え去る星のきらめき。


総魔の足元には意識を失って倒れた真哉。



これはもうね。



どう控えめに見ても総魔の勝利が確定したわね。



「試合終了っ!!」



真哉を倒したことで。


総魔は再び生徒番号1番を獲得したのよ。



ここで第2話は終わりになります。


次からは第3話ですが、

前半は再び日常パートになります。

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