だけじゃない
そしてようやく。
ようやく僕は帰ってきた!
頂点を目指して訪れた第1検定試験会場。
ここが『僕達』の目指していた場所になる。
すでに通い慣れているはずの会場なのに。
何故かとても懐かしく感じてしまうのは、
それだけ充実した時間を過ごせたおかげかな。
…降格していたのはたった数日なのに。
それなのに。
とても長い間、
離れていたような気がするんだ。
だからかな?
この場所に『帰ってきた』と思えた。
「さあ、会いにいくよ。」
彼と合流するために。
会場内へ足を進めようとしたんだ。
だけどその前に。
「先輩~!!」
背後から呼びかける声が聞こえてきた。
…この声は?
聞き覚えのある声だ。
それが誰かなんて考えるまでもない。
僕を先輩と呼んでくれる知り合いなんて一人しかいないからね。
振り返ってみると、
笑顔を浮かべながら駆け寄ってくる悠理の姿が見えた。
「悠理!」
最初の会場で別れてからずっと会っていなかったけれど。
あの頃よりも少し成長したように見えるかな。
特別何かが変わったわけじゃないけれど。
どことなく自信に満ち溢れているような、
そんな気がするんだ。
だからきっと。
悠理もどこかで頑張っていたんじゃないかと思う。
僕と同じように。
あるいは僕以上に。
悠理も努力していたと思うんだ。
「久しぶりだね。」
「はぁ…はぁ…。はいっ!先輩、お久しぶりです!」
僕の側に駆け寄って呼吸を整える悠理の表情はとても嬉しそうに見えた。
「しばらく会わないうちに成長したようだけど、今は何番なんだい?」
「4862番です!」
…ははっ!
さすがだね。
5000の壁を超えてきたんだ。
その番号は熟練者級に進んだことを示している。
…今の悠理はもう初心者なんかじゃない。
この学園において、
平均値を超えたという証でもあるんだ。
「そうか、良く頑張ったね。おめでとう」
「はい!!ありがとうございますっ!」
いい笑顔だ。
本当に嬉しそうな表情だった。
…悠理も頑張ってきたんだね。
僕や翔子だけじゃない。
もちろん彼や深海さんだけでもない。
悠理や…おそらくは武藤君も成長しているはずなんだ。
「みんな、頑張ってるんだね。」
そう思えたからこそ。
頂点という舞台を目指して、
再び会場へと視線を向けてみた。
ここが僕達の居場所なんだ。
そして。
ここが、僕の望む決戦の地なんだ。
「行こうか、悠理。」
「はい!」
悠理と一緒に。
会場内へと足を進めることにした。




