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THE WORLD  作者: SEASONS
4月3日
37/185

1年前

《サイド:美袋翔子》



総魔は図書館に行ったみたいね。


試合をするつもりがないのなら、

急いで追いかける必要はないんだけど。


あっさりと置いていかれてしまったせいで鈴置さんと二人きりになってしまったわ。


こんなに協力してあげてるのに、

当然のように取り残されてしまったのよ。



…う〜ん。



なかなか手強いわね。


どうしたら仲良くなれるのかな?


今のところ見当もつかないわ。



まあ、それでも。



今までの反応を考えると、

総魔が知らない知識がある時だけは私の話を聞いてくれるから、

新しい情報を教えるっていう立場で接していくのが良いかもしれないわね。



…ひとまず総魔は、それで良いんだけど。



今後の方針はともかく、

今のこの状況をどうするかよね。



総魔がいなくなったせいで悩んでしまうわ。


試合をしないならついていく意味がないんだけど。


すぐ隣には私と同じように置いていかれてしまった鈴置さんがいるのよね〜。



…どうしようかな~?



結局、私も鈴置さんも総魔を追いかけようとはしなかったわ。


何も言わずに見送ってしまったから、

二人きりになってしまったのよ。


まあそうなると自然にお互いの顔を見合わせちゃうわよね。



「…え〜っと…。」



どうしようかな?



…こういう時ってどう話しかければいいの?



試合に負けた鈴置さんを慰めてみる?


それとも愛想が足りない総魔の愚痴を言ってみる?



…う〜ん。



どっちも違う気がするわね。



…困ったわ。



さすがの私でも事前情報が何もない初対面の相手にどう接したらいいかなんて分からないのよ。



友達になりたいとか、

仲良くなりたいっていう目的があるわけでもないしね。



たぶんだけど、

今後関わることもないと思うし。


中途半端に慰めるのは失礼な気がするし。


どう声をかければいいのか悩むわね。



「「………。」」



微妙な空気が流れてしまう。


何も言えないまま、

数秒の時間が過ぎてしまったわ。



まあ、お互いに相手のことを知らないんだから、

会話が始まらないのも当然よね。


ちょっぴり気まずささえ感じ始める状況の中で、

どうしようかな~?なんて悩んでいたら。



「まあ、彼のことは一旦置いておくとして…。」



鈴置さんから話しかけてくれたのよ。



「それにしても久しぶりね。翔子」



…ん?


…えっ!?



なになになに!?


ど、ど、ど、どういうこと!?



予想外の挨拶だったのよ。


気さくな挨拶すぎて、

言葉の意味が理解できないくらい驚いてしまったわ。



…い、今、久しぶりって言ったのよね?



その単純な言葉の意味が分からなかったの。



…どういう事?



初対面のはずよね?


でも、久しぶりって言われたのよ?



…もしかして。



初対面じゃないの?


鈴置さんと知り合いだったりするの?



…う〜ん?



…うう〜〜〜ん??



…うぅぅ〜〜〜〜〜〜〜ん???



…ごめん。



全然思い出せないわ。


ホントに身に覚えがないのよ。



…今日が初対面のはず、よね?



そうとしか思えないから、

久しぶりと言われた意味がわからなかったの。



「「………。」」


「「………………。」」


「「………………………?」」




…やっぱり、無理〜〜〜!



何回考えても分からないのよ!


どこかで出会った覚えもないの!


顔も名前も記憶にないのよ?


それなのに鈴置さんは私のことを知ってるって、どういう事なの〜〜〜!?



…んんんん~??



ダメっ!


無理ぃ!!



全っ然、思い出せないわ。


本当に知り合いなの?



「………。」



私が返答に困ってるせいで、

思いっきり沈黙が生まれちゃってる。



「………。」



何も言わない私を不審そうな目で見てるのよ。



…でもでもっ。



でもね?


全っ然、思い出せないの。



…っていうか、誰?っていう感じ。



全く見覚えがないのよ?


思い出しようがないわ。



…どういうこと!?



分からないから、

鈴置さんの顔をまじまじと見つめてみる。


ガン見よ、ガン見。


これでもかっていうくらい思いっきり確認したわ。



それでもね。


何も思い出せないの。



…まさか人違い、なわけ、ないわよね~。



鈴置さんはちゃんと私の名前を呼んでるんだから人違いなわけがない。



この状況で。


同姓同名の誰かと間違われてるって考えるのは無理があるわよね?



私が知らないだけで向こうは知ってるっていう可能性も否定できないけど。


その場合は『久しぶり』って言われることはないはず。



そうなると、勘違いじゃないはずよね?


絶対、何処かで会ってるはずなのよ。



だけどそれがいつの話なのかが分からないの。



…思い出せないくらい昔、なのかな?



もしもそうだとすると、

考えるだけ無駄な気がしてくるわ。



…素直に聞いたほうがいいのかな〜?



そんなふうに悩みながら首をかしげていると。


見間違いじゃなくて。


確実に。


鈴置さんの表情が引きつったように見えたわ。



「…って、ちょっと!?もしかして、私のこと覚えてないのっ!?」


「…えっと、その〜…。」



この状況で『うん。』とは言いづらいわね。


だけど笑って誤魔化せる雰囲気でもないのよ。



…そうなると。



ここは素直に謝ったほうが良い気がするわ。



「…ごめん。全然覚えてないっぽい。」


「ええ〜〜〜…。」



正直に謝ってみたんだけど、

驚きのあまりに肩を落として絶句していたわ。



「…はぁ。」


「………。」



鈴置さんのため息とともに再び訪れる沈黙。


居たたまれない気まずさが一段階増した気がするわね。



だからこそ。


必死に思い出そうと頑張ったのよ?



…だけど。



やっぱり何も思い出せなかったわ。



…う~ん。



全然身に覚えがないのよね〜。


どこかで会ったことがあるのかな~?


何度も考えてみるけれど。


本気で思い出せないの。



「うぅ〜ん…?」



何とか思い出そうと努力したのよ。


小さな声でうなりながら悩み続けていたんだけど。


そうしてる間に鈴置さんの両肩が微妙に震え始めたわ。



…これは、もう、あれよね。



怒られる気がするわ。



「ったく!!もう〜!自分の対戦相手!それも自分が負けた時の相手の名前くらい覚えておきなさいよっ!!」



…えっ?


…対戦相手?



それって試合をしたことがあるっていうことよね?


それも私が負けた試合だとすると。


思い浮かぶ相手なんて数人しかいないんだけど。



…って!


…もしかして!?



私が忘れてたせいで鈴置さんは怒ってしまったけれど。


今の発言のおかげで一気に記憶が覚醒したわ。



「ああああ〜〜〜っ!!!!!!」



いまさらって思われるかもしれないけどね。



だけど。


やっと。



一年前の出来事を思い出すことができたのよ。



「あ~~~っ!!思い出したっ!」



ようやく思い出せたわ。


それと同時に。


ずっと気になっていた理由にも気づけたのよ。



「…何処かで聞いた事がある名前かも?とか思ってたのよっ!」



総魔の対戦相手の名前を聞いてからずっと気になっていたのよ。


だけどすっかり忘れてたから思い出せなかったの。



「鈴置美春〜!まだこの学園にいたの!?」



1年ぶりの再会に驚いてしまったんだけど。


私の様子を見ていた美春は両肩をがっくりと落として大きなため息を吐いていたわ。



「…はあ。思い出した直後に言うべき言葉がそれなの?…ったく、いたら悪い?」


「え?あ、ううん。ごめん。そういうわけじゃないんだけど…。」



あまりにも長い間会う機会がなかったから、

もう学園をやめたのかなって勝手に思い込んでいたのよ。



でも、そんなこと言えないわよね?


まあ、そのせいで美春のことを思い出せなかったんだけど。


こうしてまた出会えたことで去年の出来事を思い出せたわ。



…そっかそっか~。



もう一年も前になるのね。



私がこの学園に入学してから丸2年になるんだけど、

1年前の私はまだ今の総魔と同じようにセカンド・ステージにいたわ。



生徒番号としては一つ前の会場にいた頃だと思う。


正確な数字までは覚えてないけど、

3000番の後半程度だったはずよ。



そう考えると、結構状況が変わった気がするわね。


美春はこの一年の間に一つ上の会場に進んでいたみたい。


総魔に負けなければ2010番だったのよ。


現時点では1000番落ちっていう不名誉な状況ではあるけれど。


一度たどり着いた成績を取り戻すのはそれほど難しくないと思うから、

数日もあれば元の成績に戻れるはず。



うんうん。


あれからだいぶ進んでたのね~。


1年間の成績としてはそれなりの平均点って言える感じだけど、

次の検定会場に向かえる実力があることを考えれば、

すでに上位の実力者って言えると思うわ。


早ければ今年中にはサード・ステージに行けるんじゃないかな?


そこまで実力を伸ばせればっていう前提の話ではあるけれど。


2年がかりでもここまで進んできた実力は評価に値すると思うの。



…まあ、私はもっとすごいけどね〜。



この一年間で学園4位まで上り詰めたのよ。


徹底的に試合をしてきたから成績だけはいいの。


ただまあ、試合に偏りすぎたせいで勉強が追いついてないっていう問題があるのは内緒だけどね。



だから、成績だけを見れば美春とは格が違うわ。


もちろん成績に対して中身がともなってないことは自覚してるから、

成績の差で美春を見下すようなことは出来ないけどね〜。



中身は昔と変わらないし。


当時の私はまだそんなに強くなかったし。


一年前の時点ではまだ少しずつ上を目指しながら毎日試合を繰り返してる程度の実力だったのよ。



何処にでもいるようなごくごく普通の生徒だったし。


美春や他の生徒と何も変わらない日々を過ごしてたと思うわ。



だから。


私が強くなって成績を伸ばせたのはね。


きっと運が良かったんだって思ってる。



…そう思う理由があるんだけど。



運命の出会いって言うのかな?


偶然、親友と呼べるような人と出会えたからなのよ。



ホントにね。


最初はただの偶然だったの。



お互いにお互いのことなんて何も知らない状態で、

たまたま出会うきっかけがあったのよ。



…まあ、私が試合ばっかりしてたせいなんだけどね。



毎日毎日、医務室に通うような無茶ばっかりしてたから。


毎日毎日、怪我をしては治療をする。


そんな繰り返しを続けていたから。


医務室で回復魔術の勉強をしていた女子生徒と出会えたのよ。



最初の印象は真面目な子だな〜って思ったわ。


私と違って、大人しくて、おしとやかで、

何処からどう見てもお嬢様っていう感じだったから。



…だけどね。



その子は当時からすっごい有名人だったの。



私と同じ年齢で、学年も一緒。


美春もそうだけど。


私達は同じ日に入学したわ。



だけどね。


初めて会った時にはもうすでに、

彼女は成績上位者だったのよ。


誰もが憧れる一位に到達していたの。


たった一年で最高位まで上がっていたのよ!


まあ、その数日後に現在1位の生徒に敗れて成績を落としちゃったんだけど。



それでもびっくりするわよね?


同じ時期に入学したはずの人が、

私よりも遥か上にいるのよ。


それも圧倒的な成績差がついていたの。


正直に言って悔しかったわ。


こんなに毎日頑張ってるのに。


上には上がいるっていう現実を突きつけられたわけだから。



『天才ってホントにいるのね〜』なんて、

馬鹿みたいに思ったことがあるわ。



…でもね。



そんな人だって何の努力もしてないわけじゃなかったの。


むしろ私なんかよりもずっとずっと大変な努力をしていたのよ。


そんな当たり前のことに気づけたから。


私の中の印象は変わったわ。


どんなに凄いと思える人でも、

それは血が滲む思いで努力をしてきたからなんだって。


そう思えるようになったからよ。



才能なんて言葉は周りが勝手に思うことであってね。


本人は必死に努力をしていたのよ。


そのことに気付けたから、

私の中の『何か』も変わったの。



考え方とか。


見方とか。


気持ちとか。


色々なことが変わったのよ。



きっとね。


世界の見え方が変わる瞬間っていうのは、

そういう感じなのかもしれないわ。



…上手く言葉には出来ないけどね。



目標って言うのかな?



自分の進むべき道?みたいなモノが見えた気がしたのよ。



そこからは色々なことが早かったわ。



それまで伸び悩んでいたことが嘘のように成績が伸び始めて、

気が付けば最後の会場にたどり着いていたの。



親友が所属している会場に追い付いたのよ。



始めて出会った時に抱いた劣等感なんて、

その時にはすでに綺麗さっぱりなくなっていたわ。



…というか。



すでに仲良くなって大親友になっていたしね。



毎日、怪我をしてしまう私を健気に支えてくれていたのよ。


そんな相手を好きにならないわけがないわよね?



だから私は親友に追いつくために必死に努力をしてきたの。


その結果が第4位という成績なのよ。



…まあ、親友はその上にいるんだけどね。



未だに追いつけないけれど、

手を伸ばせばすぐに届くところにいるの。



努力して手に入れた『生徒番号4番』



それが私の誇りで。


私が示した結果なのよ。



…なんだけど。



美春と出会ったのは、

まだ親友と出会う前の話になるわ。



一年前のある日。


美春との出会いは丁度、去年の今頃だったと思う。



桜の花が咲き乱れる4月某日。



第5検定試験会場で当時の私よりも少しだけ番号が上だった鈴置美春に戦いを挑んだ事があったの。



だけど、結果は敗北。



僅差だったけどね。


敗北したのよ。


光魔術を駆使する美春に勝てなかったの。



接戦による僅差だったっていうのもあって、

勝てなかったことがとても悔しかった思い出があるわ。



さらに言えば学園に入学して以来、

初めての敗北だったのよ。


そのせいで落ち込んだ時期があったのを覚えてる。



だから美春の名前は絶対に忘れない!って思っていたはずなのに。


結果として完全に忘れていたわ。



まあ、落ち込んでた時期のことはあまり思い出したくなかったから、

さっさと忘れようとしたのが原因かもしれないけどね。



…まあ、一応、ね。



私だってね。


落ち込んだり、悩んだりした時期があったのよ。



ただ私の性格上、いつまでも悩んでるのは似合わないから、

前向きに頑張ろうと考えて数日後には立ち直ったの。



悩むくらいならもう一度美春と試合をして、

今度こそ勝とうと思ったのよ。


だけど、その目的は叶えられなかったわ。



運が悪かったのかどうか知らないけど。


どの会場でも美春と再会する事がなかったから。


今日まで一度も出会う事がなかったから、

綺麗さっぱり忘れていたの。



「ごめんごめん。完全に忘れてたわ。」



ちゃんと思い出せたから笑顔で謝ってみたんだけど、

ちょっぴり呆れられちゃったのかな?


美春は何度もため息を吐いていたわ。



「まあ、忘れてたのは別にいいんだけどね。だけど私は覚えていたわよ。当時はまだそうじゃなかったとは言え、今では学園の有名人になった翔子のことはね。」


「………。」



…どうなのかな?



美春の指摘に何も言い返せなかったわ。


有名人という表現が正しいかどうかは別として、

自分がとある組織に所属してることは事実だったから。


だから否定できなかったのよ。



「まあ、そういう役割も必要だと思うわよ。こういう言い方が正しいかどうかは分からないけれど、『必要悪』っていう言葉は確かにあると思うしね。」



…う〜ん。



それもどうなのかな?


難しい言葉はよく分からないけれど。


一応、褒めてくれてるのかな?



「別に悪ぶってるつもりはないんだけどね~」


「自分がどう思うかじゃなくて、周りがどう思うかでしょ?そういう意味で言えば翔子は間違いなく裏方じゃない?」



…あ〜、うん。



それも否定できないわ。


総魔の件もそうだしね。



「それは…まあ、そうかもね〜。」


「私としてはありだと思うわよ。翔子のおかげで学園の治安が維持されてるわけだから」



…そうなのかな〜?



「私は何もしてないわよ?」


「翔子の存在自体に意味があるのよ。学園でも1、2を争う美少女。そんな女の子が汚名をかぶってでも活躍してるわけだから。私の周りでも翔子を応援してる友達は沢山いるわよ。」


「お、汚名って…」



それは言い過ぎじゃない?


私だって好きでこんな事をしてるわけじゃないのよ?



どちらかと言えば、

理事長に押し付けられてるだけだしね。



「…その表現は酷くない?」


「ふふっ。」



悩む私の表情を見て苦笑する美春だけど。


それでも訂正してくれなかったわ。



「まあ、表現は色々あるとしても、翔子の知名度が学園の平和の一端を担ってるんだから、とりあえずはそれで良いんじゃない?」



…良いの?


…それで?



「…わりと良くない評価よね?」


「良いと思うわよ。少なくとも私はね。」



…そうかな〜?



汚名をかぶる行為が良いわけないと思うんだけど。


美春は笑顔を浮かべながら肯定してくれたのよ。



…う~ん。



「まあ、そう言ってもらえるのは、ちょっぴり嬉しいかも。」


「そう?でもまあ、今の翔子を見てると少し同情したくなるかもね。」



…え?



「どうして?」



話の流れが理解できずに戸惑ってしまったんだけど。


私を見つめる美春の瞳は哀れみに満ちていたわ。



「だって、今の翔子の任務は彼の説得か…あるいは…」



…あ〜、うん。


…そうなのよね。



後半の言葉は濁していたけれど。


それでも美春の言いたかった言葉はちゃんと伝わっていたわ。



「…まあ、そんな感じね。」


「どちらにしても、荷が重くない?」


「…うん。まあ、かなり、ね…。」



自分でもね。


ちゃんと理解してるつもりなのよ。


理事長から受けた任務がどれくらい面倒で、

どんなに難易度が高いかなんて、

嫌っていうほど理解しているわ。



「だから同情してるのよ。まあ、私には関係ない話だけどね。」


「うう…。その言い方は冷たくない?」


「私のことを忘れてた人には言われたくないかな。」


「あぅ…。そこを追求されると返す言葉がないわ…。」



今まで忘れていたのは事実だから。


それなのに助けを求めるのは無理があるって自分でも思うのよ。



「ふふっ。まあ、翔子は翔子で大変だろうけど、出来る範囲で頑張ればいいんじゃない?私は私で試合に負けちゃったからもう一度成績を取り戻さなきゃいけないし、会場に戻って試合をしてくるわ。」


「あ、うん。頑張ってね。」


「ええ、ありがとう。それじゃあ、またね。」



笑顔で別れた美春は、

出てきたばかりの会場に戻って行ったわ。


忘れられてたっていう事実は忘れることにしたみたい。


総魔も言ってたけど、

なんだかんだで良い人っぽかったから。


次に出会えた時は仲良くなれそうな気がするわ。



…さすがにもう忘れないわよ。



ひとまず美春のことは解決したとして、

問題はこれからどうするかよね。



「どうしようかな~?」



今のところやらなきゃいけないことって特にない気がするのよね。



総魔は図書館に行ったし。


美春を応援に行く理由もないでしょ?



「…う~ん。」



検定会場と校舎に交互に視線を向けながら、

どこに行こうか考えてみる。



「一度報告に戻ったほうがいいのかな?」



現時点でできること。


それは一つしかないと思うから。


総魔が試合をしないのなら、

報告書を提出するのが私の仕事だからよ。



「とりあえず、戻ろうかな。」



次の方針を決めたことで、

自分の役目を果たすために校舎に向かって

歩きだすことにしたわ。




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