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THE WORLD  作者: SEASONS
4月9日
368/1354

狙い撃ち

…大丈夫。



私はまだ戦えるわ。



御堂先輩がいなくなった会場。


知り合いなんて誰もいない会場で。


一人きりで拳を握り締めてみる。



…まだ、終わりじゃない。



先輩のようには戦えないから。


再び観察へと戻ることにしたの。



…だけどね。



その前にね。


ついに私が待ち望んでいた瞬間が訪れたのよ。



「…試合終了!!」



審判の声が聞こえたことで、

私は素早くすぐ傍の試合場に視線を向けたわ。



全く知らない人達が戦っていた試合場なんだけどね。



そこにいるのは勝者と敗者の二人。



どちらも面識のない人達だけど。


私はずっとこの試合が終わるのを待っていたの。



ん?


どうしてって?



もちろん私が勝ち上がる方法がここにあるからよ!



試合が終わった直後の二人の様子を確認してみる。



そして。



期待通りの展開を見て密かに微笑んでしまったわ。



…ずっとね。



ずっとこの状況を待っていたのよ。



沢山の生徒が集まる検定試験会場の中で、

私はただひたすら『連戦中』の生徒を探していたの。



理由なんて説明するまでもないわよね?



他の人たちよりも魔力が減少しているからよ。



普通に考えて、

何度も戦えば魔力がどんどん消費されるはずなの。



もちろん勝つ自信があるから連戦してると思うんだけどね。



だけど。



自信があっても絶対に勝てるわけじゃないわ。



勇ましく挑んだ結果が『敗北』ということもあり得るのよ。



…だから、ね。



ここまで考えれば、

あとはもう分かるわよね?



連戦して負けた生徒を狙い打つ。


それが私の考えた最後の作戦。



ここさえ勝ち抜ければ目標達成になるわ。



あと1回勝つだけでいいの。


そのあとのことはどうだっていいと思ってる。



今は数字さえ手に入ればそれでいいから。



だから、私は動き出したの。



御堂先輩がいなくなった会場で、

受付に向かって走り出したのよ。



今ならまだ間に合うから。


今ならまだ格下からの挑戦を受けなければいけないという義務が彼に残っていることを知っているから。



だから受付で申請するの。



「試合をお願いします!」



受付で受け取る名簿。


そこには確かに彼の名前があったわ。


そしてその名前の横に☆も★印もないことを再確認してみる。


彼がまだ格下からの挑戦を受けていないことはすでに確認していたから。


この状況は私の期待通りなのよ。



あとは彼が会場を出る前に手続きを終えてしまえば、

弱り切った彼が私の対戦相手になるはず。



「この人でお願いします!」



名簿の一覧に記された名前を指名する。



彼の名前は梅宮昌志うめみやまさし


生徒番号は4862番。



この会場だけで見ればそこまで上位ではないわ。


どちらかと言えば下の方だけどね。



だけど今はそんなことはどうでも良いの。



彼を倒せば私の番号は5000を切って、

4000代に突入するから。



だから相手は誰でもいいの。



「…試合、出来ますか?」



念の為に確認してみると、

係員は即座に答えてくれたわ。



「あ、はい。大丈夫です。梅宮さんにはこちらから連絡を取りますので、試合場Eー3番でお待ちください」


「はい!ありがとうございます。」



試合の許可が出たのよ。


こうして私の思い通りに手続きが終わったわ。



もちろん試合に勝てるかどうかは別問題だけど。


すでにまともに戦えないことは確認済みだから今なら負ける心配はないと思う。



やってることは卑怯かもしれないけどね。


こうでもしないと勝ち上がれないのよ。



私は強くなんてない。


だけど、弱いままでいたくはない。



だからせめて。


せめて数字だけでも良いから見栄を張りたいの。



そしてみんなにね。


ちゃんと頑張ったね、って褒めてもらいたいの。



そのあとのことはそのあとで考えればいいと思ってる。



実力なんて、あとからつければいいのよ。


今はただ優奈に追いつきたいだけだから。



だから、私は戦い続けるの。



…そして勝ち上がって見せるわ!!



先輩とも、また会えるって約束したんだから。



だから。



だからもう一度、会いに行きます。



今度は偶然ではなくて。


私から会いに行きます。



…御堂先輩。



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