鑑定
そしてたどり着く試合場Bー5。
私と淳弥は試合開始位置に立って、
お互いに向かい合っているわ。
真剣な表情を浮かべる私とは違って、
何故か淳弥は楽しそうに微笑んでいるわね。
「何がそんなに楽しいのよ?」
「…ははっ。」
尋ねてみたんだけど。
淳弥は笑顔を崩すことなく満足気に頷いてる。
「こうして翔子と戦える日が来るとは思ってなかったからさ。」
「…あぁ、そう。」
なんだかもう真剣に話し合うことさえバカバカしくなってくるわね。
「要するに私をボコボコにしたいわけね?」
「いや、違うぞ。そんなつもりはないんだけどな…って、もしかして翔子は俺の能力を知らないのか?」
能力?
そういえば気にしたこともなかったわね。
「全っ然、全く、微塵も知らないわ。」
「…おいおい。」
断言する私を見て、
淳弥はがっくりとうなだれてため息を吐いてる。
「…ったく。これでも一応、特風の仲間なんだから、ちょっとくらいは気にしてくれてもいいんじゃないか?」
…え~?
そんなこと言われても、ね〜。
「…だって興味ないし。」
「うお…っ!?だからその言葉は心に突き刺さるって言ってるだろ…!」
…う〜ん。
落ち込む淳弥だけど、
とりあえず気にするつもりはないわよ?
雑談がしたくてここにいるわけじゃないしね。
「…で?結局、淳弥の能力って何なのよ?」
「ああ、俺の能力か?そうだな、属性は闇。特性は鑑定。そしてルーンはライブラリーグローブだ。」
ライブラリーグローブ?
変な名前ね。
…って言うか。
グローブってどういうこと?
手袋なの?
それってルーンなの?
「全然、強そうに思えないわね」
「かもしれないな。だがまあ、見れば分かるだろ。」
ちょっぴり投げやりな感じで話を終えたわね。
まあ、私としても一から十まで教えて欲しいとは思わないけど。
ここまで意味不明な能力って珍しいわよね~。
そもそも『鑑定』って意味不明だし。
一体どんな能力なのよ?
見れば分かるって言われても、
見ても分からない気がするわ。
「とりあえず、始めようぜ。始まったら見せてやるよ。俺の力をな」
やる気満々の淳弥だけど。
私も気持ちで負けるわけには行かないのよ。
…とにかく戦ってみるしかないわね!
心に強く言い聞かせて淳弥と向かい合う。
そうして気合を入れていたら、
静かに歩みを進める審判がそっと右手を掲げたわ。




