圧縮魔術
美春との試合を終えたあと。
次の会場を目指すために検定会場を出ようとしたのだが。
「ちょっと待ってよ〜!!」
試合場に置き去りにしていた翔子が再び駆け寄ってきた。
「…って言うか!毎回毎回、置いていかないでよねっ!」
大声で文句を言いながら必死に追いかけてくる。
そして今回も強引に手を引かれてしまったせいで、
足を止めることになってしまった。
…はぁ。
「またか?」
「当然♪」
若干呆れながら確認してみると、
しっかりと頷いた翔子はまっすぐに俺を見つめながら宣言してきた。
「ちゃんと説明してもらうわよ!!」
どうやら今回も振り切るのは無理なようだ。
先ほどの試合に関して徹底的に追求するつもりなのだろう。
俺の都合などお構いなしに強引に話を聞こうとしている。
「それで?今度は何をしたの?」
………。
問いかけてくる翔子を無視するのは難しい。
面倒だが、今回も説明するしかないだろうか。
そう思った矢先に、
さらなる人物が近づいてきた。
「あ、あの…。ちょっとだけ、いいかしら?」
まだ怯えているのだろうか?
少し声を震わせながら緊張の面持ちで話し掛けてきたのは先ほど試合を棄権した鈴置美春だった。
…要件は聞くまでもないな。
追いかけてきた理由は何となく推測できる。
おそらく翔子と同様の疑問を解決するために追いかけてきたのだろう。
一目でわかるほどの恐怖を心に抱えたまま、
今にも泣き出しそうな表情を見せながらも、
美春は必死の覚悟で歩み寄って来た。
…面倒が増えたな。
正直に言えば放っておいてほしいと思うのだが、
はっきり断ったとしても諦めはしないだろう。
簡単に諦めてくれるのであれば、
そもそも追いかけて来なかっただろうからな。
…どうするべきだろうか?
少し悩んだが、
どう足掻いても結果は変わらないように思える。
翔子にしても、
美春にしても、
適当にあしらって納得してくれるほど物分りが良いようには見えないからな。
ある程度の時間を費やしてでも、
きっちり説明しなければ満足するとは思えない。
…面倒だとは思うが、仕方がないか。
どうせ足止めを受けるなら一人も二人も手間は同じだ。
美春を追い払ったところで翔子に説明する時間が短くなるわけではない。
だとすれば美春がいても大差はない。
そもそもの前提として二人に説明する必要があるのか?という部分にはまだかなりの疑問を感じているところだが。
そこを追求しても無駄なのは既にわかっているからな。
どうせ説明しなければならないのなら、
美春も交えてさっさと問題を解決したほうが良いだろう。
「一応聞くが、俺に何か用か?」
試合から逃げ出した美春がいまさら俺の話を聞いて何の意味があるのか?と疑問に思いながらも問いかけてみると。
まだまだ不安を感じさせる表情の美春は、
ゆっくりと呼吸を整えてから先ほどの試合に関して問いかけてきた。
「…一体、あれは何だったの?」
その一言だけが精一杯だったのだろう。
美春の声は哀れみを感じるほど震えてしまっている。
…表情に緊張と不安が滲み出ているな。
それでも知りたいのだろうか?
表情からもはっきりと読み取れるのだが、
試合の恐怖がまだ心の奥底に残っているのだろう。
美春の瞳にはうっすらと涙が浮かんで見える。
おそらく今こうして話し掛けるだけでもかなりの勇気を振り絞っているはずだ。
そんな美春の姿を確認してから隣にいる翔子にも視線を向けてみると、
翔子は翔子でいつもと同じように早く説明しろと言わんばかりの視線を俺に向けていた。
…面倒が2倍になったな。
いちいち全てを説明する必要はないのだが、
それでも二人を無視して次の試合に向かうのは難しそうだ。
振り払うのは簡単だが、
すぐに追いかけてくるだろうからな。
確信はないが、
この二人ならどこまででも追い掛けてきそうな雰囲気があった。
というよりも。
俺の行き先がすでに確定しているからな。
ここで二人を置き去りにしても次の検定会場で足止めを受けるのは目に見えている。
だとすれば。
どれほど面倒でもさっさと説明を済ませて二人を納得させた方が話が早い。
「仕方がないな。一応聞くが、何が知りたいんだ?」
念の為に質問の内容を確認してみると。
「「もちろん、全部よっ!!」」
美春と翔子の声が見事に重なった。
「…だろうな。」
色々と諦めたくなる心境で小さくため息を吐いてから、
もう一度ゆっくりと二人の表情を眺めてみる。
「「………。」」
何も言わないが、二人の目は真剣そのものだ。
本気で説明を要求している。
こうなったら話すしかないだろう。
…あまり自分の能力を解説するのは気が進まないが。
二人を納得させるために、
しぶしぶ説明を始めることにした。
「まず、最初の疑問からだが、ホワイト・アウトに関してはすでにある程度理解しているのか?」
試合内容を説明するうえで理解しておかなければならない基本から尋ねてみると。
二人は揃ってほぼ同時に頷いた。
「もちろん理解してるわ。」
「私は噂でしか知らないけれど、魔術を吸収できるっていう話は聞いてるわ。」
今までに何度も説明してるから翔子が知っているのは当然だが、
美春はまだ噂話程度でしか知らないらしい。
それでも霧の魔術がマジック・ドレイン・フィールドという話は聞いているようだ。
「それなら一応、説明しておくか。」
本来なら自分の能力を対戦相手に解説する事などありえないのだが、
二人の勢いに負けて説明することにした。
まず始めにホワイト・アウトからだな。
任意の範囲内に白い霧を生み出す防御結界になる。
この霧はあらゆる魔術を強制的に魔力に分解する力を持っている。
その特殊な効力によっていかなる属性も意味を成さない。
結界に触れた瞬間にあらゆる魔術が魔力に分解されてしまうからだ。
攻撃、防御、回復、援護。
あらゆる魔術が分解されてしまう。
そして分解された魔力は俺の力として吸収されることになる。
「魔術の分解を行うのがホワイト・アウトの特徴といえるだろう。」
もちろん魔力そのものも吸収できるからな。
霧の内部に魔術師本人が飛び込むのは自殺行為以外の何ものでもない。
「直接魔力を奪うこともできるが、その場合は相手よりも自分の実力が上でなければならない。だから現状では今ここで霧を発生させたとしても、美春の魔力は奪えるが翔子の魔力は奪えないだろうな。」
現時点ではまだ霧の能力は翔子に通じないと思っている。
もしかしたら魔術を分解することすら難しいかもしれない。
「状況や相手によって有効性が変わってしまうが、魔力を吸収するための結界がホワイト・アウトになる。」
その原理に関しては独自の技術なので詳細まで教えるつもりはない。
二人も魔術の理論に関してまでは無理に聞き出すつもりがないのだろう。
美春も翔子も技術的な部分に関しては触れなかったからな。
だから説明を聞いたとしても、
理解出来た内容はそれほど多くはなかったはずだ。
それでも試合に関して説明するとすれば、
重要な要点をまとめると次のようになる。
まず最初に。
結界に向けて放たれた魔術は根源である魔力に分解されるため、
魔術としての形と力を失ってしまう。
そうして分解された魔力は俺の自由に扱う事が出来る。
魔力を吸収して蓄える事も出来るし、
再び魔術に戻して打ち返す事も出来る。
ただ、反撃に使用するには一つだけ制限があった。
分解した魔力を再び魔術として発動する為には、
俺自身が魔力を魔術に変換しなくてはならないという点だ。
霧の結界が自動的に魔術を発動させる事は出来ないからな。
魔術を使いたければ、
あくまでも正規の手順によって魔術を発動させる必要がある。
だから結界自体は俺を守るための壁でしかない。
攻撃する力を持っているわけではないからだ。
相手の魔術を反射する事は可能だが、
それは俺の意志によって行われている反撃であって結界の本質ではない。
では何故、俺が何もしていなかったのに美春の放った魔術が美春自身に返ってきたのか?
その理由が第二の魔術であるエンジェル・ウイングの能力にある。
「次にエンジェル・ウイングに関して説明しておく。」
発動した魔術は天使の翼を模倣した形を持っているが、
形状そのものに意味はない。
重要なのは能力であって形自体はなんでも良いからな。
求める能力を実体化するうえで翼の形が最も相性が良かったというだけにすぎない。
光り輝く純白の翼。
そこに与えられた能力。
それは魔術の『高速化』。
ただそれだけだ。
もちろん、それだけだと言っても簡単な話ではない。
単純にいきなり発動するのではなく、
発動そのものに仕掛けがあるからな。
それが魔術の『高速発射』になる。
いかに早く魔術を発動させて相手に命中させるか。
徹底的に速度を追求した結果がエンジェル・ウイングの能力だ。
『先手必勝』
それが俺の求める能力だった。
「翼は魔術の起動と発動を瞬間的に行うための補助役でしかない。」
魔術を魔力に、
そして魔力を魔術に変換出来る力があるからこそ使える魔術なのだが。
魔力そのもので形作った翼の一部を魔術に変換して打ち出すことを目的としている。
その理論こそが魔術の高速起動と高速発射だ。
二種類の高速化という特性を持った翼によって、
ありとあらゆる魔術が視界に映ることがないほどの『速射性』を実現した。
「純粋に速度を追求した魔術だと思えば良い。」
魔術の高速化がエンジェル・ウイングの主能力になる。
そしてその能力こそが美春が反撃を受けた理由でもある。
美春が手も足も出せずに敗北したのは翼の特性によるものだ。
「美春への攻撃は翼が行っていた魔術の高速射撃だ。」
とはいえ。
翼も無条件で魔術を発動出来るわけではない。
俺の意志に従って発動出来るだけだ。
だから高速化を実現した翼と言えども、
自動的に魔術を発動出来るわけではない。
「だったらどうして総魔は何もしなかったのに魔術が発動したのよ?」
当然疑問に思う翔子に結論から答える。
「だからこその実験だ。」
あいまいな説明ではあるが、
その言葉によって美春は理解できたらしい。
「なるほどね。つまり私との試合は魔術を自動的に発動させる為の実験だったという事ね?」
「その通りだ。」
美春の推測を肯定したことで、
二人はようやく話が中核に近づいている事に気付き始めたようだな。
「結界だけでは出来ない。そして翼だけでも出来ない。だが二つを組み合わせれば、不可能が可能になる。」
「どういう事なの?」
さらに追求してくる美春にも分かるように説明を続けていく。
「二つの異なる能力を連動させることで魔術が循環するということだ。」
霧の結界は魔術を『吸収』出来る。
天使の翼は魔術を『発動』出来る。
この二つの特性を合わせることによって、
俺が手を出さなくても自動的な反撃が可能になった。
その一連の流れを説明すると次のようになる。
第一に、霧の結界で吸収した魔術を魔力として吸収せずにそのまま翼へと受け流す。
第二に、翼は魔力そのものという性質によってあらゆる魔術に対応することができるため、
受け取った魔術さえも自在に発動出来るようになる。
第三に、翼の特性として奪った魔術も高速発射される。
これが全ての答えだ。
「分かるか?」
魔術を発動させるのではなく、
発動している魔術を使用する。
それこそが何もせずに魔術が発動するというからくりだ。
「これで納得できたか?」
もう一度問い掛けてみると。
魔術の説明を聞き終えた二人は困惑の表情を浮かべながらもそろって感心のため息を吐いていた。
「う~ん。なんとなく?」
「私も、それなりに、っていう感じかしら」
ここまで説明してもまだ理解が及んでいないらしい。
「言いたいことはわかるんだけどね~。でも、じゃあ、どうすればそれが出来るの?っていうところが曖昧なのよね~」
「私も同じかな?納得は出来るけど、理解はできないっていう感じだと思う。というよりも、やってることが凄すぎて『魔術を吸収してるから出来る』って言われても、『ああ、そうなんだ』とは簡単には言えないわね」
…まあ、そうだろうな。
本来なら実現不可能と言われている魔力の吸収。
それだけでも異常事態と言えるからだ。
二人の常識からは掛け離れた現象だろうからな。
そのうえで魔術の高速反射ともなると、
説明そのものは納得できても実際の仕組みまでは理解できなくて当然だ。
「凄いとは思うんだけど、凄すぎて理解が追いつかないっていうのが正直なところかも」
それが美春の正直な感想らしい。
「私も無理~。高速化とか言われても、何で出来るの?っていう感じ」
翔子もお手上げといった雰囲気で考えることを放棄している。
さすがに理論ではなく概念を説明しただけでは理解が及ばないらしい。
だからと言って全てを教えるつもりはないからな。
これ以上の説明は更なる混乱を招くだけだ。
通常なら有り得ないと定義されている魔術をどうやって実現しているのか?という部分に興味津々な様子の二人だが、
そこまで詳しい理論を語るつもりはない。
「魔術の構成に関しては、知りたければ自分で考えろ。」
そこまで説明する義理はない。
「説明は以上だ」
はっきりと宣言して会話を打ち切ろうとしたのだが、
ここで翔子の口から気になる言葉が飛び出した。
「まあ、吸収の理論が秘密なのは仕方がないとして。翼に関しては圧縮魔術の応用っていう感じなのかな?」
…圧縮魔術?
また知らない言葉が出てきたな。
不意に呟いた翔子の言葉の中に、
聞いたことのない単語が含まれていた。
『圧縮魔術』
初めて聞いた言葉によって、
微かな疑問を感じた瞬間。
俺の表情の変化に気が付いたのだろう。
翔子が誇らしげに微笑んでみせた。
「んん~?あれあれ~?」
すかさず問いかけてくる。
「もしかして、圧縮魔術のこと知らないの?『教えてほしい』っていう顔をしてるわよ〜?」
…ちっ。
悔しいが些細な表情の変化に気付いたらしい。
俺の弱みを握ったと言わんばかりの表情で笑顔を浮かべている。
その笑顔には少々苛立ちを感じるが、
ここで言い争うことに意味はないからな。
事実として何も知らない以上。
大人しく話を聞いておいたほうが自分のためになるはずだ。
「…そうだな。興味はある。」
「おっけ~♪じゃあ、教えてあげるわね!」
素直に興味があると認めたからだろうか。
楽しそうに上機嫌で語り始めた。
「って言ってもまあ、正直な話、圧縮魔術だけだと翼の理論には辿り着けないんだけどね〜。」
別物だと前置きをしているが、
それでも聞いておくべきだろう。
「一応、私が知ってる範囲内で説明するわね。」
翔子の知る圧縮魔術。
それは魔術の発動に関して、
前提条件である『詠唱』を略式化する技術らしい。
通常の手順なら、
①詠唱によって力ある言葉を繋ぎ
②魔術という形を想像して
③魔力を媒介として
④現実に干渉して発現する。
という幾つかの手順が必要になる。
だが、魔術師にとって詠唱というのは必ずしも必要な手順というわけではない。
詠唱とはあくまでも魔術を形作るための補助的な役割でしかないからだ。
ある程度の実力さえあれば詠唱を行わずとも
無詠唱で瞬時に魔術を発動する事が出来るようになる。
だがその方法はかなりの訓練が必要になるからな。
翔子のように実力のある魔術師であっても、
まともに使えるのは比較的簡単な魔術でしかないらしい。
上位の魔術でも詠唱を省略して使えるようにする方法は現在も研究されている段階という話だ。
そのため。
今はまだ無詠唱は実用化されていないらしく、
無詠唱の代わりに考えられた理論が圧縮魔術という技法になる。
「言葉で言ってしまうと結構簡単に思えるんだけどね〜。」
圧縮理論を簡単に説明するとすれば、
発動寸前の魔術を術者の意識に維持したまま保存しておくという方法だそうだ。
言葉にしてしまうと確かに簡単なように思える。
だが実際にはそんな簡単な話ではないだろう。
話を聞いた限りでは、
圧縮魔術の理論もかなりの訓練を要するからな。
誰でも使えるわけではないはずだ。
それでもある程度の熟練者であれば使える可能性があるらしい。
「魔術を発動寸前で維持してるから、いつでも好きな時に使えるっていうのが圧縮魔術の最大の特徴ね。」
なるほど。
一通りの説明を聞き終えたことで、
おおよその内容は把握出来た。
「確かに翼の理論に近い部分があるだろう。だが、近いというだけで全く別の理論だな。」
即座に発動できるという点では近しいが、
保管しているわけではないからな。
いつでも好きな時に使えるという利点は存在しない。
「まあ、そうでしょうね。だけど、魔術の高速起動という部分ではかなり正解に近いと思うんだけど…。」
否定はしないが肯定もできない。
似て非なる理論だからな。
その結果として答えにたどり着けない翔子は頭を悩ませている。
そんな翔子の隣で、
黙って話を聞いていた美春が口を開いた。
「言いたいことは分かるけど、魔術を維持してるわけじゃないから根本的に考えれば別物じゃない?」
「ん~。まあ、そうなんだけど~。でもそこを否定しちゃうと他に似たような技術なんて思い浮かばないのよね~」
結局、何も分からないらしい。
二人は頭を抱えるような仕草で思案を繰り返しているのだが、
説明としてはもう十分だろう。
聞かれたことには答えたからな。
これ以上の説明を繰り返す必要はない。
いつまでもああでもないこうでもないと話し合う二人は放置して、
ひとまずここから離れることにした。
「説明は終わったからな。用が済んだならもういいな?」
問いかけはしたが返事を聞くつもりはない。
二人が何かを言い出す前にさっさとこの場から離れることにする。
なぜなら、先を急ぐ理由が出来たからだ。
…いや。
調べなければならないことが増えたからとも言えるな。
二人に説明することによって特をしたことは何もないが、
ここで時間を費やしたことによって一つだけ得られたものがある。
その情報を調査するために。
次の検定会場ではなく、
校舎側の施設に向かうことにした。
…もう一度向かうか。
圧縮魔術がどういうものなのか?
調べてみる価値があると思ったからだ。
次の試合を行う前に圧縮魔術に関する調査をしてみたい。
そう考えて歩き出そうとしたのだが、
方角的に会場に向かわないことに気づいた翔子が再び話しかけてきた。
「ん?あれ?そっちは校舎方面よね?次の会場とは方向が違うけど、どこに行くつもりなの?」
………。
毎回思うことだが、
一々答える必要はない。
だが答えなければ強引に付いてくるだろうからな。
さっさと答えた方が得策だろう。
それにこれまでの翔子の行動を考えれば、
会場以外に向かう場合は監視の目が緩む可能性がある。
どこに向かうかを伝えておけば、
しばらくは一人にしてくれるかもしれない。
そう考えて一言だけ『図書館』と答えると、
今度は美春が話しかけてきた。
「もしも圧縮魔術に関して調べるつもりなら、基本の魔導書じゃなくて特殊魔術に関する魔導書を探さないと見つからないわよ。」
ほう、そうか。
この情報はありがたいな。
以前翔子が助言してくれた特殊魔術の一種らしい。
「分かった。情報に感謝する」
別れ際に教えてくれた美春に振り返りはしなかったものの。
感謝の言葉だけは告げて、
さっさとこの場から離れることにした。
「じゃあな」
二人がこれからどうするつもりなのかは知らないし興味もない。
だがこれでようやく一人になれると考えて、
今日二度目の図書館に向かうことにした。




