暗黒
《サイド:黒柳大悟》
「すばらしい!!」
俺は素直に感動していた。
不確定要素の多い実験だったのだが。
彼は…御堂君は完璧に期待に応えてくれたからだ。
『暴力』という名の特性を、
俺は実験の中で実感することになった。
…ただの想像ではなかったのだ。
妄想でも夢物語でもない!
彼の能力は本当に存在し。
実力を実証して見せたのだ!
天城君の能力も信じ難い圧倒的な能力だと思ったが、
御堂君の能力も負けず劣らず素晴らしい力を秘めている。
少なくとも御堂君のルーンは俺の知る限りでは最高位と言えるだろう。
天城君のルーンは未確認だが、
御堂君のルーンは決して彼に劣るような物ではないと思う。
かつての支配特性であるエンペラーソードと比べても圧倒的に能力を向上させた細身の剣。
ありとあらゆる魔術を破壊し。
如何なる結界をも切り裂く刃。
少なくともこの研究所において、
御堂君のルーンに斬れない物は何一つとして存在しなかった。
まさしく圧倒的な暴力。
冷酷なまでの力に相応しき破壊力を彼は実証して見せたのだ。
「さすがだ、御堂君!現時点においては、あの天城君を越えているかも知れん!!」
称賛する俺に御堂君は照れ臭そうに微笑んでいた。
「いえ、まだまだ彼には及ばないと思います」
謙遜する御堂君だが、
これ程の力を見せられたら疑う余地などないだろう。
ルーンを使える御堂君とルーンを使えない天城君。
二人の実力差は現時点では御堂君が上回っているはずだ。
俺はそう判断している。
「御堂君の成長は素晴らしいの一言に尽きるな」
たった3日だ。
僅か3日で潜在能力に気付いてルーンまで作り上げたのだ。
御堂君の成長は驚きに値する。
「その力で頂点を目指すのか?」
「はい!そのつもりです。」
尋ねる俺に御堂君はしっかりと答えてくれた。
「彼に追いつき、乗り越える為に。僕はこの力で戦いたいと思います。」
自信たっぷりの笑顔だった。
彼の表情に迷いは見えない。
「ならばあとは、天城君の成長次第というところだな。」
「ええ、そうですね。」
強い意志を感じる御堂君の瞳。
彼の瞳にはすでに天城君の背中が見えているのかもしれない。
「すぐに挑むのか?」
「いえ。まだ、このルーンを使いこなせていないのも事実です。だからもう少しだけ、練習を重ねてから上を目指そうと思います。」
「…そうか。まあ、確かに今すぐは時期尚早かもしれないな。完璧に使いこなせるようになってから挑む方が確実だろう。」
「はい!」
俺の言葉に頷く御堂君。
そんな彼に一つだけ聞きたいことがある。
「最後に一つ、聞いても良いか?」
「はい。何でしょうか?」
素直に疑問を浮かべる御堂君に…俺は問い掛ける。
「そのルーンの名は?」
「ルーンの名前…ですか?」
御堂君は少しだけ考えてから答えてくれた。
「…ダークネスソード、でしょうか。」
…ふむ。
総てを司る『支配』の特性とは異なる新たな力。
彼が第2のルーンに付けた名前は『ダークネスソード』
『暗黒』を意味するその名前に。
御堂君の『心』が見えた気がした。




