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THE WORLD  作者: SEASONS
4月8日
341/1354

光の治癒魔術師

で、何故か来ちゃった試合場Eー1。


会場の端っこにある試合場で、

美春と試合をすることになったのよ。



「それじゃ、張り切って行きましょうか」



軽く準備運動をしながら話し掛けて来る美春の表情には緊張感のカケラも感じられないわね。



「随分と余裕じゃない?」



もしかして本気で私に勝つつもりでいるのかな?



そう思って尋ねてみると。



「誰にだって弱点の一つや二つはあるものよ。運が良ければ私だって翔子に勝てるかもしれないわ。そうは思わない?」



美春は笑顔を崩さずに答えてた。



弱点?


私の?


何かあるの?



若干の不安を感じるけれど。


その答えはわからないわ。



「まあ、結果は試合が終われば分かることだし。気楽に行けばいいんじゃない?」



余裕を見せる美春は笑顔で試合開始を待ってる。



う~ん。


不思議な感じがするわね。



何故か、私の方が緊張してきたのよ。


負けるはずがないのに。


何故か、心の中の不安が消えなかったの。



「準備は良いですか?」



審判の声を聞いて、

気持ちを切り替えてみる。



今は試合に集中しないとね。


自分に言い聞かせて美春と向き合う。



「いいですね?それでは、始めっ!」



試合開始直後に詠唱を始める私と美春。


僅かに私の詠唱が先に終わったことで、

先手を打って魔術を発動させたわ。



「フレア・アロー・レイン!!」



無数の炎の矢が頭上に現れて、

美春に向かって雨の如く降り注ぐ。



数百に及ぶ炎の雨よ。


降り始めた炎の雨に対して、

美春は表情を返ることなく冷静に魔術を発動させてく。



「シャイニング・スパーク!!」



美春の魔術が発動した瞬間に、

両手から光が放たれたわ。


そして。


勢いよく爆発した光が炎の雨を吹き飛ばしてしまったのよ。



光属性の中でもわりと高度な魔術ね。


ほぼ同威力を誇る魔術のぶつかり合いによって、

私の炎はあっさりと掻き消されたわ。



だけど。



「やばっ…!?」



慌ててしゃがみ込んだ私の頭上すれすれを美春の光が通り過ぎていったのよ。



私の魔術は一定範囲内だけど。


美春の魔術は広範囲だから。



私の魔術を相殺した美春の魔術は私にまで届いてしまったのよ。



うわぁ~。



私も得意とする光属性の魔術だったから効果範囲を把握して回避出来たけれど。


そうじゃなかったら私の方が被害を受けていたかもしれないわ。



そんな焦りを感じている間に、

美春の次の魔術が完成したみたい。



「やっば…!」



慌てる私に美春は遠慮のカケラもない笑顔で魔術を発動させてくる。



「行くわよ、翔子!ホーリー!!!」



…って、うわっ!?



なんて魔術を使うのよ、美春はっ!



慌てて逃げ出す私に、

容赦なく光の雷が降り注ぐ。



次々と降り注ぐ光の落雷。


絶望的な破壊力によってぶざまなほどあっさりと吹き飛ばされてしまう私の体。



全身がしびれるような感覚を感じながらも、

必死に体勢を立て直そうとしてみたけれど。


懸命にもがいてる間に、

次の魔術が襲い掛かってくるのよ。



…ちょ…っ!?



さすがにそれはまずいってばっ!!



慌てて魔術の詠唱を開始してみる。



…お願いだから、間に合って~っ!!



全力で詠唱を急いでみたけれど。



「あらら~残念でした。」



美春の魔術が先に完成してしまったようね。



「ちょっと間に合わないと思うわよ?」



宣言してから魔術を発動させる美春。



その魔術は…。



「オーラっ!!!!」



ホーリーに並ぶ光属性最強の魔術だったわ。



全ての破壊の力を一点に集約した最強の一撃が私に向かって飛んできたのよ。



「う…わ…っ!」



この時点で私は昔の出来事を思い出したの。



鈴置美春すずおきみはる


今も昔も変わらず、

『光属性』を得意とする治癒魔術師。



私は…。


私も得意とする魔術によって、

無念の敗北を重ねることになってしまったのよ。



…ああぁぁぁ~っ!!!



…ったく、もう…っ。



絶大な破壊を巻き起こす爆発の中心で、

2度目の敗北を実感したわ。



「…く…ぅ…っ…」



宙高く舞う私の体。


破壊が静まったあとで重力に引かれて墜ちていく私の体を…



「…よいしょ…」



美春は受け止めてくれたようね。



だけどその直後に、

私は意識を失ったみたい。



そして薄れていく意識のどこかで…



「…って?思ったよりも、翔子、重っ!」



美春の声が聞こえた気がしたわ。



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