噂の少女
「やっと見つけたわ」
探していた人物を発見したことで声をかけてみると。
私の呼び掛けに気付いた天城君は足を止めて振り返ってくれたわ。
「久しぶりだな。俺に何か用か?」
「ええ、そうよ。用があるから捜していたの。」
ようやく天城君に出会えたわけだけど。
彼の隣には見慣れない少女がいるわね。
見た感じ大人しそうだけど。
とっても可愛らしい女の子だとは思うわ。
リボンの色から判断して新入生なのは間違いないでしょうね。
彼と共に行動している新入生の美少女。
うん。
これは間違いないわね。
今ここにいる彼女が『噂の少女』だということはすぐにわかったわ。
すでに大悟から報告を受けているから、
名前と特徴くらいは覚えているのよ。
「少し話がしたいんだけど良いかしら?」
歩みを止めた二人に近付いてみると。
「………。」
噂の少女は人見知りをする性格なのかしら?
彼の後ろに隠れるように移動してしまったわ。
…あらあら。
怯えさせてしまったようね。
私としては怖がらせるつもりはないんだけど。
警戒されているのがはっきりと感じられるわ。
もしかして敵だとでも思われているのかしら?
特に嫌われるようなことをした覚えはないんだけど。
覚えてないだけで、何かしてたとか?
う~ん。
どうかしらね。
単純に他人と関わるのが苦手なだけだと思いたいんだけど。
…でもね~?
一応、私のことは知ってるはずよね?
天城君と同様に入学式を覚えてないって言うなら話は別だけど。
ちゃんと話を聞いていたなら、
私のことを覚えているはずなのよ。
とりあえずはその辺りから確認してみるべきかしら?
初対面の彼女にどう接していけばいいのかを考えながら。
一度、挨拶してみることにしたわ。
「こんばんわ。こうして話をするのは初めてだけど、私のことは覚えてるかしら?」
「え?あ、は、はいっ。あ、あの、理事長さん、ですよね?」
「そうそう。私は理事長なんだけど、そんなに緊張しなくてもいいわよ?ちょっと話があるだけだから」
理事長の権威がどうとか、
年上を敬いなさいとか、
そんなつまらないことで威張り散らすようなつもりは全くないわ。
だからそんなに警戒しないでもらえるかしら?
なんてね。
言いたいことは色々と思い浮かぶけれど。
何か言えば余計に怯えられてしまいそうで言いづらいわね。
今は、そっとしておくべきかしら?
あまり怯えさせないように微笑んでから、
まずは肝心の天城君と話し合うことにしたのよ。




