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THE WORLD  作者: SEASONS
4月7日
322/1378

勝利の方程式

「準備はいいですか?」


「いつでもどうぞ」



尋ねてくる審判に余裕の笑顔を浮かべる桑原だけど。


私は一言も喋らずに静かに頷いたわ。



「それでは、試合始めっ!!」



合図と共に詠唱を始める私に対して、

桑原は余裕ぶって私の詠唱に耳を傾けてた。



「初歩的な魔術だな。相手にするまでもない」



うるさいわねっ!


私には私の考えがあるんだから、

黙って戦えばいいのよ!



心の中で叫びながら詠唱を終える。


だけど、発動させずに桑原に向かって走り出すことにしたのよ。



「はぁ!?何がしたいんだ?」



突然走り出した私を見て驚く桑原だけど。


困惑する桑原を無視して、

私は一直線に駆け寄っていく。



距離をとろうとする桑原だけど。


接近する私の手が、桑原の体に届く。



「おいおい。物理的な攻撃は意味がない…」



余裕ぶって私を見下す桑原の言いたいことはわかるわよ。


確かに結界内部では物理攻撃は無効化されるわ。



だけどその無効化は『物理攻撃』ならっていう話であって、

そうでなければ攻撃出来るのよ。



つまり。


桑原に右手を突き出して、

『直接』魔術をぶち込むってことよ。



「ファイアー!!!」



『ドンッ!!』と掌底と同時に叩き込む初級火炎魔術。


この一撃は確実に直撃したわ。



「ぐ、あっ…!?」



調子にのって何もしなかった桑原に、

炎の鉄拳をお見舞いしたのよ。


もちろん私の右手も炎の影響を受けて火傷をしてるけれど。


油断している桑原に攻撃することには成功したから満足よ。



「くそがっ!?」



炎を払い消して立ち上がる桑原の表情は怒りに満ちてる。



「女だと思って甘く見ていればっ!」



怒りをあらわにする桑原だけど。


その様子を私は冷静に観察し続けた。



…今の一撃は決して弱くはないはずよ。



確かに初歩的な魔術だし、

それほど効果は期待出来ないけれど。


確実に影響を及ぼしているはずなの。



実際、桑原の動きが目に見えて低下してる。


まともに歩くことさえ辛そうに見えるわ。



だからと言って油断できる状況ではないけれど。


桑原から逃げるように距離をとって、

新たな魔術の詠唱を始めておく。



だけどまあ、さすがよね。



私の魔術が完成する前に桑原の魔術が完成してしまったわ。



「もう手加減しねえ!食らえっ!!サンダー・ボール!!!」



雷撃を帯びた光の球が桑原の手に現れて、

私に向かって放たれたのよ。



放電する雷の玉。


当たれば一撃で負けるのは確実ね。



そう思いながらも私は詠唱していた魔術を発動させることにしたの。



…この一瞬を狙っていたからよ!



全ての力を込めて魔術を発動させる。



進むべきは直線上。


目標は桑原。


狙いはただ一つ!!



「ウインド・クラッシュ!!!」



突風を起こすだけの魔術。


だけど、それだけで十分なのよ。



強風が生まれ、真っ直ぐに吹き付ける。



そして、向かい来る雷撃を飲み込んで、

その角度を強制的に変えたわ。



180度の転回。


突風に吹かれたことで、

雷撃の球が進行方向を変えたのよ。



「…な…っ!?」



驚く桑原だけど、もう遅いわ。



反転して桑原へと向かう雷撃はもう止まらないはず。



私に向かって放たれた雷の玉は、

術者である桑原本人に直撃するのよ。



「ぐ…う、あっ…あああああああああっ!!!!!!!!」



絶叫の雄叫びをあげる桑原は、

自分で作り出した雷撃を受けて試合場に倒れたわ。



「くっ。何故、だ?何故、俺よりも先に詠唱を始めたお前が…?」



悔しそうに言葉を紡ぐ桑原は自分自身の雷撃の影響で動けないみたいね。


だから私は勝利を確信しながら桑原に話してあげたの。



「ずっと見ていたからよ。これまでのあなたの戦いもずっとね。だから知っていたの。あなたはきっとその魔術を使うってね。今まで全ての試合でその魔術を使っていたでしょ?だから、私は考えたの。今の私にあなたを倒せる魔術はないけれど、あなた自身の魔術なら、あなたを倒せるはず…ってね。」



淡々と告げてみる。


それが良かったのかどうかわからないけど。



桑原は全身を襲うしびれに耐え切れずに徐々に意識を失っていったわ。



「試合終了!勝者、近藤悠理!」


「…よしっ!!」



小さく拳を握り締める。


予想していた通りの展開だったからよ。



一気に順位を上げることに成功したわ。



危険な賭けだったとは思うけどね。


予定通り『桑原の力を利用して』一撃をぶち込むことに成功したのよ。



とっておきの大魔術なんて私にはない。


特筆するほどの才能も何もない。



だけど、こんな私でもね。



戦い方さえ工夫すれば格上の相手を倒すことが出来るのよ。



そのことを私は実証してみせたの。



卑怯だって言われても構わない。


格好悪くたって良い。


私には才能なんてないんだから。



だから周りにどう思われたとしても。


私はこうして勝ち上がっていこうと思うの。



相手を知り、自分に出来る最善を尽くせば勝ち目は十分にあるはずだから。



それが、私の戦い方なのよ。



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