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THE WORLD  作者: SEASONS
4月7日
313/1354

今の番号は

《サイド:御堂龍馬》



とりあえず今は行くしかないね。


一人になった僕はひとまず武藤君に歩み寄ることにしてみた。



彼の試合はまあ、予想通りの敗北だ。



惨敗と言ってもいいほど圧倒的な敗北だっただろうね。



試合場に倒れ込む彼の姿は哀れにさえ思う。



だけど、それでもね。



武藤君は決して諦めた様子を見せないんだ。



今は負けても次は必ず勝つと言いたげな表情を見せている。



どれだけ負けても。


決して挫折しない武藤君の想い。


その心だけは認めてあげたいと思うかな。



「やあ、調子はどうだい?」


「師匠!!」



話しかける僕に気付いた武藤君が笑顔で立ち上がった。


傷付いてふらつく足取りだけどね。


それでも決して弱音を吐かない武藤君の心の強さだけは見習いたいと思ってる。



「帰ってきてくれたんですね!!!」



全力で喜びを表現してくれるのは良いんだけどね。


さすがにその呼び方はどうかと思うんだよ。



「えーっと、その…。師匠は止めてくれないかな?」



頼んでみたけれど。


彼は全力で首を左右に振ってしまった。



「いえ!師匠は師匠だから、師匠なんです!!」



…うーん。



よく分からないけれど。


呼び方を変えてくれるつもりはないらしい。



これはもう仕方がないのかな?



あまり人の意見を聞き入れる子じゃないからね。



真面目な子だから礼儀正しくはあるけれど。


その反面として一度決めたことには全力なんだと思う。



それが長所であって、

短所でもあるんだけどね。



「ずっと、一人で頑張ってたのかい?」


「もちろんです!」



彼は全力で頷いてくれた。



「1秒でも早く悠理に追いつく為には、休んでる暇なんてありませんから!!」



力強く宣言する彼の意気込みは素晴らしいと思う。



…思うんだけどね。



その理由は止めてあげてほしい気がするかな?



まあ、他人の恋愛に口を出すつもりはないけどね。



…だけど。



さすがにね。



多少、悠理が可哀相な気はするよ。



でもまあ、今はそのことは関係ない。



僕は彼に協力することを約束したんだから、

彼が強くなれるよう手を差し延べればいいだけなんだ。



そう判断して、改めて尋ねてみることにした。



「それで、あれから番号に変化は?」



尋ねてみると彼は言いにくそうに俯いてしまった。



「その…。せっかく勝ったのに、挑戦されて番号を奪われてしまいました」



挑戦?



それが誰かは知らないけれど。


何があったのかはすぐに理解できた。



ようやく上げた1勝だけど。


彼は誰かに試合を挑まれて敗北したということだ。



ほぼ最下位の彼に戦いを挑む生徒はそう多くはない。



おそらく3、4人程度だ。


僕や翔子、そして彼が持っていた最下位の番号は既に他の生徒に移動してる。



先程天城総魔に倒されて、

暫定最下位の生徒は治療中だと思うけれど。


それ以外の誰かに敗れたということだろうね。



「今の番号は?」


「12397です」



彼は申し訳なさそうな表情のままで答えてくれた。



だけど。



…21397番?



その番号には身に覚えがあった。


僕に与えられた最初の番号だからだ。



そして僕が最初に倒した生徒に移った番号でもある。



おそらく武藤君はその生徒に敗北して番号を奪われたということだ。



そしてそれは同時に最下位の一歩手前ということになる。



武藤君の下にいるのは、

天城総魔に敗北して火傷の治療をしているはずの横山瑛太だけだからね。



その横山瑛太にさえ敗北必至の武藤君をこのまま放っておけば再び最下位という名の不動の地位を手にするのは目に見えている。



…そうなる前に何とかしないといけないね。



彼を鍛え直すことが可能かどうか?



正直に言ってかなり疑問は感じるけれど。


このまま見捨てるというのも気が引けるからね。



出来る限りのことはしてみようと思ってる。



「とりあえず行こうか?」


「はい!まだまだ頑張りますっ!!!」



武藤君は笑顔で頷いてくれた。



…ホントに、不思議な子だね。



全力で歩き出す彼を見ていると。



…どうしてかな?



僕もやる気が出てくるんだ。



学園最弱の彼をどこまで強く出来るのか?


僕自身も興味が沸いてくる。



「次は勝てるといいね。」


「はいっ!」



まずは行動すること。


そのために僕は武藤君と一緒に受付に向かうことにしたんだ。


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