用がなくても
《サイド:美袋翔子》
う~ん。
前から思ってはいたけど総魔ってホントにとんでもない男よね~。
龍馬に勝っただけでも凄いのに、
それでもまだその上を目指そうとしてるのよ?
私なんかじゃ一生辿り着けないような遥かな高みだと思うわ。
…って、もしかして?
総魔はまだまだ本当の力を隠し持っているのかも?
…なんてね。
そんな気がしちゃうわね。
もちろん優奈ちゃんの『吸収』の能力も要注意って言えるわ。
だけど総魔と比べるとまだまだ恐れるほどの相手じゃないとも思うのよ。
…まあ、負けた私が言うのも何だけどね。
でもね?
優奈ちゃんにはまだ勝てる自信があるのよ。
最初から知っていればそれなりの対応ができるわけだしね。
動揺して攻撃を受けるようなドジはしないわ。
それでもね〜。
総魔にはどう考えても追いつける気がしないのよ。
そもそも戦うつもりはないんだけどね。
そんなふうに考えながらも、
全ての現実を受け入れて自分の心に言い聞かせてみる。
総魔に追いつけなくても良い…ってね。
ただ総魔に認めてもらえる存在でありたいの。
それだけが私の願いなのよ。
「まあ、あとは実際に見た方が早いかもね」
ひとまず席を立つことにしたわ。
「ここで話していても強くなれるわけじゃないし。そろそろ会場に向かわない?」
提案する私に同調するように、悠理ちゃん、龍馬、優奈ちゃん。
そして最後に総魔が席を立ってくれたわ。
沙織は会場に向かう必要がないから、
黙って私達に視線を向けてる。
だけど…どうなのかな?
用がなくても観戦は自由だと思うのよね。
「沙織も一緒に行かない?」
尋ねてみたけど、沙織は首を左右に振ってた。
「ごめんね。午後も研究室に戻るつもりで準備をしていたから一緒にはいけないの。」
あ~、うん。
そっか。
それじゃあ、しょうがないわよね。
申し訳なさそうに頭を下げる沙織を見てると、
なんだかやっぱり私の方が申し訳ない気持ちになってくるわ。
「いいのいいの。そんなに気にしなくていいから!じゃあ、またあとで研究所に迎えに行くからね♪」
「ありがとう、翔子。待ってるわね」
「うん♪それじゃあ、またあとでね~!」
沙織に背中を向けて歩きだすことにしたわ。
優奈ちゃんと悠理ちゃん。
そして龍馬と総魔を引き連れて、
検定会場に戻ることにしたのよ。




