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THE WORLD  作者: SEASONS
4月7日
294/1440

そうですね

そして午前11時26分。



もうすぐお昼の時間ですね。


実験室を出たあとで、私達は所長室に集まりました。



私は先程と同じソファーに総魔さんと並んで座っています。



すでに実験は終了していますので、

今はそれほど緊張してません。



…ただ。



今でもまだ詳しいことは分かりませんので、

この場に居づらい場違いのような雰囲気は感じたままだったりします。



ですが。


それももうすぐ終わると思うことで、

少しは気持ちに余裕が出てきました。



「どうぞ、ゆっくりしてね。」



西園寺さんが優しく微笑みながらお茶を用意してくれました。



「あ、ありがとうございます…っ。」


「ふふ」



…うわぁ。



西園寺さんの笑顔に見とれてしまいました。


それくらい素敵な笑顔だったんです。



「…尊敬しちゃいます。」


「ん?」


「あ、いえ…っ。何でもないですっ。」



大人の余裕と言うのでしょうか?


凛とした雰囲気で仕事をこなす西園寺さんが素敵すぎて、

ついつい思ったことを呟いてしまったのですが。


西園寺さんに不思議そうに見られてしまいました。



「す、すみません…っ。」



怯えてばかりの私とは違いますね。



「…素敵な人だな…って、思ったので…。」



小声で呟いてばかりだったのですが、

それでもちゃんと聞こえていたのでしょうか。



「ありがとう。そう言ってもらえるのは嬉しいわ。」



優しく微笑んでくれたんです。


そして。



「すっごく良い子じゃない。健気で可愛いわね〜。」



直ぐ側にいた藤沢さんが楽しそうに笑っていました。



大人っぽい冷静な雰囲気の西園寺さんと違って気さくな雰囲気があるのですが、

藤沢さんも人当たりの良さそうな優しいお姉さんという感じがします。



「その…藤沢さんも…素敵だと、思います。」



私と違って明るく元気な方ですので、

羨ましいと思うのです。



「お二人とも…格好良いです…。」


「「………。」」



…あれ?



なにか、変なことを言ってしまったのでしょうか?



正直な感想を伝えてみたのですが、

二人共固まってしまったというか戸惑っているように見えました。



「…す、すみません…っ。」



怒らせてしまったのかと思って、

すぐに謝ったのですが。



「ふ、ふふっ…。あはははははっ!」



何故か藤沢さんに笑われてしまいました。



「ホントに面白い子ね〜。私はともかく、つばめを褒めるなんて、見る目があると思うわよ。」



…つばめ?



今更ですが些細な疑問を感じました。


それが西園寺さんの名前なのでしょうか?



西園寺つばめ。


素敵な名前だと思います。



「…微妙に気になる言い方ね、瑠美るみ。何か言いたいことでもあるのかしら?」


「え〜?何もないわよ〜。ただ、研究しか出来ない私達みたいな干物系女子を素敵だって言ってくれたんだから、素直に喜びなさいよ。」


「…ひ、干物…?」



西園寺さんの表情が引きつって見えました。



…えっと。



どういう感じでしょうか?


怒っているというか。


困っているというか。


愕然としてる、という感じでしょうか?



ですが。


そもそも干物系ってどういう意味でしょうか?



…初めて聞きました。



悠理ちゃんなら知っているでしょうか?



何となく今は聞きにくい感じがするので、

あとで聞いてみようと思います。



「ま、まあ良いわ…。」



気持ちを切り替えたのでしょうか?



西園寺さんは私の隣に座っている総魔さんにもお茶を差し出していました。



「どうぞ」


「ああ、すまない」



短く返事をしてからお茶を受け取る総魔さんにも微笑んだあとで、

西園寺さんは藤沢さんにもお茶を差し出していました。



「あとで話し合う必要がありそうね?」


「まあまあ、気にしない気にしない!」


「………。」



楽しそうに笑い続ける藤沢さんに冷たい目を向ける西園寺さんでしたが。



「…気になるっていうことは、自覚があるっていう証拠なのよ?」


「…くっ。」



藤沢さんの指摘に反論出来ずに悔しがっているように見えました。



「違うなら気にならないはずだしね〜。」


「そ、そうよね…。」



藤沢さんから離れて、

空いている席に座った西園寺さんは目を閉じて何度も深呼吸を繰り返していました。



「…ふう。」



西園寺さんの手には暖かいお茶が握られています。



…ですが。



あれ?



今度は先程とは違う疑問を感じました。


自分の席に座っている所長さんの手元にはお茶がないからです。



「ふむ。西園寺君?」



私と同じ疑問を感じたのでしょうか?


所長さんが西園寺さんに話し掛けています。



「俺の分のお茶は用意されていないようだが?」


「…ええ、そうですね。ご自分でどうぞ」



所長さんの問い掛けに対して、

西園寺さんは一切の感情を見せずに即答していました。



「「「………。」」」



西園寺さんの一言で沈黙する室内。


所長さんは何も言わずに席を立って、

自分でお茶を入れています。



…なんでしょうか?



この感じは?



色々と気になるのですが。


誰も気にしていない様子でしたので、

聞いてはいけない気がしてしまいます。



あとでこっそり総魔さんに聞いてみようかな?



なんて思ったりもしたのですが。


ひとまず所長さんも席についたことで、

ようやく実験について話し合うことになりました。



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