魔術の変換
《サイド:深海優奈》
あうぅ~。
これからどうなるのでしょうか?
新しく配置が変更された実験場は先程までとは違って、
普段試合場で見るような強固な結界が実験場を包み込んでいます。
そして今、結界の中にいるのは3人だけです。
私と総魔さん。
それと所長の黒柳さんです。
これから行う実験は私ではなくて総魔さんが行いますので、
本来なら私はいないほうがいいと思うのですが。
総魔さんから今後の勉強の為にと言われてしまって私も実験場に残ることになりました。
…ですが。
それでも危険だからという理由で少し離れた場所で待機しています。
その結果として。
今は試合場と同じように、
総魔さんと所長さんの二人が向かい合いながら距離をとって立っています。
この状況で実験を行うみたいです。
詳しい内容は分かりませんが、
これから始まる実験は『魔術の変換』だと所長さんは言っていました。
詳細までは理解出来なかったのですが、
一通りの実験の内容は聞いています。
実験の目的は一つだけだそうです。
所長さんの放つ魔術を総魔さんが受けて、
受けた魔術を全く別の魔術に変えることが出来るかどうか?という実験らしいです。
本当に総魔さんに『操作』の能力があれば、
所長さんの魔術は総魔さんの力によって別の魔術に『変えられる』みたいです。
失敗すれば魔術の直撃を受けてしまって大変なことになってしまうのですが。
今は実験の成功を信じて二人の姿を眺めることにしました。
「よし。そろそろ準備も出来る頃だろう。天城君はどうだ?」
「問題ない」
たった一言だけ答えた総魔さん。
それだけで所長さんは満足なようです。
そして西園寺さんへと振り返った所長さんは、
短い確認を終えてから総魔さんに視線を戻しました。
「さて、それでは始めようか…」
真剣な表情を浮かべています。
少し緊張感がありますが、
私が何かをするわけではないので特に不安はありません。
「一応言っておくが、この実験において手加減は必要ない。俺もそうだが、きみも全力を出し切るつもりで望んでもらいたい。」
「ああ、分かっている。もちろんそのつもりだ」
手加減はしないと告げる所長さんに、
総魔さんはしっかりと頷いていました。
総魔さんと所長さん。
お互いに向き合う二人。
…今…。
新たな実験が始まろうとしていました。




