状況的に
《サイド:黒柳大悟》
『コンコン…』と、扉を叩く音が聞こえたことでそちらへと視線を動かしてみた。
時刻は朝の9時を少し過ぎた頃だな。
「誰だ?」
尋ねる俺に返ってきた声は聞き慣れた人物のものだった。
「天城総魔だ。話がある」
…ふむ。
堂々と答える彼の言葉を聞いた瞬間に心臓の鼓動が加速した気がした。
…どうも彼に関しては緊張してしまうな。
今度は何の話だろうか?
興味と期待が俺の心の中に広がっていく。
…面白い話が聞ければいいんだが。
そう思いながら、
扉の向こうにいる姿の見えない彼に声をかけることにした。
「入ってくれ。」
入室を促した直後に『ガチャッ』と扉が開かれた。
そして扉の向こうから姿を見せたのは天城総魔と…誰だ?
小さな疑問を感じながらも席を立った俺は部屋の中に入って来た二人をひとまずソファーへと案内することにした。
「自由に座ってくれ」
声をかけると天城君はいつものように遠慮なく席についた。
その隣にそっと腰を下ろす見慣れない少女は、
どこか不安気な表情を浮かべながら落ち着かない様子でキョロキョロと辺りを見渡している。
全く面識はない人物だったが、
一目である程度の性格が予想出来てしまうな。
良く言えば大人しい感じだが。
悪く言えば地味で目立たないと言えるだろう。
そんな印象を受けた。
「今日はどんな用件だ?」
二人の正面に腰を下ろしてから、
天城君に話し掛けてみる。
そして問いかけながらも、
彼の隣に座る少女へと視線を向けてみた。
「察するに、彼女が関わっているようだが」
見慣れない少女がいるからな。
彼が何の意味もなく、
見知らぬ人物をここに連れて来るとは思えない。
だからこそ状況的に考えて、
この少女に関することで話があると判断したのだ。
そんな俺の視線から逃げるように視線を逸らす少女は人見知りする性格なのだろうか?
助けを求めるような視線を彼に向けて、
落ち着かない様子のまま彼の言葉を待っている。
…ふむ。
これからどんな話が始まるのだろうか?
期待と疑問を感じながら、
彼の言葉を待つことにした。




