他の女と
《サイド:美袋翔子》
…で。
何が何だかよく分からない展開のまま、
試合場Cー8に移動することになったわ。
私と龍馬は二人の試合の見学のために試合場まで様子を見に来たのよ。
近藤悠理ちゃんと武藤慎吾君。
二人の関係はイマイチ分からないけど。
だからって放置するのも気が引けるっていうだけの理由でついて来たの。
…だけど、ね。
正直に言えば私の心の中は、
観戦どころの騒ぎじゃなかったわ。
…だって。
だって、ね?
…総魔が。
総魔が『他の女』とどこかに行ってしまったのよっ!?
その事実だけが、
私の思考を埋め尽くしているの。
ぬあああああああああ~~~~~~っ!!!!!!!!!!
どうしてこんなことになってしまったの!?
今頃何処で何をしているの!?
気になって仕方がないのよっ!!!!
…うぅぅぅ。
…総魔ぁぁぁぁ。
どこにいるの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?
今すぐにでも研究所に行ってみたいけど。
一緒には行けなかったのよ。
気になるけど。
気になるのに。
来なくて良いって言われちゃったのよ!?
…私はただ一緒にいたかっただけなのに。
無駄だって言われちゃったのよ。
もちろんね。
今からでも行こうと思えば行けるのよ?
…でも、ね?
こっそり様子を見に行きたいけど。
偵察や監視は二度としないって心に誓ったことを忘れるわけには行かないの。
自分自身の誓いを放棄してまで総魔を追い掛けることは出来ないわ。
…だから。
だからねっ!!!
胸騒ぎが収まらないのっ!!!!!
…でも、ね。
…まあ、ね。
そんな急に…。
今日中にどうこうなんて…。
ありえないとは思うんだけどね。
だからって言ってね。
気楽に放って置けるほど、
優奈ちゃんの存在は甘くないと思うのよ。
油断した瞬間に総魔を奪われかねないの!!
そんな恐怖と不安が心の中を渦巻いているのよ。
どうしたらいいの〜〜〜〜っ!?
思考が定まらないわ。
焦りが体中に広がってく。
絶望感だけが私の精神を支配していくのよ!
…あぁぁぁぁぁ。
…総魔ぁ。
…早く。
…早く帰って来てぇぇぇぇ。
なんて。
全力で祈る私の願いが届くわけもなく。
一向に総魔が戻る気配はなかったわ。
…って、いうか。
研究所に向かったのなら、
移動時間だけでも足りないのよね?
実験を考慮すれば確実に午前中は潰れてしまうはずなのよ。
…うあぁぁぁ。
…総魔ぁぁ。
目茶苦茶になる私の心。
…なんだかもう。
ため息さえでないわ。




