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THE WORLD  作者: SEASONS
4月7日
263/1389

独り言

《サイド:美袋翔子》



時刻は午前7時頃かな?


今日も総魔と合流する為に、

男子寮の前で待ち続けているところよ。



相変わらず場違いな雰囲気を感じちゃう男子寮の前。



女子の私が一人でポツンと門の前に立ってる姿はとても淋しげに見えるかもしれないわね。



実際にどう思われてるかは知らないけれど。


通り過ぎていく男子達がチラチラと私の方に視線を向けているのは分かるわ。



まあ、自分で言うのも何だけどね。



見た目だけならそれなりに自信を持っているのよ。



学園でも5本の指に入るくらい?


現にそういうふうに数えられてることも知ってるわ。



私と沙織を含んだ5人が『学園を代表する美少女』っていう話題を聞いたことがあるからよ。



まあ、毎年変動する評価だけどね。


話を聞いた時はあまり気にしてなかったんだけど。


その時の候補には芹澤里沙と鈴置美春の名前もあったと思う。



…って、あれ?



この時点で一応、美春の名前を聞いたことがあったはずなのよね~。


それなのに完全に忘れてたとか、

美春には申し訳ない気がするわ。



まあ、今更言っても仕方がないんだけどね。


ちなみに最後の一人は生徒会の副会長だったかな?



名前はなんだっけ?


会長は里沙のお兄さんだから印象に残ってるんだけど。


副会長とはあまり面識がないからいまいちはっきりとは覚えてないのよね~。



確か…八重倉やえくら美乃里みのりさん?だったと思う。



見た目だけで言えば沙織に匹敵するくらいのお嬢様風な人だったけど。


性格が最悪だった気がするわ。



まあ、私達に対してだけかもしれないけどね。



普段はどうか知らないけれど。


特風とは徹底抗戦って感じのトゲトゲしい人なのよ。



だからあまり関わりがないし。


どういう人なのかは知らないわ。



個人的には興味もないしね。


で、それはそれとして。



こうして毎日男子寮の前に立ってると、

嫌でも色んな男子達の注目を浴びるのよね~。



一応、今のところ私に話し掛けるような生徒はいないけど。



それはそれでむなしい気もするかな?



だからって声をかけられても鬱陶うっとうしいだけなんだけど。



…だけど、ね?



全く声をかけられないっていうのも一人の女としてどうなの?って気がするわよね?



まあ、他の男子のことなんてどうでもいいんだけどね。



総魔さえ見てくれればそれでいいわけだし。


その他大勢に見られてもしょうがないわ。



なんてね。



そんなくだらないことも考えながら総魔が出て来るのを待ち続けてるわけだけど。



肝心の総魔の姿はまだ見えないわね。



ずっと玄関の方に視線を向けてるけれど。


全然出てくる気配がないのよ。



まあ、会場が開かれるのは午前8時からだし。


まだ時間があるから来るのが早かったのかもしれないわ。



…って、言うか。



そもそも総魔はすぐに会場に向かう気があるのかな?



昨日の続きで図書館に向かう可能性も高い気がするわよね。



う~ん。


今日はどうするのかな~?



色々と考え事をしてると時間が過ぎるのが早いのよね〜。


それでもやることがないから暇つぶしがてらに考え事をしちゃうんだけど。



…ん?



不意に目の前で一人の男子生徒が足を止めたことに気づいたわ。



この状況でナンパ?


総魔以外の男子なんて興味ないんだけど。


一体どんな生徒が近付いてきたのかな?



…って!?



視線を上げて見たら、

目の前に立っていたのは総魔だったわ。



…えぇぇぇ?



あれっ?


いつの間に出てきたの!?



突然現れた総魔に驚いちゃった。


そんな私の頭の上に右手を置いた総魔がポンポンと撫でてくれてる。



それ自体は嬉しいんだけど。



だけどね?



総魔の表情は何となく呆れてる?ように見えたのよ。



…どうしてかな〜?



なんて。



ちょっぴり悩んでいたら。



「考え事か?あまりブツブツと独り言を言っていると誰も近寄らないぞ。」



総魔が理由を教えてくれたのよ。



…だけど、ね。



………。


……。


…。



一瞬、ね。



総魔が何を言っているのか分からなかったわ。



独り言を言ってる?



そんなつもりは全くなかったのに?


自分でも気付かないうちに声に出してたの?



だとしたら。


ちょっぴり恥ずかしくなっちゃうじゃない。



だって。


だって!


だって!?



もしも口に出してたとしたら、

当然総魔にも聞かれてたってことよね?



その辺り、どうなのっ!?



ものすごく気になるんだけど!!



なのに。



総魔は特に気にせずに私の頭を優しく撫でてから、

さっさと歩き始めちゃったのよ。



「…あ、待って!」



すぐに後を追って話しかけてみる。



「どこに行くの?」



本当は独り言に関して聞きたかったけどね。


聞いたら聞いたで恥ずかしくなりそうだから、

ここはあえて何もなかったことにしたのよ。



あえてよ?


本当よ?


無視されたわけじゃないからね?



「もう検定試験会場に行くの?」


「いや、まずは朝食が先だな。会場にはそのあとで行くつもりだ。」



あ~、うん。


やっぱり行くのね。



図書館じゃなくて会場に行くって総魔は言ったわ。



つまり、さっそく始めるってことよ。


頂点を目指す戦いってやつをね。



その第一歩になる試合なんだけど。


もちろん私も戦うつもりでいるわよ。



まあ、力を封印したくらいでファースト・ステージで苦戦することは有り得ないんだけどね〜。



その気になれば3桁くらいまでなら、

今日中に到達できるはずよ。



…と、言うよりも。



現状でもね。


いきなり100番くらいの生徒と戦っても勝てる程度の自信はあるわ。


指輪の影響で私達は『かなめ』と言える力を失った状態だけどね。



それでもね。



私達が弱くなったって言っても、

他の生徒が強くなったわけじゃないのよ?



だからある程度までは簡単に勝ち上がれるって気楽に考えているの。



「会場に行くのはいいけど、どこの会場を目指すの?」



流石にファースト・ステージはないわよね?って思ったから聞いてみたんだけど。



「最初から順番に進めるつもりだ。今の俺達に必要なのは勝ち上がることではなく、能力を探り当てることだからな。」



迷うことなく即答で答えてくれたわ。



「あ~、そっか。」



総魔に言われて納得したのよ。



勝ち上がること自体に意味はないのよね?



ただそれだけなら力を封印した意味がないからよ。



『新たな力を見つけること』



それを最優先って考えるのなら。


どこの検定会場かなんて大した問題じゃないわ。



一つでも多くの経験をしておいた方が結果的に自分達の為になるからよ。



そう考えて、もう一度総魔に話し掛けてみる。



「で、一晩考えて何か思い付くことはあったの?」


「いや、まだだ。前回と同様に実際に試合を進めながら自分にあった能力を探していくつもりでいる。」



総魔の言う前回。


それを私はこの目で確認しているわ。



最初に霧の結界を作り上げて、

次に天使の翼を作り上げたのよ。



そして最後にルーンを、って感じね。



その全てが試合を重ねる事に調整されて、

最終的には龍馬を打ち負かすくらいに完成されていったのよ。



だから、あの時のように。


総魔は再び試合の中で何かを探そうとしているみたい。



「私にも出来るかな〜?」


「まずは行動してみるしかない。全てはそこから始まる」


「そうね。とりあえずやってみないことには分からないよね。」


「ああ」



頷く総魔を見て、私は試合に向けて心を引き締めたわ。



絶対に強くなる!ってね。



その気持ち忘れないようにしながら、

ひとまず総魔と並んで食堂に向かうことにしたの。



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