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THE WORLD  作者: SEASONS
4月6日
239/1390

妄想全開

《サイド:美袋翔子》



…ん?


…あっ!



私と総魔が一足先に昼食を始めていたら、

しばらくしてから沙織が帰ってきたのよ。



「お待たせしました。」



いつもと変わらない笑顔で私の隣の席に座る沙織が手にしているのはサンドイッチと紅茶を載せたお皿だったわ。



昼食に限って言えば、

沙織もサンドイッチを食べてることが多いと思うのよね。



だけど私と違って、

まだそっちの方が栄養はあるかもしれないわ。



…私が手にしてるのはまあ、アレよ。



美味しいけど栄養は全く期待できない糖分たっぷりの菓子パンなのよ。



中くらいの揚げパンと、おっきなドーナツ。


そして手の平と同じくらいのメロンパンよ。



どれも栄養素には欠けるわね。


でもまあ、あまり気にしてないわ。



いつもの事だしね。



…ただ。



私と似たようなものを食べてるはずなのに。


優雅な手つきでサンドイッチに手を伸ばす沙織の仕種には何故か気品すら感じるのが不思議なのよね〜。



もう見飽きるくらい見てるのに。


ほぼ毎日一緒にいるのに。


何回見ても不思議なのよ。


どこからどう見ても完璧なお嬢様なの。



実際にはお金持ちの家に生まれたわけでもないし。


どこかの国のお姫様でもないけどね。



それなのに。



上品な雰囲気を醸し出す沙織は別世界の存在に思えるわ。



…そんな沙織に対して。



菓子パンにがっつりかぶりつく私の姿は気品とか優雅なんて言葉とは程遠いでしょうね。



自分でも思うのよ。



…育ちの違いって感じ?



生まれ育った環境の違いって

こういう所に現れるのかもしれないわ。



…だから、ね。



さりげなく総魔に視線を向けてみたのよ。



…どうなのかな?



全くと言って良いほど何を考えているのか分からない総魔だけど。


やっぱり総魔も沙織みたいな人が好みだったりするのかな?



「………。」



全く表情に変化を見せない総魔は私の視線にさえ気付いていないのか、淡々と食事を続けているわ。



うぅ~ん。



どうなのかな~?



と、言うか。



気づいてないというよりも、

気にされてないっていう感じがするのよね。



…う〜ん?



総魔はどういう女の子が好みなのかな?



とんでもなく気になる疑問なんだけど。


聞いてみたところで、

返事は期待出来ない気がするわ。



たぶん。


興味ないとか言われちゃいそうだし。



でもね。


でもね!


でもね!?



それでもね。



私みたいに元気だけが取り柄?みたいな子とか。


沙織みたいな、お嬢様?とか。


成美ちゃんみたいな、可愛さ全開!の女の子とか。


理事長みたいな、女王様?な感じとか。


美春みたいな、愚痴を言いながらも優しくしてくれる子?とか。



何か少しくらいは情報が欲しいのよ。



そうすれば、ちょっとくらいは総魔の好みに近付けたり…なんて。



思ったり!


考えたり!


妄想したり!



するんだけどねっ!!



…って。



何だか話が逸れてきてる気がするわ。



心の中の葛藤を押さえ込みつつ。


こっそり沙織に視線を向けてみる。



ただそれだけのことなのに、

何故かすぐに気付かれてしまったのよ。



「どうしたの?」


「ぇ!?ぅ、ううん!?何でもないわっ!」


「そう?」



不思議そうに私をみつめる沙織。


何故か心臓のドキドキが止まらない。



どうしてか分からないけど。


沙織には何もかも気付かれているような気がするのよ。


出来る限り勘付かれないようにしてきたつもりなのに。



…もしかしてバレバレなの?



うぅ~。


頭を抱えたくなる心境でジンワリと涙目になっちゃう。



恥ずかし過ぎて頭がパニックになりそうだったのよ。



…どうか気付いていませんようにっ!!



必死に心の中で願いつつ。


不意に浮かんだ疑問で話題を変えることにしたわ。



「そう言えば、龍馬はどうなったの?」


「あら?言ってなかったかしら?龍馬なら、もうすぐ来るはずよ。」


「…あれ?そうなの?」



首を傾げてみる。


もしかして妄想全開で大暴走してたから聞こえてなかったのかな?


それとも普通に会話に出てこなかったのかな?



どっちかわからないけど。


龍馬の話は全く記憶になかったわ。



まあ、別にいいんだけどね。


龍馬も来るのなら、

ちょっぴり真面目な話が出来るのかな?



そんなふうに考えながら待っていると。


5分もしないうちに龍馬が姿を見せたわ。



「ごめん、お待たせ」



遅れてきたことを謝りながら総魔の隣の席に座る龍馬だけど。


今日は定食を選んできたみたいね。



総魔と違って、

ちゃんとしたおかずがお盆に並んでいたわ。



…うんうん。



これは、あれね。


おかずの内容から予想すると総魔とは対極に位置する『満腹定食Aランチ』と見た!!


全てが大盛で、なおかつ栄養バランスを徹底的に追求した学生ご用達の逸品!



お値段的には格安定食の4倍お高いんだけど。


見た目も量も完璧だから、

いつも以上に総魔の定食が寂しく見えちゃうわ。



…まあ、総魔は気にしないんだろうけど。



それよりも。



普段はあまり食欲旺盛とは言い難い龍馬なのに、

満腹定食を選んで来るのは全く想像してなかったわね。



「今日は珍しく食べる気満々じゃない?」


「色々あってちょっと疲れててね。しっかり食べておいた方がいいかなって思ったんだよ。」



珍しかったから聞いてみたんだけど。


龍馬は照れ臭そうに笑っていたわ。



…ふ~ん。



何かあったのかな?


よくわからないけど。


しっかり食べたいって言ってから龍馬も食事を始めたのよ。



でもまあ、満腹定食って言ってもそんな馬鹿みたいに特盛とかそういうことじゃないから普通に食べれる量だとは思うけどね。


他のテーブルの生徒も同じような定食を食べてるわけだし。


特別豪華って言うわけでもないのよ。



それでも普段の龍馬から考えると頑張った方だと思うわ。



…って、言うか。



普段、真哉がバカみたいに食べてる姿を見てるせいかな?


龍馬にしても、総魔にしても、もっと食べたほうがいいんじゃない?って思っちゃうのよね~。



まあ、真哉みたいに際限なく食べるのも問題だとは思うけど。



でもそれぐらいの方が健康的な気はするわよね?



…って、私が言っても説得力がないかな?



両手で掴んでる菓子パンに視線を向けてみる。



むしろ私の方こそ、ちゃんと食べなさい!って怒られそうな感じかもしれないわ。



だからもう考えるのは止めようかな?



何かを諦めるような心境で、

無心になって食事を進めることにしたのよ。



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