手を…
…そして。
10分とかからずに食堂にたどり着いたわ。
同じ校舎内だから食堂って結構近いのよ。
屋上から1階まではすっっごく遠いけどね。
でもまあ、着いちゃったことで食堂に入るわけだけど。
一歩、中に踏み出すだけでため息が溢れ出るわね。
丁度お昼時ということもあって、
すでに食堂は数え切れないほどの生徒であふれかえっていたからよ。
校舎の1階にあって、
広大な面積を誇る食堂なんだけどね。
軽く2000人は入れるはずなのに、
今はとんでもない混雑を見せているわ。
「相変わらずの戦場ね、ここは」
ため息混じりに呟いてみるけれど。
総魔は気にした様子もないまま目的の場所へと歩きだしちゃう。
「あっ…。」
置いてかないでよ〜!
はぐれそうになったせいで、
人目を気にすることさえ忘れて慌てて総魔の手を捕まえてしまったわ。
うあ~。
これはマズいわね。
自分から手を繋いでおいて考えるのもどうかと思うけど。
これは結構恥ずかしい状況よね?
そっと握りしめる総魔の手の温もりにドキドキしちゃうのよ。
でも…ね。
この状況で手を離すと、
二度目はない気がするわよね?
まだまだその勇気はないし。
総魔はそこまで気を使ってくれそうにないし。
だから手を離さないためにはこのままでいるしかないのよ。
ちょっぴり恥ずかしいけどね。
せっかく手を繋いだんだから。
変に慌てるよりはこのままの方がいい気がするの。
…なんて。
色々と言い訳を考えながら総魔に手を引かれたまま歩みを進めて行く。
…だけど。
やっぱりちょっと恥ずかしいかな~。
大勢の人達の前で総魔と手を繋いで歩いてるのよ?
考えるだけで、顔が赤くなってくるわ。
うぅ~。
どうか。
…どうか知り合いが見てませんようにっ!!
心の中で、全力で願ってみる。
ま、まあ、別に見られても困ることじゃないんだけどね。
ただ、恥ずかしさは永久的に消えないと思うのよ。
でもね、でもね。
どれだけ恥ずかしくても繋いだ手を離すなんて絶対にしたくないの。
この小さな幸せはいつまでも続けていたいのよ。
誰かに見られてるかもっていう緊張感と、
このまま手を繋いでたいっていう願いが混ざり合って複雑な心境になっちゃうけど、ね。
だけど、せめて。
せめて沙織と龍馬と合流するまではこのままこうしていたいって思うのよ。
そんな私の願いが天に通じたのかどうかは知らないけれど。
知り合いに会うことはないまま、
時間だけが過ぎていったわ。




