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THE WORLD  作者: SEASONS
4月2日
23/185

魔術の基礎

試合を終えてから30分後。


校舎の北側に隣接する図書館へと移動した。


先程の美弥との試合中に思い付いた事を確認するために幾つか調査したいと思ったからだ。



…改めて魔術の基礎から調べるべきだろうな。



一見、万能にも思える魔術だが、

0から生み出される力ではない。


そこには必ず媒体となるモノが存在している。



…必要なのは魔力に関する資料だ。



数えきれないほど無数に並ぶ書棚を順番に眺める。


どの棚も綺麗に整頓されているのだが、

どれが必要なものなのかは手に取ってみなければわからない。



とはいえ。


全ての書物を確認するのは無理がある。


数が多すぎるからな。


必要な物を探すだけで一日が終わってしまうだろう。



…誰かに聞いたほうが早いか?



図書館の管理者か、あるいは受付で尋ねたほうが早いかもしれない。


そう思って周囲を見回してみたが、

近くに関係者らしき人物は見当たらなかった。



…なら、受付に向かうか?



入口付近にあったのは確認済みだからな。


素通りしてきたが戻るのは簡単だ。



…仕方がない。一度戻るか。



それほど離れているわけではないからな。


受付に向かうだけなら1分もかからないだろう。


図書館自体は広大だが今はまだ近場だ。


受付は見える距離にある。


素直に自力での探索は諦めて受付に向かおうとしたのだが、

少しだけ進んだところで足を止めた。



…どうやら、戻る必要はなさそうだな。



各地に張り出されている案内板を見つけたからだ。


どの辺りにどういった物が集められているのかが事細かに記されている。



…基本的な魔導書は何処だ?



様々な分類に分けられているようだが、

目的の基本書は図書館の西側にあるらしい。


具体的な詳細までは分からないが、

ひとまず区画分けされた書棚を探すために西側に向かうことにする。


そしてものの数分で目的地周辺に到着したのだが、

一言で西側の書棚と言っても範囲が広すぎるからな。


改めて範囲を絞るべきだろう。



…この辺りにもあるはずだ。



改めて案内板を探してみる。


周囲を見回してみると、

目的の物はすぐに見つかった。



…ここからどうするかだな。



案内板に記されている文字を眺めていく。



…探しているのは基本書だが、分類上は魔力に関する書物だな。



幾つかの単語を頼りに探してみると、

目的の書棚はあっさりと見つけることが出来た。



「この辺りから探せばいいようだな。」



書棚に保管されている書物の中から

魔術の基本書を幾つか選んで順番に目を通してみる。



…間違いないようだ。



予定通り魔力に関する書物を探し出すことができた。


もちろん手に取った全ての魔導書が理解できるわけではないのだが、

それでもおおよその内容は把握できる。



…あくまでも基本でしかないからな。



専門分野とは違い、

初心者でも理解できる内容だ。


立ち読み程度では勉強にはならないが、

ひとまず確認程度は出来る。


こうして幾つかの書物を集めれば必要な物が見つかるだろう。



…まずは調査からだ。



現状、俺の扱える魔術は単なる物真似でしかない。


今日の試合で幾つかの魔術を身に付けることはできたが、

魔術についての知識そのものを手に入れたわけではないからな。


単に相手の詠唱を真似ることで、

おそらくこうだろうと思う方法で直感的に再現しているにすぎない。



だからこそ美弥のように特定の魔術を踏み台として新たな魔術を発動させるといった応用的な扱いまでは手が出せなかった。



…今更だが、根本的な知識が足りないな。



入学試験では筆記試験がなかった。


実技だけだったから好成績だったらしいが、

筆記試験があったら首席にはなれなかっただろう。



その事実は身をもって経験している。



幼少の頃から魔術を使うことができたとはいえ、

その理論や法則などは何も理解していないからだ。



相談相手がいなかったということもあるが、

そもそも魔術師の知り合いがいなかった。



魔術を使えるようになったのもただの偶然だったからな。



直接話した事はないが、

幼い頃に旅の魔術師を見掛けたのがきっかけと言えるだろう。



何気なく真似してみたら発動できた。



ただそれだけのことだ。


それだけのことで自分にも魔術が使えるのだと気づいた。



あの日の好奇心が魔術を学び始めたきっかけになる。



…再び出会えるかは疑問だが。



その時に覚えた魔術は防御結界魔術の『シールド』と炎系魔術の『バースト・フレア』の二つ。



他にも幾つか目にはしたが詠唱が聞き取れなかったからな。


はっきりと確認できなかったことで習得には至らずにいる。



そして残念なことに、

それ以降は魔術師との出会い自体がなかった。


だから他の魔術を覚える機会がなかったのだ。



その結果として。


知識がないために魔術を学ぶ方法さえわからず、

そもそも学ぶための環境すらなかったことで今に至る。



…知らないことは多いが、これから学べばいい。



学園には入学できた。


今なら好きなだけ魔術の知識を手に入れることが出来るはずだ。



…だからこそ、現時点で調べるべき情報は二つ。



非現実的な現象を現実にしてしまえる魔術だが、

無から有を生み出せるわけではない。



調べものの一つ目は『媒介の存在』だ。



美弥も言っていたが魔力という存在だな。


これがどの程度解明されているのかを調べておきたいと思っている。



『魔力』



魔術師であれば誰もが持っている力。



…いや。



魔力があるから魔術師というべきか。



…まずは出来る限り根本的な部分から調べたいな。



魔術の成り立ちから発動手順まで。


基本的な部分から確認したかったのだが、

幾つかの書物による調査の結果から言えば魔力という媒介は間違いなく存在するらしい。



らしい、というのは『まだ解明仕切れていない』というのが現状のようだ。



現時点において魔術を使える人間と使えない人間の違いは『魔力』を持っているか否かと定義されている。



美弥も言っていたが『魔力』があれば『魔術』を使えるからだ。



魔力が底を尽けば魔術が発動できないのはもちろんだが、

魔力そのものがなければ魔術を使うことができない。



その前提を利用して美弥は俺の魔力の枯渇を狙っていたようだが、

結果的にその作戦は失敗に終わっていた。



…魔力の有無か。



魔力という媒介を術者の思う形に変えて魔術として具現化する。



その前提が存在するからこそ、

より強力な魔力を持つ者は、

より強力な魔術を使えるということになる。



魔力を想像力によって変換して魔術としての形を成す。


それが魔術の基本理論だとすれば、

必然的に全ての魔術は魔力の固まりと言ってもいいだろう。



つまり。



炎であろうと、

氷であろうと、

たとえ雷であっても。


根本的には魔力という一つの力でしかないということだ。



…だとすれば?



『シールド』は魔術に対する結界ではなく、

魔力を遮断する効果があるのではないだろうか?



魔力による防壁が発生するために、

ある程度の物理的な力も防げるのだが、

問題はそこではない。



重要なのは『魔力の遮断』だ。



これは追求する価値がある気がする。



考えられる幾つかの理論。


今はまだ机上の空論でしかないが、

ひとまず二つ目の調査も進めてみる。



知りたいのは防御用結界魔術である

『シールド』についてだ。



効果と能力に関して調べてみた。


その結果として分かったこと。


シールドの特性は予想していた通り

『魔力の遮断』を行う結界だったということだ。



その特性によって外部からの魔術を遮断すると同時に内部からの魔術も遮断してしまうという性質がある。



だから結界を展開している間は攻撃魔術が使えない。


内側からの魔術も遮断してしまうからな。


これまでの試合でもそうだったが、

攻撃に転じる瞬間には結界を解除する必要がある。



とはいえ。


結界内部でも魔術の具現化は可能だ。


魔術を通さないだけで、

使えないわけではないからな。


今はまだ習得していないが、

回復魔術程度なら問題なく使えるらしい。



…回復魔術か。



利便性は間違いない。


今はまだ使えないが、出来る限り早い段階で習得するべきだ。



一応、攻撃系も発動そのものは可能なようだが、結界を越える事は出来ないからな。


無理に発動しても結界の内部で暴発して自爆するだけになる。



…うまく工夫して攻撃と防御の両立が出来れば良いが。



そこまで万能ではないということだ。



結界の範囲は術者の意思で決められるようだが、

極端に大きくしたり極端に小さくしようとした場合。


上手く展開できない可能性があると記されている。



これはある程度の範囲内でなければ魔術として成立しないということだろう。


部分的な防御や広域展開は出来ないということだ。



…だとすると。



試合会場の特殊な結界はシールドとは異なる結界ということになる。


試合場全体が包まれていて外部への影響はない。


効果そのものはシールドに近いが、範囲が異なっている。



もっと上位の防御結界だと考えるべきだろうか?



試合場と言えばもう一つ気になることがある。


物理的な攻撃の無効化だ。



結界内だけ無効化するというのはどういう原理なのだろうか?



まだ見たことのない特殊な魔術を併用しているとは思うのだが、

手元の資料で調べた範囲では分からなかった。



…別の魔導書を調べる必要があるようだな。



基本的な魔術書には書かれていないということは上位の魔術書を調べる必要があるということだ。



ここで調べられる程度の魔術ではないということでもある。



もしも上位の魔術を使用しているのだとすれば今はまだ調べるのは早い。


今は基本の習得が最優先だからな。



…ひとまず、だ。



ここまでの調査の結論として現時点で考えるべき事はそれほど多くはない。



まずはシールドの応用だろうか。


美弥の使っていた水の衣も一種の結界といえる。


雷に弱く凍結もしやすいが、

炎に対してはかなりの効果が期待出来るからな。



耐暑性能も高いだろう。


夏場は便利な魔術かもしれない。


なにより魔力の遮断がないことが重要だ。



自身の魔術に影響はなく、炎でも氷でも自由に使えるのは大きな利点と言える。


そういう意味では攻守のバランスがとれているとも言えるな。



こうなると属性結界も調べる価値はあるだろう。


大まかに調べただけでも水の衣の他に特殊な結界があるらしい。



炎の壁。氷の鎧。土の盾など。


多種多様に様々な防御結界があるようだ。



調べれば調べるほど出てくる。


そうして一時間程度調査をしてみたところ、

ほぼ予想していた通りの結果になった。



第一に。


魔力という媒介があり、

魔力を魔術という形にしているということ。



第二に。


シールドは魔力を遮断していて、

防御魔術に関しては様々な結界があるということ。



今回調べた範囲だけでも大まかな予測が正しかったことが証明された。



…あとはどういった形で実証するかだな。



思い描く理想。


それを実現できるかどうか。


新たな魔術を習得するために、

再び試験会場に向かうことにした。


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