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THE WORLD  作者: SEASONS
4月6日
222/1390

遭遇

《サイド:御堂龍馬》



特風会を離れたあと。


僕と沙織は魔術研究所にたどり着いた。



玄関を通って内部に足を進めていく。


そして研究所に入ってすぐにある狭い受付の前で、

一旦沙織と別れることにしたんだ。



「ここでお別れかな?」


「ええ、そうね。またあとで時間が合えばお昼でも一緒に食べに行きましょう。」


「そうだね。僕の方はそんなに時間がかからないと思うから、お昼までには済ませられると思うよ」


「分かったわ。それじゃあ、お昼に食堂で待ち合わせしましょう。」


「ああ。じゃあ、またあとで」



離れていく沙織を見送ることにした。


沙織は回復系魔術を専門に行う研究室に向かうはずだ。



その背中を見送ってから、

僕はルーン研究所に向かうことにしたんだけど。


それぞれの方角に向かう道の途中で予想していなかった人物と遭遇してしまった。



進行方向の奥。


ルーン研究所に向かう階段側から姿を見せたのは『天城総魔』と『美袋翔子』の二人だった。



彼等は地下のルーン研究所へと続く階段を登って、

研究所の中を歩いてくる。



魔術研究所の通路は結構暗いからはっきりとは見えないけれど。


黙々と歩く彼に並ぶ翔子は楽しそうに微笑んでいるように思えた。



そんな二人の姿をじっとみつめていると。


向こうも僕の姿に気付いたらしい。



足を止めて僕に視線を向けてくれていた。



…さて、と。



どうしようかな?



正直に言えば少し困った状況だと思う。


ここで遭遇するなんて思ってなかったからね。



…どう話し掛けるべきかな?



少し悩みながら二人に歩み寄ってみる。



まずは挨拶からかな。



「やあ、おはよう」


「………。」



天城総魔は無言のままだけど。



「おはよう龍馬。調子はどう?」



翔子は笑顔で挨拶を返してくれた。



…翔子がいてくれると助かるね。



会話が成立するだけで少し気が楽になるからね。


ひとまず翔子に話しかけてみることにした。



「僕は健康そのものだよ。」



答えて翔子と微笑み合う。



「二人揃って研究所なんて珍しいね。どうかしたのかい?」


「…あ〜、うん。え~っと、ね…。」



僕から視線を逸らした翔子が彼に視線を向ける。


その仕草はどことなく困っているように見えた。



…もしかしたら聞かない方が良かったのかな?



余計なことを聞いてしまったかな?って思ったんだけど。


何かを訴えるかのような翔子の目に気づいた彼は、

無言のまま小さく頷いてた。



「いいの?」


「ああ、好きにすればいい。」



問いかける翔子に彼は再び頷いてる。


そんな彼の行動を確認してから、

翔子は僕に振り返ったんだ。



「えっと、ちょっとルーンに関して気になることがあったから、黒柳所長に話を聞きに行ってたのよ。」



ああ、なるほどね。


先程の確認は僕の質問に答えていいかどうか?という問い掛けだったようだね。



それに対して彼は隠す必要はないって判断したんだと思う。


それが一連の流れだろうね。



目を合わせるだけで気持ちが通じ合う二人。


それだけでも彼と心を通じ合わせる事の出来る証だって言えると思う。



僕もそうなりたいと思うけれど。


今はまだ早いかな?


とりあえず今は話を続けるしかないね。



「力を封印した影響に関してかな?」


「う~ん。どうなのかな~?それもあるけど、それはあんまり気にしてないというか…。どう説明すれば良いのかも分かんないんだけどね〜。」



翔子は分からないと言って首を傾げている。


どうやら翔子自身はあまり詳しいことを知らないのかもしれないね。


そう判断して、彼に視線を向けてみた。



「何か収穫はあったかい?」


「いや、あまり進展はないな。思った以上に情報が少ないようだ。残念だが、指輪に関する情報はほとんど得られなかった。仮説から先へ進むには自分自身で実験を進めるしかないと言われてしまったからな。」



仮説と実験、か。


彼が何を考えて何を行おうとしているのかは分からないけれど。


その言葉には興味を惹かれるものがある。



だけどそこに僕が参加することは出来ないかな。


今はまだ僕に対してそこまで心を開いてないっていう雰囲気があるからね。



だけど隠すつもりはないという意思も感じられるんだ。



だからかな?



「興味があるなら、直接黒柳に聞いてみればいい。」



彼は地下に視線を向けながら僕に情報をくれた。


昨日と同じ堂々とした態度だね。



何をしていたのか興味はあるけれど。


それを詮索するのは気が引けるかな。



どうするべきだろう?



一瞬だけ頭を悩ませたけれど。


その間に彼は歩みを進めて僕の横を通り過ぎて行ってしまう。



「あ!?ちょっと、待ってよ〜!!」



慌てて彼を追い掛ける翔子を僕は黙って見送った。



どうしてかな?


自分でも分からないけれど。



それ以上何も言えなかったんだ。



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