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THE WORLD  作者: SEASONS
4月6日
210/1378

やってみようかな?

…あ、ぅ。


…ぅぅ。



総魔の言葉を聞いた瞬間に。


絶望を感じてしまったわ。



一瞬ね。


目の前が真っ暗になってしまったのよ。



やっぱり迷惑だったのかな?


きっと怒ってるんだよね?



恐怖が私の心を支配していく。


自然と涙が浮かんできて。


泣いちゃいそうになったんだけど。



総魔は何も言えなくなってしまった私に手を伸ばして、

ポンポンと頭を撫でてくれたのよ。



「まあ、どこでどうしようと自由にすればいい。それよりも朝食はもう食べたのか?」



「…へ?」



予想してなかった質問だったこともあるんだけどね。



「…えっと〜?」



緊張のせいかな?


上手く答えられなかったわ。



「…あ、うん。一応、食べてきたよ?」


「そうか。」



何事もなかったかのように、

私の頭から手を離してしまったんだけど。



…たぶん。



私がいることを嫌がってるわけじゃないと思う。



「どうする?ついてくるか?」



投げ掛けられた質問に、

拒絶なんて感じられなかったからよ。



だからね。


私からも聞いてみることにしたの。



「…一緒にいても良いの?」



自然と聞き返してた。


たぶん、期待してるんだと思う。


傍にいさせて欲しいって甘えてるんだと思う。



だから、かな?



微笑んでくれた総魔の笑顔を見れただけで、

私の不安は一瞬で吹き飛んだのよ。



「好きにすれば良い」



…うん!



怖くなんてなかったわ。



…総魔の側にいても良いんだよね?



そう思っただけで元気が沸いて来る。



でも、ね。



大丈夫って思えたのに。


上手く言葉にできなかったの。



どうしてかな?


自分でもわからないけれど…。



「あ…。」


「?」



言葉を詰まらせてしまった私を総魔が不思議そうに見つめてる。



…ど、どうしようっ!?



総魔が見てるから、

無様な姿は見せられないわ。



…な、何か言わないとっ!



自分でも呆れるくらい焦ってばかりだけど。


どうしていいのかが分からなかったのよ。



…どうすれば総魔は笑ってくれるのかな?



そんなふうに思った瞬間に出てきた言葉は…



「ぁ、総魔、おはよ~。」



今更だけどね。


挨拶だったの。


自分でも何を言ってるのかが分からなくなってくる。



…って言うか、泣きたくなってくるわね。



まだ緊張してるのかな?


自分で自分が恥ずかしくなってきたわ。



「ほ、ほら、挨拶!挨拶してなかったから…っ」



慌てふためく私を見て、

総魔は少し笑ってた。



「ああ、そうだったな。」


「ぅ、ぁ、な、なんで笑うのよ~?」


「いや、何でもない。」


「…ぅぅ~。」


「翔子」


「へっ?」



総魔に名前を呼ばれた。


ただそれだけで心が張り裂けそうになっちゃう。


胸の高鳴りが止まらなくなっちゃうのよ。



「…な、なに?」


「おはよう」


「ぁ、ぅ。ぉ、おはよぅ」



ただの挨拶なのに。


ごく普通の挨拶なのに。


それなのに。


総魔が言ってくれたことがすごく衝撃的だったわ。



今まで総魔がまともに挨拶してくれたことなんてなかったから。



だから。



ただの挨拶でさえも、

すごく嬉しく思えたのよ。



悩んでいたことなんて全部忘れてしまうくらいに、

幸せな気持ちになれたの。



「え、えっと…。総魔はこれから朝食なんだよね?」


「ああ、そのつもりだ。」


「うん!それじゃあ、行こ〜♪」



笑顔全開で総魔の手を取って歩きだす。


ちゃんと方角があってるかも分からないくらい色々なことで頭が一杯になっていたんだけどね。


ただ総魔と手を繋いで歩いているっていう幸福だけで、

十分過ぎるくらい心の中が満たされていたのよ。



…これってもう、完全にアレよね?



恋に落ちたって感じよね?



出会ってまだ数日なのに、

私の心はもう総魔しか見えないみたい。



そんな感じになってるのよ。


もちろん恥ずかしくて誰にも言えないけどね。



だけどこうして傍にいられることが幸せだって思える自分がいるの。


だから。


この幸せがずっと続いたらいいなって思うの。



「総魔は今日もあの定食?」


「ああ、そうだな」


「今日は何かな~?」


「さあな。昨日の残り物だろう。」


「だよね~。たまには違うのを食べてみたら?」


「特に食べたいと思うものはないからな。余り物で十分だ。」


「えぇ~?十分かな~?」



どう考えても良くはないと思うんだけど。


他を選ぶつもりはないみたい。



…これはもう。



本気で料理の勉強をしたほうがいいかもしれないわね。


総魔にちゃんとしたご飯を食べさせてあげたいからよ。



だけどね?


そのためにはね?



謎の調理法を勉強する必要があるのよね?



少々とか、適量とか、謎の目分量を、よ。



アレを覚えることって出来るの?


っていうか、覚えられるものなの?



未知の領域過ぎて手を出しづらいのよね〜。



…って、いうか。



そもそも失敗した場合はどうすればいいの?



食べるの?


捨てるの?



そこからすでに分からないわ。



仮に成功したとしても、

総魔が喜んでくれるかどうかは別問題だし。


そう考えると努力する意味さえ見いだせないわね。



…だけど。



もしも総魔が喜んでくれるのなら。


やってみようかな?って思える気がしたのよ。



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