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THE WORLD  作者: SEASONS
4月2日
21/185

星印

「もう一度、試合がしたい」



生徒手帳を出しながら試合の申請をしてみると、

受付の女性は心配そうな表情を見せていた。



「大丈夫ですか?すでに連戦されていますが…」



3戦目だからな。


気になったのだろう。


先程までの男性係員ではなく別の受付で申請したのだが、

試合の記録は残っているから連戦に気付いたのかもしれない。



「問題ない。もう一度くらいは戦える。」



心配してくれる気持ちはありがたいが、

今はまだ中断するつもりがない。



「………。」



まだ何か言いたそうな表情だな。


それでも説得は無理だと思ったのだろうか。


忠告を諦めて、溜め息と共に名簿を用意してくれた。



「…こちらの名簿をどうぞ。」


「ああ」



差し出された名簿を受け取って一覧を確認してみる。



…特に変動があったようには見えないな。



多少、順位の入れ替えがあったかもしれないが、

人数的には先ほどとあまり変わっていないように思えた。



「一応確認するが、生徒の指名は誰でもいいのか?」


「あ、はい。選ぶのは自由です。ですが、名前のすぐ左側に『☆印』の付いている生徒はすでに挑戦を受けて試合を終えている方になります。」


「…ということは、☆印のある生徒とは戦えないのか?」


「いえ、相手が承認すれば試合は可能です。ただし、一日一回の強制からは外れていますので、相手が拒否してきた場合は試合できません。」



なるほどな。


これまでは問題なく対戦相手を選べていたが、

☆印の付いている生徒に関しては戦えるかどうか確認してみなければわからないらしい。



「ついでに聞くが★印はなんだ?」


「そちらは格下からの挑戦を受けて敗北した方です。すでに天城さんが倒した方々にも付けられている印ですが、★印のある方に関しては相手に確認をとるまでもなく、本日はもう格下からの挑戦は認められません。何度も敗北するのは可哀想という理由もありますが、本日内に限り、対戦相手の申請において他の方よりも優先権が与えられることになります」


「優先権?」


「ええ、そうです。複数の生徒が特定の相手を指名した場合、★印のある方が優先されることになります。さらには特例としてすでに試合を終えている☆印の方に試合を挑むこともできるようになります。」


「狙い撃ち出来るということか。」


「え~っと…まあ、そういう言い方もできますが、基本的には翌日になればどちらの印も消えますので挑戦される方はあまりおられませんね。」


「だとしたら、どういう目的がある?」


「そうですね~。主に決闘でしょうか。」


「決闘?」


「ええ、そうです。わざと格下に敗北して★印を得てから格上となる☆印に試合を申請すると、そこには強制力が発生します。ですので、どうしても戦いたい相手がいる場合はそういう抜け道を使用される方がいるようですね。」


格下から格上には試合を挑めるが、

格上から格下に試合を挑む強制力がないからだ。


校則の抜け道としてそういう方法があるということらしい。


戦いたい相手よりも番号を落とせば強制的に試合を組めるということだろう。



「格上が格下に挑む理由はなんだ?」


「どうでしょうね。特に理由というものはないと思います。ただ単純に戦いたいからという意地の問題ではないでしょうか?はっきり言ってしまえばただの喧嘩ですね。」



喧嘩か。


なるほど。


そういう生徒もいるのだろう。


説明を終えた係員は苦笑していた。



「検定試験会場の外での喧嘩や試合は校則で禁止されていますので、喧嘩を行うにも色々と規則を考える必要があるんです。なので、★印の特例を行使される方は性格に問題のある方が多いようですね。」


「…そうか。そういう話があるということは覚えておこう。」


「ええ。あまりそういう問題には関わらないほうがいいと思います。純粋に上を目指す方が健全ですから」


「そうだな。それなら次はこの生徒と試合をさせてもらいたい。」



名前の横に☆印がないことを確認した上で、

名簿の中で最も下に記されている番号の近い生徒を指名することにした。



「問題はないな?」


「はい、大丈夫です。」



名簿の一覧に並ぶ生徒の名前を指差すと、

係員は慣れた手つきで手続きを進めてくれた。



「次の対戦相手は7941番の古原美弥ふるはらみやさんですね。彼女も本日はまだ下位対戦を行われていませんので、挑戦を許可します。試合場E-5へどうぞ」



指示を受けてすぐに受付を離れる。


そして目的地である試合場に着くと、

今回はすでに対戦相手である古原美弥の姿があった。


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