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THE WORLD  作者: SEASONS
4月6日
209/1381

ある意味…

《サイド:美袋翔子》



う~ん。



通い慣れた男子寮…って言うと変な感じに聞こえるわね。



だけど。



ほぼ毎朝ここに来てるから、

何となく見慣れた感じがあるのよね~。



とりあえず今日も男子寮の門の前で総魔が出て来るのを待つことにしたんだけど。



…この状況ってどうなのかな?



完全に待ち合わせって感じよね?



でも、約束をしてるわけじゃないから待ち合わせとは言えないのよね~。



どちらかと言えば、待ち伏せ?



勝手に待ってるわけだし。



ある意味…ストーカー?



…うぅ~ん。



そうじゃないと信じたいけど。



どうなのかな~?



こういうのって見方次第よね?



だけど、やってることはそういうことなのよね~。



…でも、まあ。



尾行と監視を言い出したら、

今更っていう感じもするのよね。



散々迷惑をかけてきたわけだし。


こうして待ってるだけなら別に良いよね?



…なんて。



色々と考えちゃうんだけど。



最終的にどう思うかは総魔が決めることだから、

私があれこれ考えても意味がないのよね〜。



出来ることならさくっと寮の中に入って直接総魔を迎えに行きたいんだけど。


さすがにそれはできないわ。



男子寮に女子が入ることは禁じられているからよ。


直接内部に入ることは出来ないの。



まあ、大人の事情ってやつよね。



ただ、私の場合。


諜報部の責任者としてあらゆる場所に立ち入る権限があるから、

その気になれば入ることはできるんだけどね。



でもね?



そのためには私以外に風紀委員の仲間が必要なのよ。



さすがに私一人だけで男子寮に突入するのは認められていないわ。



風紀上の問題とも言えるけど、

男の子の部屋に女の子が入るのは色々とまずいってことよ。



だから逆に女子寮に男の子が入る事も出来ないんだけど。


だからといって寮の前で待ってるのが問題ないかといえばそうとも言い切れないのよね~。



色々と男女の仲を勘繰られるっていうのもあるんだけど。



それ以前の問題として。


立場的に風紀委員の私が堂々と男の子を待ってるっていう状況がよろしくない気がするのよ。



昨日までなら『任務だから』の一言で押し通せたんだけどね。



今はそうじゃないのよ。



単純に好きな人を待ってるだけの恋する女の子的な立ち位置なの。



この状況を知り合いに見られたりしたらね。


さすがにね。


わりと本気で恥ずかしい気がするわ。



…でもね〜。



ここで総魔を見失うと探し出すのが結構難しいと思うのよね。



最終的には風紀委員の仲間に協力してもらって捜索することはできるんだけど。



それも公私混同って感じがするじゃない?



だから無理やり協力してもらうわけにはいかないし。


適当な言い訳を考えるのもどうかと思うのよね。



特に総魔の場合。



捜索しようと思ったら結構本気で包囲網を構成しないとそうそう簡単に発見させてくれないのよ。



実際に尾行を振りきられかけた私としては、

数さえ揃えれば捜索できるなんて思えないし、

楽観も出来ないわ。



ちゃんと自分で考えて行動しなきゃいけないっていうことを嫌っていうくらい実感させられてるわけだしね。



他人任せにできる余裕はないって思うのよ。


で、まあ、そう考えて寮の入口付近で待機してるわけだけど。



門の向こうに視線を向けてもね。


全然知らない男子達がいるだけで、

肝心の総魔の姿は見えないわ。



いつ出て来るのか分からない上に、

寮にいるかどうかさえも判明してない状況だから、

ここでただじっとしてるのが正しいのかどうかさえ分からなくなってくるんだけど。



だからって直接確認しに行きたいって思っても中に入ることは出来ないのよ。



誰かに話を聞こうにも、

総魔のことを知っている生徒なんて圧倒的に少ないはずだし。



…たぶん。



私達以外に総魔と関わりのある生徒なんていないんじゃないかな?



強いて言うなら美春くらい?



それでも知り合いっていう程度でしょうし、

そもそも女子だから男子寮にはいないわ。



…となると。



誰も思い浮かばないのよね~。



友達がいないって言ってしまうと寂しい感じがするけど、

総魔はそんなことを気にしないでしょうし。



多分、私達でさえも総魔にしてみれば知り合い程度なのかも知れないわ。



だから不安になってしまうのよ。



総魔にとって私達は必要ない存在なんじゃないかな?って思ってしまうから。



だから不安になるの。



総魔はそんなことを口にしたことはないんだけど。


本当は迷惑に思ってるんじゃないかな?って不安になっちゃうのよ。



実際問題。


総魔は私達のことをどう思ってるのかな?



はっきり聞いてみたい気持ちと、

答えを聞くのが怖いって思う気持ちが混ざり合って、

複雑な気持ちになっちゃうのよね~。



今ここで待ってることさえ総魔には迷惑なんじゃないかな?って考えちゃうくらいだし。



…うぅぅぅ。



こんなふうに誰かに気を使うような考え方なんて、

今まで一度もしたことがなかった気がするわ。



…う~ん?



いつからこんなふうに考えるようになったのかな?



ただ待っているだけなのに、

自然と緊張感が込み上げてくるのよ。


どうしていいのかが分からなくなってくるの。



総魔に会いたい、とは思う。



だけどね。



迷惑だなんて思われたくない、とも思うの。



そんな両極端な葛藤かっとうで不安になる心。



徐々に逃げ出してしまいたくなる私の視界に…


不意に総魔の姿が映ったような気がしたわ。



「…総魔…?」



自分でも驚くほどの勢いで総魔を探してた。


何十人といる生徒達の奥の方で動く一人の男子。


総魔の姿を捉えて、

私の緊張は一気に高まっていったのよ。



…どうしよう!?



…って言うか。



どうすればいいの!?



いつものように話し掛けたほうが良いのかな?


それとも時間を置いて様子を見たほうが良いのかな?



…うあぁぁぁ~〜〜〜!?



どっちが正解なの!?



悩んで、戸惑う私の心。



怖がる必要なんてないって思い込もうとしてもね。


体は緊張で動かないの。



総魔に会いたいって思う気持ちと、

迷惑をかけたくないって思う気持ち。



二つの心が揺れ動いて、

身動きが取れなくなってしまったのよ。



その間にも、総魔は歩みを進めて私に近づいて来てる。



そして。


私達の距離はすぐに縮まってしまうのよ。



だから当然のことなんだけど。


門の前で立ち尽くす私の姿に総魔は気付いてくれたわ。



視線を向けて、

私を見つめる総魔がすぐそこにいるの。



ただそれだけのことで。


私の心は自分でも訳が分からなくなってしまったのよ。



…ど、ど、ど、どうしよう!?



なんて話しかければ良いのっ?



慌てふためいてしまって、

冷静になんてなれない。



何を考えれば良いのかさえ考えられないの。



そんな私の目の前まで、

総魔は近付いてきてくれたのよ。



そして。



「…毎朝待っているつもりか?」



私の行動に対して問いかけてきたの。



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