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THE WORLD  作者: SEASONS
4月6日
205/1390

女子力

翌朝、午前7時頃。



…う〜ん。



困ったわね。



流れ的にね。


断りきれなかったのよ。



沙織の家で一晩お世話になったうえに、

朝食までいただくことになっちゃったの。



…ちょっと。



と言うか。


さすがに、ね。



…甘えすぎよね?



友達の家だけど。


やっぱり気になるよね?



今日だけじゃなくて、

何度もお世話になってるから余計に思っちゃうんだけど。


申し訳なさが積もり積もって肩身が狭い気がするわ。



「遠慮しないで沢山食べてね。」



沙織のお母さんは笑顔で用意してくれるのよ。


なんかもうね。


この家の子になった気分にもなっちゃうわ。



こうなると断るのも失礼よね?



…食べるしかないよね?



沙織と成美ちゃんと並んで座って、

三人仲良くご飯を食べることになったんだけど。


こうしてると毎回思うことがあるのよね~。



それは目の前に用意されている料理のことなんだけど。



「いつ来てもお母さんのご飯は美味しいですね」



本当にそう思うから言ってみたんだけど。


沙織のお母さんは照れ臭そうな表情で笑っていたわ。



「あらあら、恥ずかしいわ。お世辞を言っても、これ以上何も出ないわよ?」


「え~。お世辞じゃないですよ~。本当に美味しいです」



本当に美味しいから。


遠慮という言葉を忘れて、

テーブルに並ぶ料理の数々を食べ続けてしまうのよ。


その結果として、

食べすぎてお腹が苦しくなっちゃうの。



…うぅ~。



もう無理〜〜〜〜〜〜〜。



「…苦しぃ。お腹一杯ぃ…。」



朝から食べるにはちょっとはしゃぎすぎたかも?


なんて。


幸せな後悔をしても虚しいだけだから、

両手を合わせて元気一杯お礼を言ってみる。



「ごちそうさまでした!」


「はい。お粗末様でした。」



沙織のお母さんも食事を終えたみたいで、

手早く食器を片付け始めたわ。



当然ここは私の出番よね?



一晩お世話になった上に、

ただでご飯を頂いてるわけだし。


片付けくらい手伝わないとダメだと思うのよ。



「…あ、私も手伝います。」


「大丈夫よ。そんなの気にしなくて良いわ。」



慌てて立ち上がろうとしたんだけど。


その前に断られちゃった。



「そろそろ学校に行く時間でしょ?後片付けくらい気を使わなくていいから、沙織と一緒に準備しなさい」


「あ~、はい…。」



特に何時に学校に行かなくちゃいけないっていう決まりはないんだけどね。


そう言われてしまうと、

それ以上何も言えなくなっちゃうのよね~。



出来れば何かしらの恩返しをしたいとは思うんだけど。


あまり無理を言える立場じゃないし。



「ありがとうございます。」



優しく語りかけてくれる沙織のお母さんに感謝しつつ。


沙織と二人で席を離れることにしたわ。



「それじゃあ、行こっか?」


「ええ、そうね」



隣に座っている成美ちゃんは紅茶を片手にくつろいでるから、

ちゃんと一声かけてから席を離れることにしないとね。



「ちょっと準備してくるわね。」


「は~い♪」



成美ちゃんに声をかけたあとで、

私達は食卓をあとにしたのよ。


そして沙織の部屋に戻ってから今まで借りてたパジャマを沙織に返して、

綺麗にたたんである制服に手を伸ばす。



もちろん、たたんだのは私じゃなくて沙織だけどね。



昨日の夜にね。


お風呂上がりに沙織のパジャマを借りたんだけど。


気が付けばいつの間にか制服はキッチリ綺麗にたたんであって大切に保管されていたのよ。



そういう心遣いというか気配りができるあたり、

沙織の女子力は高いと思うわ。



まあ、わりと適当に置いちゃう私が悪いだけかもしれないけどね。



「ありがとね~」



お礼を言ってから着替えると、

沙織は微笑んでくれていたわ。



「ううん。お礼を言うのは私の方よ。翔子が成美の面倒を見てくれるからすごく助かるわ」



う~ん。


そうかな?



「それこそお礼を言われるような事じゃないと思うけどね~。あ~、でも、私も妹が欲しいな~」



…って言うか、ね。



心の底から成美ちゃんが欲しいの!!



一人っ子の私としては兄弟とか姉妹っていう言葉には、

とてつもなく心が惹かれるのよ。



しかも!



あんなに可愛い妹がいるなんて、

沙織が羨ましすぎるわ!!



目が見えるとか見えないとか、

そんな些細なことは問題じゃないの。



私から見ても、超絶可愛い成美ちゃん。



仕種とか、言葉遣いとかね。


全部が可愛すぎる上に。


見た目だって…もう、完璧っ!!



私が家族なら間違いなく断言できるわ!



絶対、嫁にはやらん!!!



ってね。



自信を持って思えちゃうくらい超絶可愛いのよ!


それはもう見てるだけで心癒される上に、

沙織と並べば間違いなく美人姉妹と評判になるはず。



それぐらいとてつもなく可愛いの!



まあ、本人にして見れば自分の姿がどうとか、

どんな顔をしてるとか何も分からないんだけどね。



だ〜け〜ど〜!!



目が見えない事を差し引いてもね。



ぜひとも私の妹にしたいっ!!って、

全力で思えるくらい成美ちゃんに夢中なのよ。



こうなるともう夢に出てくるとかその程度の話じゃないわ。



24時間ずっと成美ちゃんと一緒にいても飽きないどころか、

時間が過ぎる事さえ忘れて楽しめる自信があるくらいなのよ。



沙織には毎日呆れられるけどね。



それでもそれくらい、

とにかくもう成美ちゃんが大好きなの。



だからこうして沙織の家に通う事だって何の苦にもならないわ。


むしろ問答無用で押しかけたいくらいなんだけど…って、

馬鹿な事を考えてる間に沙織はとっくに準備を終えてたみたいね。



「ごめん。もうちょっと待って…。」



気持ちを切り替えてドタバタと準備を急いでみる。


そんな私を見て微笑む沙織はあまり気にしてないみたい。



「焦らなくても大丈夫よ」



のんびりと待ってくれる沙織の気持ちは有り難いけれど、

誰かを待たせるっていうのは私の趣味じゃないのよ。



待つのは気にならないけど、

待たせるのはすごく気になって仕方がないの。


だから急いで準備を済ませてから、

文句を言わずに待ってくれていた沙織に振り返ったわ。



「お待たせ〜!」


「もういいの?」


「うん!準備おっけ~♪」



笑顔を浮かべる私を見て、

沙織はまだ微笑んでくれてる。



ん~。


どこかおかしいところでもあるのかな?



一瞬不安になったけど。


何かがあって笑われてるわけじゃないみたい。



何となく、楽しそうな感じ?


そんなふうに思えたわ。



で、でもでもっ。


一応気になったから、

さりげなく鏡を覗き込んでみる。



…うん。



髪の毛がはねてるとか、そんな事はないと思う。


単純に私を見てて面白かったとか、そういう感じなのかな?



たぶん、そういうことだと思う。



まあ、それはそれでどうかと思うけど。


文句を言える立場じゃないから何も言わないわ。



「それじゃあ、行きましょうか。」


「おっけ〜!」



沙織と一緒に部屋を出る。


そしてそのまま玄関に向かうと、

先に来てた成美ちゃんが見送りで待ってくれていたわ。



「おまたせ~!」


「もう準備は良いんですか?」


「うん。ばっちりよ!」


「気をつけて行ってくださいね。」


「ありがと、成美ちゃん」



心配してくれる成美ちゃんも超絶可愛いく思えるわ。


だけど朝からはしゃぎすぎるとまた沙織に呆れられちゃうから夜までは我慢しようと思うのよ。



でもまあ。


その代わりに、って言うと変な感じになるけれど。



沙織のお父さんとお母さんにも挨拶してから学校に行こうと思ったんだけどね。


沙織のお父さんはすでに仕事に行ったみたいで姿が見えなかったわ。



お母さんはまだいるみたいだけど、

食器の片付けの最中みたい。


奥の方からガチャガチャっていう音が聞こえて来るから、たぶん台所にいるんだと思う。



…う~ん。



邪魔しちゃ悪いわよね?


一々手を止めさせるのも気が引けるから、

そっとしておいたほうがいいかもしれないわ。



…そうなると。



結局、成美ちゃんしかいないわけで、

挨拶は成美ちゃんにしかできないってことになるのよね〜。



「それじゃあ、行ってくるわね。」


「成美ちゃん、またね~!」


「は~い!お姉ちゃん、行ってらっしゃい♪それと、翔子さんも行ってらっしゃい♪お母さんがまたきてねって言ってたよ。」


「ありがとう、成美ちゃん。また今晩来るからね。」


「うん!」


「成美、あまり無理はしないようにね。」


「は~い!分かってるよ。」



笑顔で見送ってくれる成美ちゃんにしっかりと挨拶をしてから、私と沙織は玄関を出たのよ。


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