全力で即答
《サイド:美袋翔子》
あっという間に時間が過ぎちゃったわね〜。
時計に視線を向けてみれば、
すでに時刻は午後11時を過ぎていたわ。
今から寮に帰ってお風呂に入って髪の毛を乾かして…って。
どう考えても日付が変わるわね。
まあ、だからって困ることはないんだけど。
ただでさえ疲れた一日だったから、
今日は寮に帰ったらお風呂に入る元気さえないまま、
おもいっきり爆睡する自信があるわ。
それはもう間違いなく寝続けるでしょうね。
確信的にそう思うのよ。
成美ちゃんと話をするのは大好きだけど。
疲れが限界に達しかけてるのは自分でもわかるくらいだし。
…今日はもう帰った方がいいかな?
そう考えて沙織に視線を向けてみる。
「どうする?」
尋ねる私に沙織はいつものように微笑んでくれたわ。
「今日は泊まっていく?」
「その方がいいよ!」
沙織が聞いてきた瞬間に。
成美ちゃんにまで誘われてしまったのよ。
「………。」
期待一杯の笑顔。
喜んでくれているのは分かるけど。
そこまで甘えて良いのかな?
「…良いの?」
「良いに決まってるよ!一緒に寝よっ!!」
聞き返してみたら、
沙織じゃなくて成美ちゃんが答えくれたのよ。
…う~ん。
笑顔で飛びついて来た成美ちゃんに「帰る」なんて言えるわけがないよね?
「…それじゃあ、お言葉に甘えようかな?」
「やった~♪」
喜んでくれる成美ちゃんの頭を撫でながら、
そのまま沙織の家に泊まることになったのよ。
「お布団の用意をしておくわね。」
応接間を出る沙織に続いて、
沙織の両親も大慌てで『準備をするから』って言って隣の食卓から出て行ったわ。
こうなるとさすがにね。
「なんとなく申し訳ない気がするかも?」
「ううん。気にしなくていいよ♪」
良いのかな?
良くない気もするけど。
笑顔を浮かべる成美ちゃんを見ているだけで、
私の心が安らいでいくのは分かるわ。
「はぁ~。可愛いすぎる〜。」
おもいっきり成美ちゃんの体を抱きしめると、
すっごく良い匂いがするのよ。
甘いというか、優しい香り。
…何て言うのかな~?
べりー系の匂い?
そんな感じ。
「成美ちゃんはホントに良い子ね~」
「は、恥ずかしいです。」
照れる成美ちゃんが可愛くて、
更に強く成美ちゃんを抱きしめてしまうのよ。
「ぁ…ぅ~」
「あっ、ごめん。ごめん」
苦しそうな声が聞こえて慌てて手を離したわ。
「痛くなかった?」
「大丈夫ですよ~」
笑顔で向き合ってくれる成美ちゃんを見ていると再び抱きしめたくなる衝動に駆られるんだけど。
今は理性の力で我慢するしかないわね。
「ん~。じゃあ、まあ、今晩はお世話になります」
頭を下げる私に成美ちゃんは上機嫌で…
「一緒に寝てくれる?」
…って聞いてきたのよ。
「もちろん!」
全力で即答したわ。
…あぁ~。
私も妹が欲しい!
こんなに可愛い妹がいたら一日中抱きしめるのにっ!!
そんな密かな野望を心に抱えつつ。
沙織の家で一泊することになったの。




