使い果たして
《サイド:栗原薫》
…さて、と。
それぞれのルーンを確認したあとで、
話を続けることにしたわ。
「どこから話せば良いのか、私にもよく分からないんだけどね。」
ひとまずルーンを使えるようになった理由を説明するために、
その時の出来事を話したほうがいいのかな?
「えっと。海軍の人達の救助活動を優先するために私達で船の護衛をすることになってから、それぞれ別行動になった時の話なんだけど。」
海戦の終盤で和泉さんを救出したあとになるわね。
私達を乗せた巨大軍船が戦闘海域を突き進んで、
セルビナ軍の攻撃によって海に沈みそうな5隻の軍船に接近してから、
まだ辛うじて生存していた海軍の兵士達の救助活動を始めた時の出来事よ。
私と成美は西側に。
御堂君は南側に。
鈴置さんと和泉さんは東側に。
黒柳さん達は北側に。
四方に布陣した私達は海に落ちた海軍の兵士達の救助活動のために、
セルビナ軍の攻撃を迎撃することになったの。
その戦いの最中において、
私と成美はルーンを使えるようになったのよ。
「成美の場合は沙織と美袋さんの力を受け継いでるからルーンを使えることに関しては驚くほどでもないと思うけど…。だけど私の場合は精神的にギリギリまで追い詰められたせいで覚醒したのかな?って思ってる。」
何も出来ない私は戦う力なんてないし、
守る力すらないから。
私に出来ることは回復だけ。
…それでもね。
私は力を願ったの。
叶えたい理想があるから。
届けたい想いがあるから。
夢を実現する為の力を願ったのよ。
その時の強い想いが形になって、
ついにルーンが生まれたの。
平和の象徴としての想いを込めたルーン。
全てを癒して全てを守るための力を手に入れたの。
…だけどね。
その過程において大きな疑問も発生していたわ。
「御堂君達と別れたあとも私と成美はセルビナ軍の迎撃を続けていたんだけど。私に攻撃力はないし、成美一人では陰陽師軍の攻撃を止められないっていう状況だったわ。」
防戦だけで手一杯の状況だったのよ。
攻撃は全て妨害されてしまうし、
足止めすらままならなかったから。
そんな絶望的な状況の中で、
成美はルーンを発動させて陰陽師軍の船を攻撃してくれたの。
沙織のルーンだったマテリアルを構えて、
初めて放ったアストラルフロウの一撃によって5隻の陰陽師軍の船の内の3隻を海に沈めてくれたのよ。
…でもね。
強力すぎる極大魔術によって成美の魔力は底を尽いてしまったわ。
元々あまり多くない魔力だったこともあって、
魔力を限界まで消費したことで力尽きてしまったのよ。
「成美がマテリアルを発動させて陰陽師軍を攻撃してくれたから船を守ることは出来たわ。だけどその代償として成美は全ての魔力を使い果たして倒れてしまったのよ。」
「「…え?」」
私の話を聞いた直後にね。
御堂君も鈴置さんも揃って成美に視線を向けていたわ。




