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THE WORLD  作者: SEASONS
4月5日
185/185

決着

《サイド:天城総魔》



これが現時点での最大出力だ。


今だかつてないほど強力な一撃となったアルテマ。



今回はあらゆる魔術をその一撃に集約して、

100を超える魔術を同時展開した。


その破壊力は翔子と比べて4倍ほどあり。


北条と比べても3倍近い魔力を込めた一撃だった。



沙織に放った一撃と比べても5割増程度の威力はあるだろう。



それほど莫大な威力を放つために魔力の大半を消費してしまうことになった。



だがその結果として広範囲に影響が広がり、

複数の試合場と検定会場そのものが崩壊状態となってしまったのだが。



相手が御堂であれば死にはしないだろう。



もちろん無事でいられるとも思っていないが確実に試合場に沈めた実感はあった。



多少の抵抗は感じたが間違いなく直撃しただろう。



となれば。


あとは結果を確認するだけだが。



御堂以上の攻撃によって粉塵が舞い。


今は御堂の姿が目視できる状態ではなかった。



…下手に吹き飛ばせば余計に悪化するか。



これ以上の攻撃は会場そのものが崩落しかねないからな。



しばらく様子を見ることにした。



そうして20秒ほどが過ぎた頃。



ようやく周囲に音が戻ってきたことで、

少しずつだが状況判断が出来るようになってきた。



すでに地震は完全に止まっている。


アルテマの発動に魔力を優先したからだ。


地震に回していた魔力が失われて会場の揺れが収まった。



今の攻撃で魔力が半分以下になってしまったが、

対する御堂はどうだろうか?



破壊の余波による粉塵が徐々に薄まり。


御堂の姿が見え始める。



その瞬間に観客達から歓声が上がった。


御堂はまだ倒れていなかったからだ。



聖剣を手にしたまま立ち続けている。



その姿を見た観客達が声援を送っているのだが肝心の御堂は動かない。



…いや、動けないのかもしれないな。



倒れていないと言えば確かにそうだろう。


だが、それがそのまま無事や安全を示すわけではない。



微動だにしない御堂の状況によって誰もがすぐに気付くことになる。


倒れてはいないが、動く気配すらないからな。



聖剣を支えにした状態で姿勢は崩していないが。


その状態のまま一歩も動く気配を見せない御堂は…


すでに限界を超えていた。



「終わったな。」



ゆっくりと御堂に歩み寄る。


それでも御堂は動かない。



体が動かず。


声も出せず。


目を逸らすことさえできない。



それでもまだ意識を失わずに戦う意志を示せるその覚悟だけは認めよう。



瞳に宿る光が失われていないことを確認した上で、

御堂の目前まで歩みを進めてからソウルイーターを振りかざす。



「この一撃でお前は眠りにつくことになるだろう。」



逃げることはできない。


抵抗することさえできない。


それでも強い意志を宿す御堂の瞳はしっかりとこちらの姿を捉えている。



「何か言い残す事はあるか?」



最後の言葉を問いかけてみると、

御堂はかすれる声で囁くように呟いた。



「…きみ、の、勝ちだ…。悔しいけど、敗北を、受け入れるよ…」



弱々しく言葉を紡ぐ御堂だが、

身動き一つ取れない状況にあっても瞳の輝きは失われていなかった。



敗北は認めても心はまだ折れていないらしい。



…御堂の覚悟も見せてもらった。



だからこそ言っておこう。



「お前は強かった。俺も一度は敗北を実感したからな」



御堂のグランド・クロスを見た瞬間に、

背筋が凍りつくような感覚を感じていた。


あの瞬間だけは本気で敗北を感じていたのだ。



ギリギリの攻防の中で。


もしも魔力が足りていなければ。


あるいはほんの少しだけ状況が異なっていたら。


あの時点で俺は敗北していただろう。



今回は上手く立ち回れたから耐えしのげた。


だが今後も上手くいくとは限らない。



…今回ばかりは運が良かったと思ってしまうからな。



たった一手の差だった。



もしも御堂が霧から脱出して、

距離を取っていたとしたら?


もしも御堂が地震を乗り越えて、

追撃に出ていたら?



…俺が敗北していた可能性は幾つでもある。



だからこそ言える。


今回はギリギリしのぎ切った。



だが、状況次第では俺が地を這う日もくるだろう。



「例えここで敗北したとしても諦めずに強くなれ。その意志の強さが何も変わらないのであればもう一度立ち上がれ。そして今度こそ俺を越えて見せろ。」



ただ一人。


俺に恐怖を感じさせた相手へのせめてもの礼儀として、

声をかけてから魔剣を振り下ろす。



その瞬間。


御堂は確かに微笑んでいた。



「…いつか必ず…」



再戦を誓う想いがその一言から感じられた。



…良い覚悟だ。



密かに微笑みつつ。


いつの日か来るであろう再戦の日を楽しみに思いながら魔剣の刃で御堂を斬る。



『ズバンッ!!!』



物理、魔力、精神。


全てを切り裂かれた御堂は苦悶の表情を浮かべながら倒れた。



「………。」



悲鳴を上げる力さえないまま。


瞬時に意識を失った御堂の手から聖剣が消えていく。



魔力が失われたことで聖剣エンペラーソードが消滅し。


御堂の体がゆっくりと崩れ落ちていった。



そして崩壊した試合場に御堂が倒れ込んだ瞬間に。



試合の勝者が確定した。



…これで、目標達成だ。



生徒番号1番、獲得。


ひとまずここで第1話終了になります。


続きは来週投稿します。

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