力の均衡
《サイド:天城総魔》
何度も交わる二振りの剣。
がむしゃらに振り回された聖剣の刃を魔剣で難なく受け止めたてみせたのだが、
おそらくその一瞬の攻防に賭けていたのだろう。
御堂は反撃に出た。
「ジャッジメント!!!」
再び発生する星のきらめきだが、
先程の展開とは違うようだ。
今回は俺に向けてではなく、
試合場全土に向けて発動させている。
光り輝く御堂の体の目前に巨大な光が現れて、
全方向に向けて星のきらめきが放たれたのが分かった。
時間を稼ぐための無差別攻撃か?
まずは地震を対処するために俺の動きを止めようと考えたのだろう。
回避不可能な範囲攻撃によってこちらを牽制し。
試合場に向けて攻撃を仕掛けようとしている姿が見えた。
悪くない判断だ。
間に合えば、だがな。
御堂にとっては手加減なしの攻撃のつもりだろう。
無差別攻撃によって破壊の嵐が試合場全土に巻き起こることになった。
だが、黙って見過ごすつもりはない。
そうさせないために。
御堂の隙を見逃してまで圧縮魔術を保管していたのだからな。
「お前はまだ、俺を甘く見ているようだな」
「…甘く?それは、どういう…?」
意味を問われる前に宣言する。
「一度目にした魔術なら自由に使えることを覚えておくといい。」
御堂の考えの甘さを指摘してから密かに圧縮していた魔術を展開してみせる。
「ジャッジメント!!!」
「なっ!?」
すでに習得していた魔術を発動させたことによって御堂の表情が凍りつく。
「そんなっ…!?」
御堂が自ら考案した独自の魔術であり、
最強の魔術でもあるジャッジメントを使用したことが信じられない様子だった。
目の前の現実を見て表情を青く染める御堂だが、
俺の魔術が御堂の劣化版ということはない。
単なる物真似ではない本物同等の威力によって、
互いのジャッジメントは共に相殺し合ってどちらも消滅して消えたからだ。
「そんなバカな…っ!?」
「言っておくが、驚いている暇はないはずだ」
驚愕に彩られる龍馬の表情だが、
有無を言わさずに御堂へと切り掛かる。
「全力で攻めると言ったのを忘れるな。」
「くっ!」
魔術が失敗した事実を受け止めきれない御堂は、
もう一つの魔術を発動させてきた。
「グランド・クロス!!!」
聖剣が光輝き。
前方に向けて突き刺すような極光が放たれる。
「吹き飛べっ!!!!!」
思いを込めて力を解放する御堂だが、
その攻撃さえもすでに見切っている。
「無駄だ。」
同質の光を放ち。
向かい来るグランド・クロスの光を切り裂いてからさらに加速する。
「まさか、グランド・クロスまでっ!?」
再び極大魔術が相殺されたことで戸惑う御堂だが、
俺はすでに攻撃態勢に入っている。
「お前の力、そのまま全て返してやろう。」
再びグランド・クロスを魔剣に纏わせて全力で斬りかかる。
「滅べっ!」
「くっ!?」
必死の抵抗を見せて振り上げる御堂の聖剣の刃と上空から振り下ろす魔剣の刃がぶつかり合った。
『ガキィィィィィィィィン!!!!!』
これまで以上の激突音が鳴り響き、
一瞬だけ両者の動きが止まる。
だが、それは本当に一瞬だけだ。
力の均衡はすぐに崩れ。
一方が急速に追い込まれていく。
「ぐっ、うう…」
必死に押し返そうとする御堂の抵抗が結果に結びつくことはない。
もうすでに、結果は出ているからだ。
「お前の負けだ、御堂。」
「違う!まだだっ!!!」
気力だけで耐え凌ごうとする御堂だが、
その思いが叶わない事は聖剣そのものが物語っている。
「残念だが、もう終わりだ」
魔剣と交わり合う聖剣が徐々に光を弱めていく。
「まっ、まさか…!?」
「そう、そのまさかだ」
「くっ!!!」
徐々に追い込まれている事実に御堂は気づいただろう。
これまでに奪われた魔力と攻撃によって失った魔力。
それらの影響によって俺の魔力が御堂を完全に越えたということに。
いや、正確に言うなら御堂の魔力が俺を下回ったと言うべきか。
魔剣に抵抗する事が出来ずに、
御堂の聖剣が刻一刻と力を失っていく。
その状況に御堂も気づいた。
「僕の…力が…!?」
全てを支配するはずのエンペラーソードが、
ソウルイーターに喰われようとしている。
「ま、まずい…っ!!」
逃げ出そうとする御堂だが、
身動きの取れない状態では逃げることさえできない。
頭上を抑えられ。
試合場に押さえ込まれている今の御堂は数分前の俺と同じ状況にいる。
違うのは互いの立場が逆転したという事実。
「ここでお前は沈む。逆転はもう…不可能だ。」




