まさしく最強
『ガキィィィィンンッッッ!!!!!!』
魔剣と聖剣が激突した。
つばぜり合う二つの刃。
じりじりと互いの間合いを詰めつつ。
どちらも相手を押し戻そうとして力を込め続ける。
…やはり、斬り裂けないかっ。
初手は互角だった。
聖剣を上回ることが出来なかったからだ。
だが、一方的に負けているわけでもない。
魔剣に影響は感じられないからな。
現時点ではほぼ互角といえるだろう。
…魔力量を上げるか?
出力を上げれば聖剣を斬り裂ける可能性はある。
だが、失敗した場合に失う魔力の量を考えると躊躇してしまう。
…今はまだ互いに様子見の段階だからな。
魔力の吸収に成功すれば優位になれるが、
御堂の能力に押し負けてしまった場合に魔力の差は一気に開いてしまうことになる。
…ただでさえ余裕がないからな。
魔力はまだ回復しきれていない。
この状況で焦りは禁物だ。
…北条戦と同じでいい。
まずは持久戦に持ち込む。
そのために魔力を温存する必要がある。
…今は御堂の魔力を削り取ることが優先だ!
ルーンの攻めぎ合う音が鳴り響く中。
無言のまま互いに力を込める。
…まずは小手調べからだ。
互いの手が緩んだと思った瞬間に流れを変える。
それぞれの手にある魔剣と聖剣が振り回され、
幾度となく斬り合う斬撃音が会場内に響き渡っていく。
一閃。
二閃。
三閃。
互いに剣を振るい。
斬り掛かり。
受け止め。
また斬りかかる。
そんな攻防が2分近く続いただろうか?
どちらも全力で攻撃を仕掛けている。
一瞬の油断が致命傷になりかねない攻防だった。
そのせいだろう。
たった2分のせめぎ合いで大幅に体力を消耗してしまっていた。
…常に全力で動いているから仕方がないが。
互いに肩で息をしてしまっている。
必死に呼吸を整える姿は見た目だけで言えば全くの互角だ。
だから、だろうか。
膠着状態ともいえる接戦のせいか、
観客達は一言も発する事も出来ずに固唾を飲んで状況を見守っている様子だった。
今回に限って言えば、
翔子でさえも応援を控えているからな。
誰も邪魔できない雰囲気があるのだろう。
…これが学園1位の実力か。
確かに強い。
学園最強と呼ばれるのも頷けるほどだ。
一撃の重みも速さも申し分ない。
ごり押しの北条も厄介だったが、
臨機応変に対応できる御堂の反応力は特筆すべきものがある。
そして戦闘の駆け引きも超一級品だ。
相手の隙を見抜く才能もずば抜けている。
こちらがほんの少し体勢を崩しただけで容赦なく攻め込んでくるからな。
これほど厄介な相手は初めてだった。
…さすがは頂点を極めた男だ。
ここまでの攻撃が一切通じていない。
それどころか的確に反撃を受けている。
全ての反撃を必死にさばいているものの。
一瞬でも反応が遅れれば即敗北に繋がってしまうだろう。
…まさしく最強だ。
北条よりも強く、
沙織よりも状況判断が早い。
確かに御堂が相手では翔子が5人いなければ実力的に釣り合わないだろう。
…だが。
これまでの攻防において、
言葉に出来ない微かな違和感も感じていた。
…どういう事だ?
どうしても一つだけ気になることがある。
この状況で、とも思うが。
この状況だからこそ、とも思うからだ。
…確かめてみるべきだろうか?
実際にどうかはわからないが、
一度確認する必要があるかも知れない。
…戦いは始まったばかりだからな。
強制的に思考を打ち切る。
まずは試合に集中するためだ。
一拍の間を置いて再び激突し合う。
ただそれだけで。
互いのルーンが発する衝撃の余波によって破壊の嵐が吹き荒れる。
…大した威力だっ!
心から思う。
御堂龍馬の実力は間違いなく第1位だ。
攻撃速度は翔子に劣るだろう。
力や体力は北条に劣るだろう。
技術や戦術も沙織に劣るだろう。
それぞれが得意とする分野には及ばない。
それぞれが得意とする分野には劣っている。
だが、それだけだ。
そんな分類など歯牙にもかけない圧倒的な破壊力。
全てを力でねじ伏せる絶対的な支配力が確かにあった。
…これが最強の力ということか。
御堂の一撃毎の破壊力が凄まじく、
剣を一振りするだけで試合場を包む結界が悲鳴を上げるかのようにギシギシと音を立てている。
この状況を思えば、
確かに結界の強化実験は必要だっただろう。
実際の目的を隠すために行われていた表向きの実験も必要な研究だったのが分かる。
御堂の攻撃を押さえ込むためには現状の結界では力不足としか思えないからだ。
試合場を包み込む結界は現段階では学園最強と言える強固なものだが、
この結界で抑え切れない力は当然学園では扱いきれない『実力』ということになる。
直接攻撃を受けている訳ではない為に即座に崩壊する気配はないものの。
御堂の攻撃の余波だけでも相当な負荷がかかっているのは確かだった。
いつ結界が破れてもおかしくと思えるほど、
結界には歪みが生じてしまっている。
…一撃の重みは簡易アルテマ級だな。
翔子に対して放ったアルテマと同程度の威力があるはずだ。
それほどの高威力の一撃が連続で放たれているとすれば、
結界に亀裂が生じていくのは当然といえるだろう。




