外出禁止
《サイド:黒柳大悟》
…さて。
試合開始まで残り2時間をきったか。
時刻は既に午後5時を過ぎている。
…まもなく日が暮れるだろう。
俺は現在、研究所の職員達から先行して第1検定試験会場にいる。
理由は研究所の幹部達を呼び出して集合をかけているからだ。
試合後の結果を考慮して拘束結界の準備を進める為でもあるのだが、
幸いなことに天城君や御堂君達はまだ姿を見せていない。
…まあ、予定よりも早く来る理由はないから当然か。
とは言え。
こちらの準備もあまり進んでいないからな。
時間はあっても順調とは言えないだろう。
幹部達に任務を与えてから僅か数時間しか余裕がなかったということもあって、
まともに準備を進める時間が足りなかったのだから当然だ。
もう少し余裕があればそれなりの形になったかもしれないが、
出来なかったことを悔やんでも仕方がないからな。
今は出来る事を精一杯やるしかない。
さしあたって拘束結界の準備を整えるしかないのだが。
…西園寺君達はまだだろうか?
会場の入口で待ち続けていると。
しばらくしてから
観測班の峰山、
分析班の藤沢、
制作班の大宮の
3人の幹部達が部下を率いて会場に到着した。
「お待たせしました。」
「よし!来たか!大宮はすぐに準備に取り掛かれっ!」
「分かりました!!」
即座に部下を引き連れて試合場へと駆け出していく大宮達を見送る。
そして次に峰山へと視線を向ける。
「西園寺君はどうだ?」
「まだもう少し時間が必要です。開始時刻までには間に合わせますが、今はまだこちらに来れる状況ではありません。」
…そうか。
やはり時間が足りないらしい。
…仕方がないな。
西園寺君の到着はもう少し待つとしよう。
「それなら藤沢君の方はどうだ?」
「おおよその解析は完了しています。あとは観測班側での結果次第で微調整が必要かと思いますが、いつでも対応可能です。」
ふむ。
この短時間ではやはりどこも無理があるか。
だが、文句を言っている暇もないからな。
「出来る限りの準備を始めよう。」
残り時間を気にしつつ。
峰山と藤沢君の二人に新たな指示を出す。
「もう一度検定会場を封鎖する。ただし今回は入場を無制限として退場のみを禁止とする!」
外部からの進入をせき止めてしまえば異変に気づかれてしまう可能性があるからな。
だったら入場を全て受け入れて、
会場からの外出だけを禁止しておけば情報が外に漏れる心配はない。
「会場の出入り口に職員を配備して退出に規制をかけろ!!これは学園の許可を得た正式な任務だ!!遠慮はいらない!徹底的に情報を封鎖しろ!!」
「了解しました!!」
検定会場の情報封鎖に向けて動き出す峰山と藤沢。
ここまでしても完全に情報を封じ込めるのは難しいかもしれないが、
今は時間さえ稼げればそれで良い。
完全な人払いを行うのは残された時間的に間に合わないからな。
今回は入場に制限をかけることを諦めて退場だけを禁じる方法をとった。
…これなら手間が少ないからな。
天城総魔が到着するまでのおよそ2時間を外出禁止にする。
その程度なら人手も少なく済むはずだ。
「誰一人として外に出すな!」
厳命の下で各係員達を強制的に引き止めて、
偶然居合わせた生徒達を強引に足止めする事にした。
その突然の行動に抗議する者も出てくるが、
そんなことに構っている暇はない。
2時間だけだと説得しながら会場の入口を封鎖していく。
…残された時間はあと僅かだ。
最悪の展開を回避するために、
着実に準備を進めて行くことにした。




