一文
《サイド:米倉美由紀》
…う~ん。
なんだか腑に落ちないわね。
別にね。
不満があるわけじゃないのよ。
ただ、ね。
なんとなくっていうくらいの気分の問題でしかないけれど。
何かが引っかかるの。
…違和感、かしら?
具体的に何がどうという話ではないけれど。
…だけど。
報告書の内容が素直には受け入れられなかったのよ。
一言でいえば気に入らなかったってこと。
大悟の宣言を聞いてもまだ信じられないと思う気持ちがあるの。
疑うっていうほどではないけれどね。
超音波という間接的な理論が納得できないって思ってしまったのよ。
『直接魔術によって影響を及ぼすのではないため回避は不可能』と書かれた一文。
そこに視線を止めながら大悟に尋ねてみる。
「実際の性能を見てみたいわ。」
「それなら現在も研究所で実験を続けているはずだ。見に来るか?」
「…ええ、そうね。」
少し険しい表情で返事をしてしまったわ。
大悟の報告を疑っているわけではないけれど。
けれど、ね。
どうして急に魔術の理論が大幅に書き換えられたのか、という部分に疑問を感じてしまったのよ。
今朝の天城総魔と北条真哉との試合において使用された理論とは全くの別物になっているからよ。
どうしてもそこに疑問を感じてしまうのよね。
「一つ。聞いてもいいかしら?」
「…あ、ああ。」
「何故、理論の変更を行ったの?」
「………。」
どうしてかしらね?
私の追求によって大悟の心臓の鼓動が一気に加速したように思えたわ。




