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THE WORLD  作者: SEASONS
4月5日
154/185

追求

《サイド:常盤沙織》



天城君の話を聞いて医務室を出たあと。


校舎の7階にある理事長室にたどり着いた私は執務中だった理事長と向かい合うことにしました。



「度々お邪魔して申し訳ありません。」


「それは良いけど、今朝来たばかりなのに今度はどんな用件かしら?」



改めてここに訪れた理由を尋ねてきた理事長ですが、

その心情は穏やかではなさそうでした。



…少し、申し訳ないですね。



決して喧嘩別れしたわけではないのですが、

半分対立関係にある私が理事長室に乗り込んできたのですから。


空気が重たくなるのを感じるのも仕方がありません。



…だけど、聞かないわけにはいかないわ。



少し緊張した雰囲気の理事長に対して申し訳ないと思う気持ちはあるのですが、

それでも私は少しだけ冷めた視線を向けながら話かけてしまいました。



「お聞きたい事があってお邪魔させていただきました。」



まずは宣言しておきます。


そして一度だけ深呼吸をしてから話を続けました。



「先ほどの試合において行われた本当の実験内容を教えていただけませんか?」


「!?」



質問を投げかけた瞬間に理事長の表情が引きつったように見えました。



…やっぱり、何か隠していたのですね。



理事長の態度を見ただけで確信が持てました。



「説明、していただけますよね?」


「…な、何のことかしら?急に聞かれても思い当たることなんて、な、何もないわよ?」


なんとか冷静さを保とうとしているようですが不自然さは隠しきれていません。


私もそうですが、

抑え切れない心臓の鼓動の高まりを理事長自身も感じているのではないでしょうか?



無理に動揺を隠そうとして、

艶やかな唇を小さく噛み締めている姿が見えてしまいました。



…はあ。



できればそうではないと信じたかったのですが。



…やっぱり、そうなのですね。



理事長の表情を見ただけで確信できました。


理事長が唇を噛みしめている時。


それは必死に考え事をしている時です。



たぶん、私がどこまで勘づいているのかを考えているのではないでしょうか?



そんな理事長の態度を眺めながら、

話を続けることにしました。



「…教えていただけないのですね。ですが、天城君からは話を聞いています。」


「か…彼が何を言ったの?」


「先ほどの試合において、魔力への『干渉』および『妨害』が行われていたと証言していました。ですが、そういった研究が行われているという報告は受けていません。」


「…っ!?」



追求を続けるごとに理事長の顔色が変わってしまいます。


どうやら天城君の推測は正しかったようですね。



「もちろん、龍馬からもそういった話は聞いていません。今回の件に関しては、龍馬にさえ無断で実験を行っていたと判断してもよろしいのでしょうか?」


「そ、それは…っ!」



言い訳すら思い浮かばずに慌てる理事長の態度から、

私の指摘が正しかったことが判明してしました。


さすがに今回の件は目に余る行為だと思います。



「私達…いえ、龍馬にさえ知らされる事のなかった実験となれば、場合によっては天城総魔に関してだけではなく、理事長とは完全な『決別』という可能性も有り得ます。」


「う…ぅぅ。」



学園に対する宣戦布告ともとれる発言ですが、

はっきりと宣言したことで理事長は完全に沈黙してしまいました。


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