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THE WORLD  作者: SEASONS
4月5日
151/185

テンプテーション

《サイド:天城総魔》



ここに来るのは2度目だな。


前回来た時と同じ席に座ってみる。


黒柳は少し離れた場所にいるのだが、

今はお茶と茶菓子を用意してくれているようだ。



しばらくしてから二人分の準備を整え終えて、

書類の束を抱えながら向かい側の席に腰を下ろした。



「まあ、お茶でも飲んで気楽にしてくれ。」


「ああ、そうさせてもらう。」



用意されたお茶を一口飲んで小さく息を吐く。


その間に黒柳が書類の束を広げて、

俺に見えるように机の上に並べた。



…これが研究資料か。



本来なら極秘文書として扱われるべき書類なのだろう。


持ち出し禁止と記されていることから書類の重要度が感じられる。



それらを机の上に並べた黒柳が話の準備を整え終えた。



「こうなった以上は隠しても仕方がないからな。きみの協力を得る事にしよう」



研究を最優先することを宣言してから説明を始めた。



「まずは基本的な部分からだが…」



隠れて行っていた実験。


その目的は拘束結界の開発であり、

対魔術師用の結界になる。



魔術名はテンプテーションと名付けられている。


誘惑、あるいは衝動という意味を持つ名前の通り、

対象となる人物の精神に干渉して魔力の流れを拡散させることを目的としているようだ。



…突き詰めれば自我の崩壊まで引き起こせそうな理論だな。



魔力そのものを失わせるほどの効果はないようだが、

対象を混乱させる程度の効果は想定しているようだ。



…まあ、ここまでは予想通りだな。



精神に干渉する魔術。


その考えを知ることができただけでもここに来た価値がある。



ただ、問題はその理論なのだが。



通常、魔術を使用する手順は術者の魔力を手や足などの特定の部位に集中させることから始まる。


そして集中させた魔力を想像力によって変換して、

炎や雷などの魔術として具現化するという流れだ。


その際の補助的な役割として詠唱を行うことになるのだが、

熟練した魔術師であれば詠唱は必要ない。



最終的な形を明確に想像できるのであれば詠唱を省略することは可能だからだ。



だがそれでも。


魔力を変換するという手順だけは省略できない。



無から有を生み出せるわけではないからな。



魔力という媒体を魔術という形に変える手順だけは確実に必要になる。



その手順である『魔力を変換する』という部分を妨害するための理論として考えられたのが拘束結界ということだ。



…完成すれば全ての魔術師にとって脅威となるだろうな。



対象の精神に干渉して撹乱させることができれば魔力を集中させることも変換させることもできないからだ。



安定しない力を無理に変換する事はできない。


その結果として魔術を封印することが可能になる。



それでも無理に魔術を行使しようとすれば失敗して暴発するだろう。



単に魔術が失敗するだけならまだいいが、

魔力そのものが暴走すれば術者の安全も保証できない。



…だから拘束結界なのか。



『魔術を使わせない』という理論は封印というよりも暴走させることを主体として考えられているからだ。



それが封印結界ではなく、

拘束結界と呼ばれている理由だな。



単純な相殺や解呪などによる対処方法ではなく、

魔術そのものを使用不可能にする事を目的としているということになる。



「…と、まあ現状ではこの方針で研究を進めているわけだ。」



…なるほどな。



確かに考え方は間違っていないだろう。



「この魔術が完成した場合。対魔術師対策としては効果的だろうな。」


「ああ、一方的に対象の魔術を使えない状態にできるわけだからな。広範囲魔術としての効果も期待できる。この魔術さえ完成すれば魔術師同士の喧嘩や争いもこれまで以上に効率よく仲裁できるようになるはずだ。」



魔術師同士の喧嘩や争い。


それはつまり『俺』を拘束する手段が確立するということだ。


だがまあ、今はそこは重要ではない。


使用方法は気にしないと宣言しているからな。


あくまでも拘束魔術が完成すればそれでいい。



…重要なのは理論だ。



どんな魔術であっても使用者次第では善にも悪にもなる。


使い方一つで命を救うことも奪うことも出来るからな。


力とはそもそもそういうものだ。



だからこそ研究の目的は考える必要がない。



…俺が欲しいのは知識だ。



理論の確立ができれば俺自身の戦術の幅も広がることになるからな。


協力する価値があると思っている。



…ひとまず。



おおよその概念は今の説明で理解できた。


そしてすでに実験の進行具合も把握できているつもりだ。



「先ほどの試合中での出来事を考慮すれば、結界としての成果は失敗したものの。魔力に干渉すること自体は成功したというところだな。」


「あ…ああ。きみの言うとおりだ。西園寺君からの報告ではそう聞いている。結界としては未完成のために残念な結果になってしまったが、魔力に干渉すること自体は成功していたらしい。とはいえ、それでも20秒の理論値の内の僅か1秒だけだったようだがな。」



期待値の20分の1か。



「それでは完成には程遠いな。」


「返す言葉もないとしか言いようがないところが頭の痛い部分だが、それでも理論としては既に確立している分野だからな。決して不可能な実験ではないはずだ。」



…ん?



どういう事だ?


すでに確立している理論?



「そうなのか?」


「ああ、きみはまだ知らないかもしれないが、校舎の地下には『生徒指導室』と言う名の隔離施設が存在している。」



…隔離施設?



聞いたことのない言葉だった。


少なくとも生徒手帳に記されている地図に隔離施設と呼ばれる場所はなかったはずだ。



いや、そもそも地下があるという記述すら見た覚えがない。



「地下があったのか?」


「そう、地下の隔離施設だ。より具体的に言えば『牢獄ろうごく』と表現してもいいだろう。」



…なるほどな。



学園内において問題を起こした生徒を幽閉ゆうへいして反省させるための部屋として生徒指導室という名の隔離施設があるらしい。



「一般の生徒が不用意に近づかないように校舎の地下にあるのだが、その施設内において魔術の使用は禁じられている。それこそ、使いたくても使えないように常時結界を展開しているからな。」



…そんな施設があったのか。



どうやら学園には俺の知らない秘密がまだまだあるらしい。



「魔術を使わせない技術はすでにあるということか。」


「ああ、そうだ。だがその結界は学園に蓄えられている膨大な魔力を流用することで強制的に魔術を解除していると思ってほしい。」



それはつまり。


結界内では常時、魔術の解呪を行っているということだろう。


だからこそそんな大規模魔術を個人で扱うのが難しいのも理解できる。



「不特定多数の不良生徒達が暴れるのを防ぐために展開している強力な結界だからな。今回は特定の範囲内だけに作用する小規模の結界が目的とは言え、大規模魔術を縮小するというのはなかなか難しい作業なのだ。」



…なるほど。



すでに存在する大規模魔術を縮小する実験だったということか。


その理由は考えるまでもないな。


特定の場所に事前に設置する技術はあっても不特定の場所で発動する手段はないということだ。



事前準備で試合場に封印結界を発動することは出来るとしても、

それが試合場以外なら発動は難しいのだろう。



研究の目的が俺の拘束である以上。


どこにいるとしても発動できる魔術でなければ意味がない。


そしてそのためには場所を選ばない術式が必要になる。


だからこその縮小化ということだ。



…だが。



だとすれば気になる部分がある。


今の説明と現在の実験の内容に違いがあるように思えるからだ。



「実験の内容は魔力に干渉して魔術を発動させないことが目的だろう?だが、既存の結界が発動した魔術を解呪しているのなら理論そのものが別物のはずだ。」


「ほう、そこに気づいたか。その辺りの違いに関しても説明するつもりではいたが、気づいてくれたのなら話が早い。詳細に関しては後ほど説明するとして、どうしてそうなったのかを先に言っておこう。」



こちらが指摘した差異に関して、

黒柳は書類の一部を指差しながら話し始めた。



「まず根本的な話になるが、大規模魔術を縮小しようと思えば、それ相応の何かを削り取らなければならないのは分かるな?」


「ああ、当然だな。」



言いたいことは理解できる。


同等効力を持たせたまま縮小することはできないからな。


魔術の範囲を狭めるだけなら不可能ではないとしても、

常時、解呪魔術を展開するという無茶を持続させるのは不可能だ。



それこそ無限に近い魔力が必要になってしまう。


だからすでに完成している魔術を縮小するとすれば、

何らかの能力を削ぎ落とさなければならない。



「それは分かる。」


「うむ。そこで問題となるのが、膨大な魔力を消費することを前提として作られた大規模魔術から魔力の縮小を行えばどうなるか?」



その答えは聞くまでもないだろう。


単純に消費量を減らせば小規模で発動するというものではないからな。


そもそもの理論が破綻する。



「単純な縮小化では発動自体が失敗してしまうのだ。だから個人で扱える魔力で発動できる結界を展開しようとしたのだが…実際にはうまくいかなかった…。」



…だろうな。



それも分かる。


魔術は理論的に組み上げるものだ。


魔力の消費量だけを調整して効果範囲を縮小するにしても効果そのものを維持しようとするのは難しいだろう。



単純に魔力の消費を半分にしたからといって半分の大きさになるわけではない。


そもそもの理論として膨大な魔力を必要としているからだ。


仮に大きさを半分にするとしても、

魔力の消費量は1割も変わらないだろう。



それでも無理に変えようとするのなら、

少なくとも大規模魔術の理論を単独で理解して改変出来るだけの実力がなければ不可能になる。



…持続的な魔術というのは、ただ単に炎や氷を生み出すのとはわけが違うからな。



対象に変化をもたらせるという技術は術者の理解力と実力が重要になる。



例えすでに存在する技術でもそれは同じだ。


複数の魔術師が協力して発動するような大規模魔術を単独で実行しようと思うのなら、

それこそアルテマ級の難易度になってしまうだろう。



並みの魔術師では実現不可能な方法だ。



…いや、単純な攻撃ではないために翼を展開しても発動は無理だろうな。



これは数の問題ではないからだ。


大規模魔術を単独で展開できるかどうかという問題になる。


こればかりは個人では解決できない。



「だから大規模魔術の縮小は諦めたということか。」


「ああ、そうだ。全く同じ理論を維持したまま個人で扱うのは不可能だからな。だから全く別の理論を考える必要があった。」



そのために。



「既存の理論を流用して、新たな技術を開発しようとしたのか。」


「そういうことになる。それともう一つ問題があってな。それは既存の大規模魔術は魔術を解除する能力に特化しているために物理的な行動を阻めないということだ。」


「どういうことだ?」


「つまり、結界の内部にいる間は魔術を使えないが、結界を出てしまえば使えるようになってしまうという欠点だな。残念ながら結界の出入りを制限する手段が既存の結界には存在しないのだ。」



試合場の結界とは違い。


結界の出入りは自由にできてしまうらしい。



「だとすれば、どうやって生徒達を閉じ込めているんだ?」



結界から出られれば魔術が使えるのなら、

閉じ込めること自体が難しいはずだ。



「だからこその地下だ。鉄骨で汲み上げられた地下室は人の手では破壊不可能だからな。唯一の出入り口である扉も鋼鉄製で耐久度は高い。魔術の使えなくなった生徒達に脱走は不可能だ。」



…物理的な障壁か。



地下に閉じ込めることによって逃亡を防いでいるらしい。


たしかにそれなら逃亡は不可能だ。



「というのも、魔術を使えなくするのは当然の処置ではあるのだが、彼らは決して囚人ではないからな。生活する上で最低限の自由は守らなければならない。施設の内部では一般的な生活をさせなければならないため。魔力そのものに影響を与えて行動不能にするわけにはいかないというのが実情になる。」



…確かに。



そこまでするわけにはいかないだろう。


例えどれほど性格に問題があるとしてもあくまでも学園の生徒だからな。


犯罪者と同様の扱いというわけにはいかないだろう。



「だからこそ、新たな研究を行う必要があったのだ。」



特定の場所に押し込めてから魔術を展開するのなら大規模魔術の縮小を考慮してもいいだろう。


だがどういう条件下でも発動できるようにするためには対象の行動そのものに影響を与える結界を展開しなければならない。



そのためには物理的に逃さないという条件も成立させなければならないということだ。



それらの条件を兼ね備えて考えられたのが魔力への干渉であり、

対象を行動不能にするという理論だった。



「…とまあ、これが現在抱える多数の問題点だな。先ほどのきみ達の試合での実験結果によって多少の改善は見込めるのだが、それでもまだまだ未完成と言わざるを得ないだろう。」



拘束できる時間が1秒から20秒になったとしても、

それで全てが解決するわけではないからな。



今回は17名の職員を動員して実験を行っていたのは間違いない。



実際に結界を展開していた職員が何人かは分からないが、

単独での展開を考えるのならまだまだ規模の縮小理論も突き詰めなければいけないだろう。



「今回の実験では何人の職員が結界を展開していたんだ?」


「4人だ。残り13名は純粋に防御結界の調査を進めていたはずだからな。」


「その4人で分担した役割を単独で扱うことは可能なのか?」


「不可能ではない、というのが現状だな。誰でもとはいかないが、俺か西園寺君なら実行可能だろう。もちろん、現状では、という条件がつくがな」


「改良して複雑になった理論を展開できる保証はないということか。」


「…そういうことだ。」



なるほどな。


黒柳が素直に認めたことで一通りの情報は出揃った。



…実験は未完成という以前の段階だな。



文字通りの試作段階だった。


現時点では未完成と呼ぶのも早いだろう。



この理論が完成して魔術が確立するまでには

時間がかかりすぎる。


どう頑張っても数日で解決できる問題とは思えないからな。



多種多様な実験を繰り返して多方面からの分析を行い。


安定した結果を出せるようになるまで時間をかける以外に解決策が思い浮かばない。



「これでは完成までに年単位の月日が必要だろう?」


「ああ、そうだ。そもそも研究開始当初は1年以内に完成させるという方針だったからな。時間がかかるのは分かっているが、だからといって保留にするわけにもいかないのだ。」



…まあ、そうだろうな。



俺が学園にいる間に。



…いや。



俺が1位にたどり着く前に完成させるのが目的だろうからな。



そうなると1年後では話にならないだろう。


黒柳を追い詰めているのは俺自身ではあるのだが、

たった数日でここまで成績を上げてきたことは学園側としても想定外の出来事だったと思われる。



…とは言え。



学園内においてすでに魔術を使用不可能にする為の結界の研究が進んでいるのは間違いない。


特定の場所においては魔術が使えないようになっているようだからな。


場所さえ限定出来れば現存する結界でも俺を封じることは出来る可能性があるということだ。



…一度経験してみるべきか?



正直に言って興味はある。



…だが。



同時に疑問も感じる。



魔術を封印するのではなく、

解呪という部分が気になるからだ。



…例えどんな大規模魔術だとしても。



魔術は魔術でしかない。


常に一定の効果を維持し続けるのが魔術だ。



…だとしたら。



ルーンはどうなのだろうか?


あるいは魔法による攻撃なら?



既存の結界では防げない気がする。



…おそらくこれは並の魔術師程度の話だろう。



最上位の生徒達まで完全に封じ込められるという保証はどこにもないと思うからだ。



…いや、むしろ不可能と言うべきか。



俺はすでに試合場の結界に影響を与えるほどの魔術が使えている。



全力で放つ『アルテマ』は結界を崩壊させることができるからな。



それにかつて実験室で見た人物も結界を破壊出来るだけの力があった。


だとすれば現存する結界よりも強固な結界が必要になるのは当然だろう。



何より俺には『吸収』という能力がある。


まだ試したことはないが、

試合場の結界も魔術である以上は魔力の供給源として使える可能性がある。


そうなると通常考えられる魔術結界で俺を押さえ込める可能性は0に近いと考えるべきだろう。



だからこそ新たな理論による拘束結界が必要になったと考えるべきだ。



完成すればどれほど強力な魔術師でも魔術が使えなくなり、

ただの一般人と大差なくなるはずの拘束結界。


その為の方程式がびっしりと書き込まれた書類には複雑な理論構築が記されていて、

見た目だけでは判断出来ない図式が雑多に並んでいる。


その内容は俺にとっても複雑過ぎてすぐに理解出来るものではなかった。



…この書類を見ただけでは把握しづらいな。



これが完成した理論であれば理路整然として見る者全てに分かりやすく書かれるのだろう。



だがこの実験はまだ試作段階であって、

要所要所において仮説的な部分がある為に余計に複雑に見えてしまう。


そのことは黒柳も理解しているようだった。



「読みにくくて申し訳ないが、これが今の現状なのだ。」



謝罪するかのように苦笑いを浮かべている。



「一応、順に説明しておこうか。」



黒柳が並べた書類順に説明してくれるのだが、

まだ理論としてあい昧な部分もあって説明そのものが矛盾する場合も多々ある。



これでは説明を聞いても聞かなくても進展しそうにない。



「当初考えていたよりも問題点が多くてな。正直、どうすればいいのか頭を悩ませていたところなのだ。」



それが素直な感想なのだろう。


実際に書類を見た限りではこの場で協力できることは何もないように思えてしまうほどだ。


せいぜい調査期間を短縮させられる程度でしかなく、

それでも完成にたどり着くまでに半年はかかるだろう。



この理論では時間がかかりすぎる。


だからと言って理論そのものに問題があるわけではない。



そうではなく。


求めるモノが多すぎて理論が複雑になってしまっているのが問題だった。



…このまま研究を続けるとするのなら、欠点を一つずつ解決するしかない。



そのためには時間をかけるしか方法がないということだ。



だとすれば別の方法を考えるべきだろうか?


書類に目を通して自分なりに理論を構築してみる。



目的にしているのは『魔力への干渉』だ。



それさえ実現できれば対象を行動不能にすることができるだろう。


逃亡防止はそのあとの問題だ。



…まずは魔力への干渉だな。



それはすでに俺にとって得意分野になっている技術といえる。



魔術を分解して魔力に変換することも、

魔力を奪って吸収することも出来るからな。



それらを擬似的に再現できれば目的を達成することは難しくないはずだ。



ただ。


魔術を解除する技術は確立されているが、

魔力を吸収する技術は確立されていないからな。


そのことも踏まえて考えなければならない。



汎用性を高めるためには複雑な理論を考えてはいけないということだ。



今回の実験において汎用性がなければ実験が完成したとは言えない。



俺だけが使える魔術ではなく、

黒柳達も使える魔術でなければ意味がないからだ。



それぞれに思惑があるとしても、

決して研究を盗みに来たわけではない。


研究に協力すると宣言した以上は

黒柳達が使える魔術を構築しなければ意味がない。



だからこそ考えるのは魔力に干渉する方法だけでいい。


それだけを実現する為の理論を頭の中で組み立てていく。



…吸収の能力は魔力の波動を変化させることで実現できる。



個々に異なる魔力の波動を均一化させることで取り込むことに成功しているからだ。



…逆に言えば。



個々に異なる魔力の波動に干渉できれば、

事実上魔術を封印することも可能だ。


本人しか扱えない魔力が他者の魔力に切り替わるわけだからな。


魔術が使用不能になるか、

あるいは暴走を引き起こすだろう。



…ここにある理論も間違いではない。



大まかな道筋は黒柳の示した理論で間違いない。



ただ所々で矛盾が出るだけだ。



それらが問題ではあるのだが、

致命的と言えるほどの欠点ではないようにも思える。



黒柳の抱える問題を解決するために。


これまでの情報を頭の中で整理してみた。



…どうすれば解決出来るのか?



目を閉じて深く黙考する。


そんな俺の行動を、

黒柳は静かに見つめていた。



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