表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月2日
15/185

色分け

庭園を離れてからたどり着いたのは第11検定試験会場だ。



場所は先程初戦を行った検定会場の隣。


格としては下から数えて二番目の会場になる。



隣と言っても会場と会場の間には数百メートルの距離があるからな。


実際には離れた場所と表現するべきかもしれないが、

見渡せる範囲内において二つの会場の間には他に建築物といえるものが何もない。



丁寧に敷き詰められた石畳の道があるだけで、

他に目印となるような類いは何もなかった。


移動の距離さえ気にしなければ隣同士と言えるだろう。


純粋な距離感だけを考えると、

広すぎる敷地を無駄にしているようにも思えるが。



実際に検定会場で行う実践形式での魔術による試合を考慮すれば、

会場周辺に余分な建築物を配置しないのは当然の判断だな。



検定試験の最中に打ち出された魔術が万が一にも会場の防壁を突き抜けて外へ漏れてしまった場合、

着弾地域周辺は炎上するか足の踏み場もないような壊滅状態に陥ってしまうだろう。



少なくとも会場の防壁を突き抜けるほどの高威力ならば地面が荒れる程度では済まないはずだ。


その辺りの危険性を考慮した結果が各施設の余裕をもった距離になる。



安全を考慮した結果として学園の敷地の半数以上がただの空き地になっているという状況はさすがにどうかと思うが、

実際に問題が起きた場合に責任をとらされるのは学園側だからな。


十分と判断できる範囲よりもさらに余裕を考慮したくなる気持ちは分からなくもない。



例え事故だったとしても、

下手に怪我人が出れば過失責任を問われる可能性がある。


むしろ怪我人程度であればまだましだが、

何らかの事情で死者が出てしまった場合は学園の責任者が軒並み断罪されかねない。


そういう政治的な問題も考えれば、

安全に安全を重ね続ける学園の方針を馬鹿にすることはできないだろう。



無駄な土地が多いことは事実だが、

だからこそ規模の大きさを誇ることもできている。



安全と無駄。



その二つを両立させた結果が現在の学園の形であり、

施設を密集させて得られる効率よりも、

施設を分散させて得られる安全性を選ぶことで、

長期的な運営を目指しているのだろう。



他の町にある学園がどうしているのかは知らないが、

少なくともジェノス魔導学園は効率よりも安全を重視する傾向にあるのは間違いない。



…だからと言って油断できるような生ぬるい雰囲気ではないな。



庭園を離れてから二つ目の検定会場にたどり着くまでの間にも、

追跡してくる人物の気配はしっかり感じ取れているからだ。



これまでの推測をもとに考えれば、

効率よりも安全を重視して距離をとっていると考えるべきだろう。



学園の方針を重視すればそう思える。



…まだもう少し様子を見るか。



監視者に関しての思考を打ちきって、

再び目の前の会場に意識を戻すことにした。



目前にそびえ立つ検定会場。


造りは先程の会場と全く同じだな。


特に違いとなるような差異は感じられない。


強いて違いを探すとすれば、

それは会場というよりも所属している生徒達の学年だろうか?



二つ目となる検定会場の入り口付近には今も数多くの生徒達が集まっているのだが、

そこに集まっているのは昨年入学した生徒達だけではないようだ。


それ以前から入学していたと思われる上級生達の姿も確認できる。



それほど数が多いわけではないものの。


2年前か、あるいは3年前に入学したと思われる生徒達の姿も確認できた。



まだ入学したばかりで各学年の正確な順番までは覚えていないのだが、

各年毎に制服の特定の箇所が色分けされているからな。


各生徒達の学年は一目で見分けられるようになっている。



男子であればネクタイ。


女子であればリボン。



そして男女ともに生徒手帳も色分けされている。


とはいえ。


学園に何年所属しているかよりも純粋な成績が重要となる学園だからな。


先輩と後輩という考え方があまり意味をなしていないのだが、

それでも制服の色の違いを見分けることで学園に何年所属しているかは分かるようになっている。



だからこそ言えるのだが、

見える範囲内に新入生の姿はなかった。



ここは先程の会場よりも上位の会場になるとはいえ、

たった一つだけ格上になるだけの会場なので少しくらいは他の新入生も挑戦にきているのではないかと考えていたのだが、

予想に反して新入生組はまだ誰もこちらの会場へは来ていない様子だった。



…つまり、この会場にいるのは全員が上級生ということだ。



見える範囲にいないだけなのか?


それとも本当にいないのかは受付で確認してみないと分からないものの。


一つだけ確かなことがある。



周囲の様子を窺っているこの瞬間もまだ監視者が近くにいるということだ。



ここでの試合も観戦するつもりなのだろうか?



監視するほどの価値があるのかどうかは実際に試合をしてみなければ分からない。


監視者には各会場の知識があるとすれば、

ある程度の推測を立てられるのかもしれないが、

こちらとしては未知の領域だからな。


試合結果は推測できない。


ただ、単純に考えて先程の会場とそれほど差がないようであれば、

見る価値のない試合になってしまうのは間違いないだろう。



…同じであれば、だがな。



そうでないことを願いたい。


先程の会場よりも優秀な生徒がいることを期待しつつ。


入り口付近にいる案内役の係員に歩み寄って、

ひとまずここでの情報を尋ねてみることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ