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THE WORLD  作者: SEASONS
4月5日
147/185

性格

医務室を出てからおよそ20分後。


学園の北側に建てられている魔術研究所へと移動した。



ここに来るのは今回で二度目だが、

目的としている場所はこの施設の地下になる。



魔術研究所の地下にある特殊な魔術を研究する部署。


通称【ルーン研究所】と呼ばれる場所だな。



名前だけで判断するならルーンを研究する場所ということになるのだが、

実際におこなっている研究はそれだけではないだろう。



先程の検定試験会場での出来事もそうだが、

本来の業務から離れた特殊な研究も行われているように思えるからだ。



むしろそういった特殊な研究を行う為に存在するといったほうが正しいのかもしれないな。



表向きには『ルーンの研究』を行っているとしても、

実際には極秘の研究を抱える部門なのだろう。



基本的な活動内容の多くがルーンの調査や研究による情報収集だとしても、

実際には何者かの指示の下で表沙汰にできない研究を行っていると思われる。



だからこそ今回のような防御結界の研究などの通常の研究部門では間に合わないような実験を一手に任されていると考えるべきだ。



その辺りの事実確認のために魔術研究所まで足を運んで、

地下にあるルーン研究所へと向かうつもりでいた。



「通ってもいいか?」


「ああ、あなたは確か…」



研究所の受付で確認してみると、

以前もここにいた職員が対応してくれた。



「天城総魔さん、でしたっけ?今日も地下ですか?」


「ああ、ルーン研究所に用がある。」


「そうですか。本日は許可を受けていませんが、通すなとも言われていませんからね。まあ、良いでしょう。他の部署に迷惑をかけないようにだけは注意してください。」


「ああ、分かっている。」


「ありがとうございます。それではこちらの通路をお通りください。」



受付で許可を得てから研究所の内部に歩みを進める。



すでに一度通っている通路だからな。


迷わず地下を目指せる。



入口から延びる通路を通り過ぎてから長い階段を下りてルーン研究所まで歩みを進めていくのだが、

今回の目的はルーンの話し合いではない。



先ほどの実験に関与していた人物に話を聞くことが目的になる。


そのためには幹部級の職員を問い詰めたいと思うのだが、

基本的に職員とは面識がないからな。


西園寺を除外すれば思い当たる人物は一人しかいない。



…まずは黒柳大悟を探すしかないか。



研究所の所長だからな。


実験内容を知らないはずがない。


上手く問い詰めれば知りたい情報を得られるだろう。



…だが。



俺の場合、翔子や沙織とは考えが違うかもしれないな。



どういう目的があるかに関係なく、

実験そのものを否定するつもりがないからだ。



…それよりもむしろ。



魔力に干渉する実験に興味を惹かれたと言ってもいい。



わざわざ研究所まで来た理由。


それは実験に協力する為だ。



…とは言え。



実験の内容に関してはまだ仮説でしかないからな。


本当に推測通りの実験が行われているのかは分からない。


その辺りを確かめる意味でも研究所に足を運んでいるところになる。



…ひとまず地下にはたどり着いた。



相変わらず薄暗い通路だ。


今日は前回以上に人の気配が感じられない。



…誰もいないのか?



受付を覗いてみたが誰もいないようだ。



たまたま席を離れているのだろうか?


それとも、普段から誰もいないのだろうか?



前回は黒柳が出迎えてくれたから何も思わなかったが、

普段はどうなっているのだろうか?



よく分からないまま受付を通り過ぎて目的の場所まで進んでみる。



誰かに遭遇したら道案内をしてもらおうと考えていたのだが。


運が良いのか悪いのか、

途中で誰かに出会うことはなかった。



…本当に誰もいないのか?



さきほどの検定会場での実験の関係で職員が出払っている可能性があるとしても、だ。



誰とも出会わないという状況はどうなのだろうか?


研究所の警備に関して疑問を感じてしまうほどだ。



…普段からこういう感じなのか?



色々と疑問を感じるが、

数分ほど歩くと目的地にはたどり着いた。



ここは以前にも一度訪れた事のある部屋だ。



扉には『所長室』と書かれている。



おそらくは多忙を極めるであろう相手だからな。


普通に考えればいないかもしれない。



そんなふうに思いながらも扉を数回叩いてみた。



「………。」



一瞬の静寂が訪れる。



…やはり留守か?



そう思った直後に。


『ガチャッ』と音を立てながら扉が開かれた。



「………は?」



俺に気付いた直後に驚いて動きを止めてしまったが、

扉の向こうから姿を見せたのは黒柳大悟だ。



…こんなにあっさり会えるとはな。



予想に反して姿を見せた黒柳と正面で向かい合うことになったのだが、

予想外だったのは向こうも同じだったのだろう。



突然の訪問に驚いた様子の黒柳はポカンと口を開けて停止している。



「………?」



そしてそのまま数秒が経過した。



「………。」



黒柳からすれば完全に予想外の出来事だったようだ。


一時停止した頭脳を無理矢理動かそうとして

余計に混乱しているように見える。



…どう対処すべきか悩んでいるようだな。



必死に頭を働かせようとしているが、

下手に時間を与えるのは得策ではないだろう。


ここは先手を打って話しかけるべきだ。



「突然で悪いが、さっきの試合で行っていた実験について話が聞きたい。」


「!?」



俺の言葉を聞いたことで、

停止していた頭脳がようやく動き出したようだな。



「あ、ああ、なるほど…。」



俺がここに来た理由を察したようだ。


これまで見せていた動揺をどうにか取り繕おうとしているのだろう。


冷静さを装う努力をしているが、

お世辞にも演技ができているとは思えない。


普段の笑顔を浮かべようとしても

どこかぎこちなさが残ってしまっているからな。



「…そうか、実験の話か。」



微かに声が震えている。


どうやら嘘をつけない性格は黒柳も同じらしい。



「その辺りに関してなら、西園寺君から説明があったはずだが…」



話の流れを変えようとする黒柳だが、

ここまで来て逃がすつもりはない。


表向きの説明を始める前に追求を続けることにした。



「俺が聞きたいのはもう一つの実験に関してだ。実験内容は『魔力への干渉』および『魔術の停止』で間違いないな?」


「っ!?」



どうやら俺の推測は正しかったようだ。


驚く黒柳の表情を見ればすぐに理解できたからな。



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