総魔の弱み
《サイド:北条真哉》
…はっ!
なるほどな。
どおりで戦い方が消極的だと思ったぜ。
やたらと消極的に戦う総魔を見ていたことでようやく弱点に気づいた。
正確に言えば弱点という表現は正しくないかもしれないが、
総魔の弱みに気づいたという意味では正しいはずだ。
あいつが必死に隠している事実。
それはあいつの魔力が
『思っていたほど多くねえ』ってことだ。
当初の予想ではあいつの魔力量は俺よりも圧倒的に多いと思い込んでいた。
それこそ俺の魔力をあっさりと飲み込んでしまうくらいに考えていたんだが、
その予想は間違っていたらしい。
総魔の魔力は想像していたほど多くはなかった。
少ないとは言わないが、
脅威と感じるほどじゃねえな。
翔子並の魔力を感じるが、
この程度なら恐れる理由にはならねえ。
ただ単純に魔力が多ければいいっていう話ではないが、
少ないよりも多い方が有利なのは事実だ。
魔力量だけで勝敗が決まるのなら沙織が学園1位になってるはずだが現実はそうじゃねえ。
魔術や魔力以上の才能が重要視されるんだ。
だからこそ俺は学園2位であり、
沙織よりも格上の存在として周囲に認められている。
吸収の能力に関して詳しいことは知らないが、
単純に一晩では魔力が戻り切らなかったのだろう。
今ならまだ魔力の総量は
『あいつを上回っている』と結論をだした。
…今ならまだ狙えるはずだ。
両手で携えるラングリッサーを構え直して、
この数分の攻防で得た情報を基に俺と総魔の実力を比較し直す。
…すでにあいつは俺の特性に気付いたかもしれないな。
だが俺はまだ本当の意味での全力を出してねえ。
特性から生み出される本当の力を気付かせない為に、
わざと手加減して行動していたからだ。
だからこそ。
俺の能力に気付いているのなら、
もう力を隠す必要はねえだろう。
…俺の能力を甘く考えている間にぶっ飛ばしてやるぜ。
今ならまだ油断しているはずだ。
…全力で突撃してやる!!
ルーンを持つ手に魔力を込める。
最強の一太刀を入れるために。
ラングリッサーの真の力を解放する。
その直後。
両手で握り込んだラングリッサーが、
熱気すら感じさせるほどの微細な振動を起こした。




