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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1352/1354

淳弥の役割

姉貴はセルビナに向かうつもりなのだろうか?



いや、考えるまでもないな。



雪を守る為にセルビナに向かったんだろう。



…だとしたら。



俺も俺の役目を果たさなければいけない。



「だが…な。説得なんて、どうすれば良いんだ?」



遠く離れたセルビナの情報を、

どうやって米倉宗一郎に伝えるかが問題になる。



本当のことは言えない。


俺が反乱軍の一人だとは言えないからだ。



それに何より俺がウィッチクイーンの弟だと言えるわけがない。



「…ったく。どうすれば良いんだ!?」



思わず叫んでみたが、姉貴の返事は返ってこない。



…はあ。



いつもいつも面倒なことばかりが俺に回って来るな。



…ったく。


…マジで癒しがほしい。



疲労感を抱えながら雪の顔を思い出してみる。



…ふう。


…雪だけが俺の唯一の癒しだな。



幼い頃から一緒に育った妹同然の存在だ。


いつも優しくて、

どんな時でも微笑みを絶やさない少女。


竜崎雪を思い浮かべただけで、

ホンの少しだけ安らぎを感じることができた。



…もう3年以上会ってないのか。


…ひさびさに雪に会いたいな。



セルビナに向かえば雪がいるはずだ。



だが。


自分の役目を放棄するわけにはいかない。



米倉宗一郎の護衛。


それが最優先だからだ。



敵対する竜の牙に秘宝を渡さない為に。


そして翔子が愛した共和国を守る為に。


何としても米倉宗一郎を守り抜く必要がある。



「なんとかするしかないんだろうな。」



呟きながら受けとった書類を眺めてみる。



…ちっ。



思っていた以上に面倒なことになっているらしい。



アストリアの消滅。



その件に関しては姉貴が雪や仲間達と共に共和国を防衛していたようだ。



秘宝による調査と分析。


そして今後の活動方針。


それら全てが記されていた。



…俺が知らない間に、かなり状況が変わっているな。



現時点で姉貴はジェノスに単独潜入中。


雪は反乱軍の仲間と共に、

セルビナとの国境に向かったらしい。


そして慶太はミッドガルムに潜伏中。



それぞれ各国に分散して行動しているようだ。



…天城総魔の遺産も問題だが。



御堂と常盤成美。


栗原薫とフェイ・ウォルカ。



…そして近藤悠輝か。



それぞれに関する詳細も全て記されている。



…とは言っても。



遺された希望の全貌は把握できていないようだ。



…まあ、当然か。



実際にどこまで影響を残せるかなんて、

力を遺した当人でさえ分からないだろうからな。



…あくまでも希望であって。



奇跡でもなければ、

夢でも幻でもない。



…実際にどうなるかは今後の展開次第ってところか。



それでも姉貴の情報によると、

今はこの5人を生存させるために行動しているらしい。



…目的は秘匿された魔女の説得か。



最終的には栗原薫さえ生存していれば構わないらしいが、

最善策として5人全員の生存を目指しているようだ。



…確かに『アレ』が仲間になるのなら竜の牙も一掃できるだろうな。



あの能力だけは反則だ。


アレにはどう足掻いても太刀打ち出来ない。



…それこそ。



秘宝を持ち出してもどうにもならないはずだ。



それほど圧倒的な能力者である『終焉の魔女』



…その説得のために俺にも協力しろって言うことか。



姉貴の指示は単純だ。



御堂や常盤成美を守りつつ、

この戦争を生き残れということになる。



…その中でも最優先されるのが栗原薫ということだ。



例え俺や姉貴が倒れるようなことがあっても、

栗原薫さえ生存していればそれで良い。



それが新たに示された方針だった。



…御堂でも常盤成美でもなく、栗原薫か。



個人的な意見で言えば翔子の能力を受け継ぐ常盤成美の護衛なら分からなくもないが、

栗原薫にどれほどの価値があるのかは疑問だな。



…姉貴も判断に迷っているのか?



栗原薫の生存が最優先と記されているが、

その理由は曖昧だった。



…栗原薫が終戦の切り札?



意味が分からない。



…姉貴も把握しきれていないのか?



あるいは。



…終戦と魔女の説得は別問題なのかもしれないな。



そもそも今回の戦争と竜の牙との争いは関連がない。



…いや。



竜の牙の暗躍によって戦争が起きたのかもしれないが、

戦争自体は俺達とは関係がないからな。



魔女が望む終戦と。


俺達が望む竜の牙の滅亡を一緒に考えるのは間違いだ。



…そうなると。



栗原薫の生存は魔女の願いであって、

終戦の切り札というのは共和国にとっての希望ということだろう。


だが姉貴が望んでいるのは栗原薫の生存によって魔女の説得を行うという話であって、

それぞれの目的と価値が違うのかもしれない。



…どちらにしても栗原薫の生存が優先に変わりはないが。



最善は5人全員の生存。


最悪でも栗原薫の生存が求められているらしい。



…まだまだ分からないことはあるが。



姉貴がいない今は書類以上の情報が得られないからな。


ひとまず姉貴か反乱軍の仲間と合流しない限り、

これ以上の情報を知ることはできない。



「仕方がない。いつもの作戦で行くか。」



書類の内容を確認してから、

即座に書類を燃やして証拠を隠滅する。



その後で次の戦場を目指して走り出すことにした。



「竜の牙を締め上げて情報を入手したように見せかけるしかないだろうな。」



方針を決めてから戦闘が続く戦場を目指す。



…例え相手が竜の牙だとしても!


…俺がいる限り、秘宝は絶対に渡さない!!



心の中で叫びながら学園内を走り続ける。



そうして再び仲間を発見した。




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