表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1351/1366

秘匿された真実

この町にいるはずのない人物。



突然現れた姉貴と向き合う俺に、

姉貴は笑顔で話し掛けてくる。



「久し振りね、淳弥。元気にしてた?」


「…どういうことだ?どうしてここにいる?」


「あなたに報告を…それと念のための『確認』よ。」



どうして学園内にいるのかを問い掛けたことで姉貴は笑顔のままで答えてくれた。



「…とりあえずはね。ちゃんと栗原薫が無事なようで安心したわ。」


「はあ?栗原薫だと?どういうことだ?」


「ん~?ああ…。」



尋ねる俺を見ていた姉貴は、

気まずそうな表情を見せてから一度だけ小さく頷いている。



「そっかそっか。あなたはまだ何も知らないんだったわね?」


「どういう意味だ!?説明しろ!!」


「ああ、もう。そんなに怒らなくても良いじゃない?焦らなくても全部教えてあげるわよ。全て…ね。」



意味深に宣言してから、

姉貴は俺に歩み寄ってくる。



「良い?今から説明することを…ちゃんと覚えるのよ?」


「だから何なんだ!?」


「だ・か・ら…。」



俺の耳元に顔を寄せた姉貴が想定外の『真実』を囁いてきた。



「『………』ということよ。」



…なっ!?



「はあああああああああああぁぁぁっ!?」



想定外の事実を聞いて戸惑う俺に姉貴が説明を続けてくる。



「天城総魔が遺した希望を導くこと。それが今の私の仕事で、その為にこの町にいるのよ。」


「ふざけるなっ!?俺は何も聞いてないぞっ!」


「それは仕方がないでしょ?話す暇がなかったんだから。」


「そんなわけないだろっ!!」



情報を流す方法なら幾らでもあったはずだ。



それなのに。



「ダメなのよ。」



姉貴はあっさりと否定してしまう。



「秘匿情報を安易に流すわけにはいかないわ。それに突然始まった戦争に天城総魔が参加するとは思っていなかったし、死を受け入れてまで共和国を守るなんて想定外だったのよ。」



それはまあ…そうかもしれないが。



「想定外の緊急事態において淳弥に連絡を送る暇なんてなかったわ。それに淳弥が海軍に参加したせいで余計に報告が遅れたのよ。いくらなんでも海の上までは部隊を派遣出来ないでしょ?」


「それは…」


「まあまあ。天城総魔に関してはこの際どうでもいいのよ。淳弥には今まで通り計画を進めてもらうだけだから。」



………。



姉貴の言葉によって俺は沈黙してしまう。



本来の『計画』を思い起こして、

姉貴の言葉に耳を傾けることにしたからだ。



「淳弥は秘宝の探索と米倉宗一郎の調査。それを続行してくれれば良いの。ただ…」


「ただ、なんだ?」


「ついでにあなたから伝えてほしいことがあるのよ。セルビナは停戦協定を破棄して共和国に攻め込んできてるってね。」



…はあっ!?



「それとね。今ここで起きてる戦闘。淳弥はすでに気付いてると思うけれど。敵は竜の牙よ。牙の連中は共和国の全ての町で一斉蜂起したようね。ジェノスだけではなくて、全ての町で戦闘が起きているらしいわ。」



…なっ!?



再び言葉を失う俺に姉貴が願ってくる。



「急いで軍を動かすように米倉宗一郎を説得してくれないかしら?直接私が行くと問題があるし、私も急いでセルビナに向かいたいのよ。雪に部隊を任せてるんだけど、あの子だけだと心配だから…。」


「雪が?」


「ええ、そうよ。今は私一人で行動してるから雪の部隊がどういう状況なのかは分からないけれど。このまま放っておくわけにはいかないわよね?」



………。



確かに姉貴の言葉が事実なら、

雪が心配なのは俺も同じだ。



「言いたいことは分かるが、話が急すぎないか?」


「仕方がないでしょう。これでも直接説明に来てあげたんだからそれだけでもありがたいと思いなさい。」



…それはそうかもしれないが。



「現段階での状況を書類にまとめておいたから、あとで確認しておいてね。」



まだ全ての事情を理解出来ない俺に姉貴が書類の束を差し出してきた。



「一応、言っておくけれど。ここに書かれている情報は部外秘よ。もしも情報が漏えいするようなことがあったらどうなるかなんて…いちいち言わなくても分かるわよね?」


「あ、ああ…。」



姉貴が念を押してくるような情報だ。


これが外部に漏れるようなことがあったら俺でさえ殺されかねないのは分かっている。



「確認後にすぐに処分する。それで良いんだろ?」


「ええ、それで良いのよ。」



書類を俺に押し付けた姉貴は、

あっさりと背中を向けてしまった。



「最後にもう一つ。まだしばらくは大人しくしてなさい。ここまで状況が悪化すればお互いにもうあとには引けないわ。竜の牙と共和国は必ずぶつかり合う。その時が私達の出番よ。」



…出番か。


…その時に俺はどこにいるんだろうな?



「体には気を付けるのよ淳弥。あなたが死ねば…悲しむ人がいるんだからね。」


「ああ、分かってる。」


「それが分かってるなら十分よ。」



言いたい放題言った姉貴は、

早々に学園を離脱してしまった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ