眼鏡
…そう言えば。
愛里が風邪をひいた時にもこんなふうに手を握ってったっけ?
懐かしい想い出を思い出しながら成美ちゃんを見つめ続ける。
「沙織の妹なのね。ホントに…可愛いわね。」
姉妹揃って美少女なのよ?
羨ましく思うわ。
…はあ。
自分でも分かっているのよ。
愛里や成美ちゃんに比べれば負けるのは認めるわ。
あまり目立たない地味な存在だしね。
だけど私だってそんなに悪くはないはず…なんて。
…考えるだけむなしいわね。
超過保護な兄貴なら聞いてる私が恥ずかしくなるくらいおだててくれるけれど。
どう考えても美少女の分類に入らないことは自分でもわかっているわ。
だから愛里や成美ちゃんが羨ましいって思うんだけど。
持って生まれた格の違いは永遠に埋まらないのよね〜。
「…とりあえず。」
成美ちゃんの手を握る右手とは反対の空いてる左手で自分の鞄に手を伸ばしてみる。
そして『ガサガサ』と鞄の中を漁りながら目的の物を取り出してみたわ。
取り出したのは眼鏡よ。
普段はあまりつけないんだけどね。
読書の時や勉強の時にはつけるようにしてるの。
だけどこれは目が悪いわけじゃなくて気分的な理由でしかないわ。
両目とも2.0だしね。
単に眼鏡をかけると気合いが入ると思ってるだけなのよ。
それでも慣れた手つきで眼鏡をかけてから再び鞄の中に手を入れてみる。
そして暇潰しに持ってきていた医学書を引っ張り出したわ。
…特にやることもないしね。
成美ちゃんが起きるまで読書でもしながら調べものでもしておこうかな?って思ったのよ。
疲労に対する的確な治療法を調べる為に医学書を開いてみる。
本来なら、こんなにのんびりとしてる場合じゃないんだけどね。
…とは言え。
焦っても仕方がないし。
私は私に出来ることをするしかないのよ。
それにね。
折角の時間を有効的に使いたいとも思うの。
…ついでだし、成美ちゃんの服も直しておこうかな?
馬鹿な男子生徒に切り裂かれた喪服は破れたままなのよ。
まあ、切られたと言っても前面のボタン部分が引きちぎられた感じだから繕うのは簡単なはず。
「…う~ん」
さすがに読書はともかくとして裁縫は片手じゃ無理ね。
「…まあ、大丈夫かな?」
すでに成美ちゃんは眠ってる様子だし。
繋いでいた手を放してから裁縫道具を取り出すことにしたの。




