本業
「薬が出来たわよ~。」
「…ありがとうございます。」
…うんうん。
ちゃんと大人しく横になっていたようね。
成美ちゃんはゆっくりと起き上がってから、
私が差し出す薬を受け取ってくれたわ。
「ぁ…。思ったよりも甘いです。」
お礼を言いながら薬を口に含んだ成美ちゃんは嬉しそうに微笑んでる。
こういう笑顔を見ると医療を学んでいて良かったって思えるのよね~。
「私が傍にいてあげるから、ゆっくり休んでいて良いわよ。」
「…はい…。」
もう一度、寝かせてあげたことで、
成美ちゃんは素直に返事をしてから目を閉じたわ。
さすがに薬を飲んですぐに眠くなるとは思わないけれど。
このままじっとしていれば数分で落ち着くはず。
「しばらく私が見てるから、御堂君は戻っても良いわよ。」
「あ、ああ…うん。分かったよ。悪いけど、成美ちゃんをお願いするね。」
「ええ、任せておいて。こういうのは得意分野だから大丈夫よ。」
本業が医師だから、
病人の面倒を見るのは苦痛でも何でもないわ。
「何かあったら連絡するから、御堂君は御堂君がやるべきことをしてくれればいいわ。」
「ありがとう。」
笑顔で見送る私に一度だけ頭を下げた御堂君は急いで医務室を出て行ったわ。
…たぶん。
次の戦場に向かうんでしょうね。
私が行っても大して役に立てそうにないし。
今は成美ちゃんが心配だから、
無理についていこうとも思わないわ。
…まあ、この状況で医務室まで襲撃されると困るんだけど。
どこに居てもその可能性は否定できないんだし、
とりあえずは大人しくしているしか選択肢はないわ。
…そっちはよろしくね。
御堂君の後ろ姿を見送ってから、
成美ちゃんに視線を戻すことにしたのよ。
「ちゃんと傍にいてあげるからね。」
何気なく成美ちゃんの手を握ってみると。
「…ありがとうございます。」
成美ちゃんは目を閉じたまま嬉しそうに微笑んでくれたのよ。
「安心して休みなさい。」
「…はい♪」
短く返事をしてから、
成美ちゃんは眠りについたわ。
「可愛い寝顔ね。」
成美ちゃんの寝顔を眺めているとね。
何故か親友の愛里の寝顔が思い浮かんできたのよ。




