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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1344/1354

二人での作戦

《サイド:冬月彩花》



…ふぅ。


…面倒ね。



一体、どれだけの侵入者がいるのかは知らないけれど。



倒しても倒しても終わりが見えないのよ。



…それに。



侵入者の一人一人が上級魔術師なのよ。



学園の生徒とは格が違う実力者。



これほどの手練が相手になると、

私や乃絵留程度の実力がなければ時間稼ぎにもならないでしょうね。



…確かに救援が必要な状況だったのよ。



当初の予想に反して、

学園の防衛力が全く機能していないわ。



…これはまずいわね。



想定外の事態。


侵入者を発見して撃退するのに、

思っていた以上に苦戦しているのよ。



…学園の壊滅と潜入者の全滅。



先に限界を迎えるのはどちらかしら?



どちらが劣勢とも言い切れない状況での交戦。


学園の校舎付近で襲撃者達に攻撃を繰り返す。



「…幻惑、蜃気楼…!」



魔術の発動と同時に、

周囲を取り囲む襲撃者達の動きが止まったわ。



私が見せた幻によって上手く混乱したようね。


その隙を狙って乃絵瑠に指示を出すことにしたのよ。



「今よ、乃絵瑠!!」


「任せておいてっ!!」



私の指示を受けた乃絵瑠がルーンを構えて光の矢を放つ。


風を切り裂いて襲撃者達に襲い掛かる光の矢は、

動きを止めた襲撃者達の体を次々と貫いていったわ。



「ぐああああっ!!!!」


「がぁぁぁぁっ!!!」


「うっ!ぐぅっ!!がはっ!!」



体を貫かれて吐血しながら倒れ込んでいく襲撃者達。


私と乃絵瑠の攻撃によって、

接近していた一部隊が壊滅したわ。



「これで何人かしら?」


「う~ん。大体40人くらい?」



乃絵瑠が指を下りながら数えているけれど。



「まだその程度なのね。」


「まあ、ね。でも、報告が正しければ、まだ100人以上の侵入者がいると思うけど…?」



…ええ、そうね。



先程援軍の要請に来た職員の報告を思い出してみる。



『まだ全貌は未確認ですが、学園だけでおよそ100人。町全体で見ると200を越える魔術師が暴動を起こしているみたいです。学園だけではなくて、役場や治安維持部隊の施設も襲われているという報告がきていますので…。』



彼女はそう言ってどこかに行ってしまったのよ。



…おそらく。



他の所にも援軍の要請に向かったんでしょうね。



好きにすればいいと思いながら、

次の場所に向かって移動してみる。



襲撃者の目的は不明だけど、

町の要所を狙っているのは確かなのよ。



学園、役場、軍事拠点。



それはまるでこの町の戦力を削るかのような行動だから。



町全体の防衛力を低下させる為に動いているように思えるわ。



だからもしもこれが先行部隊の動きで、

これから本部隊が攻め込んで来るとすれば?



…町の壊滅は避けられないでしょうね。



「学園を襲うなんて…彩花は何が目的だと思う?」


「さあ?分からないわ。」



だけど敵の実力は並の魔術師を遥かに上回っているのは確かよ。



…ウィッチクイーンには遠く及ばないけれど。



クイーンが率いていた部隊と同程度の実力はあるでしょうね。



「もしも他にもまだいるとしたら、この町は滅びるかもしれないわ。」



私と乃絵瑠だからこそ、

どうにか敵をあしらえているけれど。


他の生徒の実力では足止めさえ出来ないでしょうね。



現に数え切れないほどの犠牲者が出ていて、

確認しただけでも300人を越える生徒が惨殺されていたからよ。



…カリーナの生徒総数はおよそ3000人。



つまり。



私達が確認しただけでも1割の生徒が殺されたということ。



もちろん未確認の生徒もいるでしょうから。



…場合によっては3割以上。



最悪の展開として半数の生徒が虐殺された可能性もあるでしょうね。



学園の各地で転がる死体。


数える気にすらならないほど多くの女子生徒達の『遺体』を確認しているわ。



…特に下位の成績の生徒は即死だったようね。



抵抗さえも出来ずに、

一方的な攻撃を受けて死亡した生徒達が多くいるように思えたのよ。


主に検定会場付近にいた生徒達だけどね。



それでも学園の教師でさえも手に負えない侵入者となると。


ウィッチクイーンには遠く及ばないとは言え、

その実力は馬鹿には出来ないでしょうね。



…何が目的かは知らないけれど。



決して油断出来ないと思わせるほどの実力を持つ襲撃者達なのよ。



わざわざ口に出すつもりはないけれど。


これまでの戦闘でかなりの魔力を消費してしまったのも事実になるわ。



…何とか魔力が尽きる前に殲滅しないと。



今度は私達が殺られるかもしれないのよ。



命の奪い合いを考慮して乃絵瑠に話し掛けてみる。



「もう少し探索を行ったら、一旦安全な場所に身を潜めるわよ。魔力が底を尽いたら確実に敗北するわ。」



今優先するべきことは生き残ることよ。


命を賭けて学園を守っても、

死んでしまったら意味がないから。



「生き残ることが最優先よ。」


「ええ、そうね。それには賛同するわ。」



乃絵瑠の返答を聞いて微笑みを見せる。



「私達は決して死なない。それが最大の目的よ。」


「おっけ~!それじゃあ、その方針で!」


「ふふっ。」



笑顔を返してくれる乃絵瑠と二人で学園内を歩き続ける。


その前方で魔術の炸裂音が響き渡ったわ。



「い、いやーーーーーっ!!!」



爆発のあとに響く悲鳴。


また誰かが犠牲になったようね。



冷静に周囲に視線を向けてみる。



「敵は8人。伏兵はいないようね。」



気配を探って判断する私に、

乃絵瑠が真剣な表情で問い掛けてくる。



「今回も作戦はさっきと同じで良いんでしょ?」


「ええ、そうね。私の足止めと乃絵瑠の攻撃で良いと思うわ。」


「おっけ~!それじゃあ、行くわよっ!!」


「ええ」



短い打ち合わせを終えて戦場に駆け出す。



学園を襲う襲撃者との戦いは…まだまだ終わらないみたい。



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