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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1336/1354

平凡な女の子

《サイド:栗原薫》



…ん~。


…仲が良いわね~。



抱きしめあう二人を眺めていると、

なんだか微笑ましく思えてきたわ。



…確か芹澤里沙さんと矢野百花さんだったっけ?



もしかして私と愛里も周りから見たら、

あんなふうに見えてたのかな?



自分では分からないけど。


たぶんそうなんでしょうね。



…でもね~?



愛里は私と違ってものすごく可愛い子で、

学園でも1、2を争う美少女だったのよ。



文字通りの白衣の天使?


制服だから白衣じゃないけど。



…一部の男子には聖女として崇められていたわね。



それくらい絶大な人気を誇っていたのよ。



私の個人的な感覚で言えば、

深海さんとか成美ちゃんに並べるくらいの可愛さだと思うわ。



………。



…えっと、私?



私はほら。


どこにでもいるような平凡な女の子よ。



それなのにね。


愛里は平凡な私と仲良くしてくれて。


ずっと一緒にいてくれて。


ずっと傍にいてくれたの。



そしてこれからもずっとずっと一緒だと思っていたのに。


今ではもう二度と会えない存在になってしまったのよ。



…ふぅ。



愛里はちゃんと馬鹿兄貴に告白出来たのかな?



だったら良いな…とは思うわ。



愛里が兄貴を好きなことくらいは以前から知っているからよ。



はっきりとは口に出さなかったけどね。



だけど行動を見ていれば、

それくらいは分かるわよね?



だから…って言うわけじゃないけれど。



馬鹿兄貴が天城君と一緒にアストリアに向かうと知って、

追いかけるように学園を旅立った愛里の気持ちは何となく分かるのよ。



…はぁ。



兄貴はちゃんと応えられたのかな?



実際にどうなのかは知らないけど。


激しく疑問を感じてしまうわね。



兄貴はいつでもどんな時でも、

私のことだけを考えて行動していたからよ。



…過保護というか何と言うか。


…まあ、さっきの人と比べれば断然マシだけどね。



実の兄に命を狙われる状況って…どんな関係なの?



色々と疑問を感じるけれど。



あの兄妹に比べれば、

兄貴の過保護はまだまだ全然良いと思えるわね。



…って言うか。


…上には上がいるのね~?



そんなことを考えながら、

仲が良い二人を眺めているとね。



「そう言えば…栗原さん。」



御堂君が歩み寄ってきたの。



「ん?どうかしたの?」



振り返って訪ねてみるとね。



「どうしてジェノスにいるんだい?」



今になって尋ねてきたのよ。



「え?ああ…そのこと?」



まあ、今となっては来る必要がなかったっていう話ではあるんだけどね〜。



「今更感はあるんだけど…。御堂君達がアストリアに向かう前にね。マールグリナに立ち寄った時に、私が沙織からノートを受け取った時のことは覚えてる?」


「ん?あ…ああ、そういえばそんなこともあったね。」


「うん。まあ、それが理由なんだけどね。」



とりあえず説明を続けるために、

鞄の中から一冊のノートを取り出すことにしたの。



「これ、覚えてるでしょ?」


「ああ、総魔のノートだね。」



…ええ、そうよ。



あの時はまだ誰のノートかは知らなかったけれど。


色々と調べている途中で多分そうじゃないかな~とは、思っていたのよ。



だけど…やっぱりそうなのね。



ひとまず隣にいる成美ちゃんに視線を向けてから話を続けることにしたわ。



「このノートを解析した結果。一応ここに書かれてる魔術を使えるようになったの。」



それでね。



「せっかくだから成美ちゃんの瞳を治療しようと思ってジェノスまで来たんだけど…。」



予想外なことにね。



「成美ちゃんの瞳はすでに見えるようになっていたから、完全に私の出番がなかったのよね~。」



「す…すみません。」



私がここにいる理由を説明したことで、

成美ちゃんが申し訳なさそうに頭を下げてくれたわ。



…でもね?



これって誰かが謝るような話でもないわよね?



「あ~。良いの、良いの。私が勝手に来ただけだから、気にしないでね。」



成美ちゃんの頭を撫でつつ御堂君に振り返る。



「それで、ノートはどうする?私が預かっていても良いけど。返した方が良いかしら?」


「あ、いや。それは栗原さんが持っていてくれれば良いよ。僕が持っていてもそこに書かれている内容は理解できないからね。」



…ん~?


…そういう問題なのかな?



「まあ、私はどっちでも良いけどね。」


「うん。あ、それとは別に他にもノートがあるから、迷惑でなかったらあとでまた別のノートも栗原さんに預けていいかな?僕が持っていても宝の持ち腐れだしね。使える人が持っていたほうが良いと思うんだ。」



…他のも?


…それはそれでどうなのかな?



私が預かる必要なんてない気がするけど。



「まあ、御堂君がそうしたいならそれでも良いわ。」



断る理由はないから受け取ることにしたのよ。



まあ、受け取る理由もないんだけどね。



だけどわざわざ拒絶する必要もないわよね?



そう考えて成り行きに任せることにしたの。



「まあ、それはそれとして…。」



改めて成美ちゃんに視線を向けてみる。


そして成美ちゃんの瞳を見つめてみる。



「?」



不思議そうに私を見つめ返す成美ちゃんの瞳を見つめながら、

根本的な疑問を問い掛けてみることにしたのよ。



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