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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1332/1354

竜崎雪

見た目で分かる強者の貫禄。



北条辰雄さんと思われる人物が周囲の兵士さん達に指示を出しながら私を見つめています。



「えっと、北条辰雄さん…ですよね?」


「ああ、そうだ。」



小さく頷いた北条辰雄さんは、

私の精霊を睨むように見つめながら問い返してきました。



「お前は何者だ?見たところ、魔術師のようだが…。」


「あ、はい。そうです。」



北条さんの問い掛けに答えるために、

笑顔で宣言しようと思います。



「みなさんを助けに来ました。国境の防衛と、みなさんの生存の為に『協力』させていただきます。」



一旦精霊から降りて北条さんに歩み寄り、

自己紹介のために名前を名乗ることにしました。



「私は雪と言います。竜崎雪りゅうざきゆきです。」


「な…っ!?竜崎だとっ!?」



名前を告げた瞬間に、

北条さんの表情が驚愕に変わりました。



「何故ここにっ!?」



驚く北条さんの気持ちは理解できますが、

今は説明をしている時間がありません。



「敵対するつもりはありません。みなさんの安全と共和国の為に、ご協力します。」


「竜崎が協力だと…!?」



敵対の意思がないことを示すために頭を下げる私を見た北条さんは戸惑っている様子でしたが、

ひとまず私は頭を下げたままで話を続けることにしました。



「今の私達は竜の牙ではありません。その理由はまだ言えませんが…信じてください。」



頭を下げて願う私を見て、

北条さんは沈黙しています。



「………。」



何か考えている様子なのですが、

何を考えているのかまでは私にも分かりません。



でも多分きっと。


私を信じるかどうか?ということだと思います。



改めて北条さんと向き合って見つめ合う私に、

北条さんが静かに問い掛けてきました。



「何故…協力を?」


「共和国を竜の牙から守る為です。その為にセルビナの迎撃に協力します。」



はっきりと答える私を見て、

北条さんは更に悩んでいる様子でした。



「言っている言葉の関連性が理解できないが…そもそも一人で何が出来る?」



…えっと。


…何が出来るか、ですか。



5万のセルビナ軍に取り囲まれた状況で、

たった3千の共和国軍に私がいても何も変わらないという意味でしょうか?



…確かに。



見た目だけで言えば、

信じてもらえなくても仕方がないかもしれません。



自分でいうのも何ですが、

かなり幼い見た目なのは自覚しています。



実際にまだ16歳なので、

子供扱いされても仕方がないとは思うんですけど。


私が参戦しても状況は何も変わらないと思われるのは少し心外です。



「もちろん一人ではありません。すでに部隊を南北に展開しています。私の合図と同時にセルビナ軍の側面に突撃を開始する手筈です。」


「ほう。」



自信を持って答える私を見て、

北条さんは覚悟を決めた様子でした。



「良いだろう。お前を信じて協力を受けよう。どのみちこのままでは全滅は必至だ。例え裏切られるとしても結果は同じだからな。」



…裏切る、ですか。



そんなふうに思われても仕方がない理由もあるんですけど。


今回に限って言えば本心からの協力になります。



「裏切るつもりはありません。少なくとも…現時点で共和国が蹂躙されるのは私達にとっても都合が悪い展開ですから。」


「…ははっ!なるほどな。そういう理由なら文句はない。」



下手に信じてほしいと願うよりも、

こちらの打算を示したほうが受け入れてもらえるようですね。



「ならば見せてもらおうか。」



北条さんが右手を差し出してきます。



「竜崎の力を…な。」



…望むところです。



北条さんの手を握り返してから、

私も笑顔で応えることにしました。



「こちらこそ国境警備隊の実力を見させていただきます。」


「ふははっ。大した度量だな。」



戦場の真ん中で笑顔を浮かべる私を見て、

北条さんも笑っていました。



…どうやら警戒を解いてもらえたようですね。



「自由にしろ。お前達が何をしようと口出しするつもりはない。」



私の行動の自由を認めてから、

北条さんは槍のルーンを手にして戦場に視線を向けました。



「わざわざこんな危険地帯にまで一人で飛び込んできたお前の勇気を信じよう。」


「ありがとうございます!」


「ははっ!」



楽しそうに笑ってから再び指揮をとり始める北条さんの背中を眺めていると。


私も自然と笑顔でいることが出来ました。



何となくですが、

お父さんを見ているように思えたからです。



…頼もしい人ですね。



そんなふうに思いながらも、

戦況の確認の為に再び精霊に乗り込むことにしました。




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