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THE WORLD  作者: SEASONS
4月5日
133/185

鉄の掟

《サイド:美袋翔子》



「すまないが、美袋君と常磐君は少しここで待っていてくれないかな。」



…え?



どういうこと?



理由が分からないまま、

私と沙織は足止めされてしまったのよ。



それなのに。


総魔は私達を気にせずに試合場に向かってしまったわ。



…あ~もう〜。



置いていかないでよ~。



呼び止めたいけど、

黒柳所長が邪魔するせいで声をかけられる雰囲気じゃないのよね。



…うう~。



全然私達を気にしてくれないのよ。


ちょっと、と言うか、

結構寂しかったりするんだけど。


総魔らしいとも思えるわね。



…まあ、それはそれとして。



追いかけるのは断念して、

道を塞ぐ黒柳所長に向き直ってみることにしたわ。



「…何を企んでいるんですか?」


「いやいや、企むと言うほどのことではない。」



…嘘くさいわね。



笑って誤魔化そうとしてるけど、

どう考えても何かあるはずなのよ。


それなのに黒柳所長は教えてくれないみたい。



「それにきみが思うような心配は何もない。今回の実験の目的は一瞬で終わるからな。その後は自由にしてもらうつもりだ。」



…実験?



総魔には告げなかったけれど、

何らかの実験を行うつもりでいるようね。


そのあとは自由にしていいって言ってるけど、

何の実験をするつもりなのかは教えてくれなかったわ。



…う~ん。



何をしようとしてるのかな?


理事長から離反した私達は何も聞いてないのよ。


知り合いから情報を集めるにしても今から校舎に向かっていたら肝心の試合が始まっちゃうし、

戻ってくる前に試合が終わってるかもしれないわ。



…そもそもどこまで情報が流れてるか分からないのよね。



さすがに研究所内の情報を調査できるような仲間なんていな…いこともなかったわね。



…あいつに聞ければ話が早いんだけど。



それこそ何処にいるのかが分からないのよ。



…まあ、私が抜けたからだけどね。



一次的な離脱ではあるけれど、

諜報部の責任者だった私が活動を自粛してるせいで本来の仕事まで止まってるはずなのよ。


だからその穴埋めとして代理を務めてくれている生徒がいるんだけど。


全ての仕事を丸投げしてるような状況だから

何処にいるのかが分からないのよね〜。



…あいつならここで何が行われてるのかも知ってそうなんだけど。



今何処にいるのかが分からないから調べようがないのよ。



…う〜ん。困ったわね。



「どういうことだと思う?」


「…私にも分からないけれど。私達が近くにいると不都合な実験なのは間違いないでしょうね。」



…やっぱりそう思うよね〜。



私と同じように何も知らない沙織も不安を感じてる様子だったわ。


だけど黒柳所長が答えてくれる雰囲気は全然ないし。


それどころか本気で私達を排除しようとしているように思えるのよ。



…こうなると動けないわね。



笑顔の奥から感じられる気配が明らかに戦闘を考慮しているように感じられるからよ。


残念だけど黒柳所長には勝てないわ。


生徒としてなら私も沙織も間違いなく最上位よ。


総魔に負けたことで番号が下がったとは言え、

私達の実力は学園の教師達でさえ黙って道を開けるくらいなの。



だけどそれほどの実力があっても絶対に勝てない相手はいるわ。



目の前にいる黒柳所長もその一人。



かつて国内最強の魔術師と讃えられた米倉宗一郎元代表を師として仰ぐ黒柳所長の実力は、

国内において10本の指に数えられるほどの天才魔術師って言われているの。



学園内では頂点を競い合う私や沙織でさえも黒柳所長が相手だと手も足も出ないくらい実力に差があるのよ。



そのことを私達は十分すぎるくらい理解しているわ。



黒柳所長と理事長の二人には勝てないから。


この二人だけは絶対に敵に回してはいけないのよ。



それがこの学園の鉄の掟で、

その掟を破ろうものなら容赦ない制裁が待ってる。



そのことも私と沙織はちゃんと知ってる。



…これまでの学園生活で何度も見てきたしね。



黒柳所長と理事長の圧倒的な実力を何度も確認してきたのよ。



だから目の前に立ちはだかる黒柳所長と争うことはできない。


戦いを挑んでも敗北するのは目に見えてるから。



いろいろと気になるけど、

今は大人しくするしかないということよ。



そんなふうに考えながら隣にいてくれる沙織に視線を向けてみると。



「………。」



沙織も同じことを考えていたようね。


ただ静かに頷いてから大人しく後退し始めたわ。



…う~ん。



何だか納得できない出来事ばかりだけど。



「まあ、仕方がないわね。」



試合場には近づけない。


それだけははっきりしてるから。



だから私達は黒柳所長が道を開けてくれるまで大人しく待つことにしたのよ。


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