救援要請
《サイド:黒柳大悟》
…ふう。
「各地の情報をまとめるというのも面倒な作業だな。」
ため息を吐きながら戦争に関する報告書をまとめ続ける。
今朝早くから続々と届いた各地の情報を書類にまとめて報告書として仕上げる作業を行っていたのだが、
長時間の作業によってそこそこの疲労が蓄積している気がした。
「まだまだ終わりそうにないな。こうなったら西園寺君にでも協力を頼むべきか?」
指示を出せば黙々と手伝ってくれるだろう。
だがその代わりに黙々と冷ややかな視線を浴びることになるのは間違いないとも思う。
「西園寺君は有能だが、下手に仕事を増やすとあとが面倒だからな。」
助けを求めたい心境だが、
余計な心労を抱え込まないために一人で作業を進めるしかない。
そうして終わりの見えない書類整理を続けている途中で『ドンドンッ』と扉が叩かれた。
「所長!!」
…ん?
慌てた様子の声だな。
丁度、今考えていた人物の声が聞こえたことで扉に視線を向けてみることにする。
「どうした西園寺君。珍しく落ち着きがないな。」
常に沈着冷静。
それが西園寺君に対する個人的な評価だったのだが、
どうやらそんな俺の言葉が気に入らなかったらしい。
「今はふざけている場合じゃありません!」
俺の許可を得るまでもなく、
西園寺君が室内に駆け込んで来た。
「大変なんです、所長!地上から救援要請が来ています!!」
…なにっ!?
「救援要請だと!?」
「急いでください!」
「あ、ああ…っ」
驚く俺の腕を強引に引いて歩き出す西園寺君が部屋の外へと強制的に引きずり出していく。
「急いでいるのは分かったが、まずは状況を説明してくれ。」
話を聞いてから対策を考えようと思ったのだが、
どうやらその暇さえないようだ。
「研究所が襲撃されています!!地上の戦力では防ぎ切れないようです!」
「なんだとっ!?」
理解が追い付かない俺を引き連れて、
西園寺君は通路を駆け抜けていく。
「急いでくださいっ!!」
大声で叫ぶ西園寺君に逆らうのは時間の無駄だろう。
こうなったら実際に自分の目で確かめるしかない。
「ちっ!状況が掴めないが仕方がない!とにかく地上に向かうぞ!」
気持ちを切り替えて移動を優先する。
そして西園寺君と共に地上を目指す。
所長室を離れてから地下通路を抜けた先にある地上へ続く階段。
そこにはすでに多くの職員達が集まっている様子だった。
「どうやら迷っている場合ではなさそうだな。」
事実確認はあとでもできる。
まずは問題を解決するのが先だ。
「地上へ急ぐぞ!!」
指示を出してから勢いよく階段を駆け上がる。
そんな俺を追いかけて、
職員達も一斉に階段を駆け上がっていく。
地上の状況は不明だが。
研究所を守る為に戦場へと急ぐことにした。




