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THE WORLD  作者: SEASONS
4月5日
131/185

二人揃って

自室を出てから数分後。



寮を出て校舎にある食堂に向かおうとしたところで、

今日も翔子の姿が見えた。



「おはよう!総魔」



相変わらず元気一杯の笑顔で挨拶をしてくる翔子だが、

その隣には何故か沙織もいる。



「おはようございます。」



礼儀正しく頭を下げて挨拶をしてきた。



…どういうつもりだろうか?



昨日は敵同士だったとは思えない態度だ。



…また何か用でもあるのだろうか?



美袋翔子と常盤沙織。


二人の表情には穏やかな笑顔しか見えない。


どちらもそうだが、

昨日の試合において命懸けで戦ったとは思えない雰囲気だ。



…面倒ごとでなければ良いが。



二人の態度に不自然さを感じながらも、

ひとまず挨拶を返してから歩み寄る。



「二人揃って何か用か?」



わざわざ二人揃って何をしに来たのか?


要件を問い掛けてみると、

翔子は照れ臭そうな表情でここに来た目的を話してくれた。



「別に用ってほどじゃないんだけどね~。一緒にご飯を食べに行かない?って思っただけ。」



…食事か。



その程度なら断るほどの理由はないが、

翔子だけならともかく沙織まで一緒にいる理由がわからない。



「その為に、わざわざ待っていたのか?」


「ええ、そうよ。何か問題でもある?」



…いや、問題はないな。



それだけなら何の問題もない。


無邪気に微笑む翔子に別の目的があるようには思えなかった。


本当にただそれだけの理由で待っていたのだろう。



翔子の性格であれば分からなくもない話だ。


それはいい。


問題は翔子の隣だ。



隣にいる沙織の存在が不自然に思えてしまう。


翔子と違ってほとんど関わりがないからな。


沙織までここにいる理由が理解出来なかった。



…どういうつもりだろうか?



さりげなく視線を向けてみると、

俺の視線に気付いた沙織が自分から歩み寄ってきた。



「え…と、その…。誤解のないように先に言っておきますね。私も翔子と同じく天城君の調査に関する内偵から外れることにしました。理由は翔子とは違いますが、あなたを疑う必要のない人物だと判断したからだと、そう思っていただいて構いません。」



…疑う必要がない、か。



どういう理由でそう思うようになったのかは知らないが、

今の説明が事実であれば沙織も俺の監視を断ってきたということだ。



…ただ。



『翔子とは違う理由がある』という部分をあえて強調したように感じられた。



…何か意味があるのだろうか?



気にしすぎだと言われればそうかもしれないが、

おそらく気のせいではないだろう。


沙織の言葉に含まれる本心は分からないが、

翔子と同じように敵対は望まないという考えにたどり着いたらしい。



こちらからしてみれば二人がどういった行動をとろうと気にするつもりはないのだが、

敵対するつもりがないと言われれば突き放すこともできない。



…無闇に敵対したいわけではないからな。



最終的には自由にすればいいと思うだけだ。



「どういう経緯があるのかは知らないが、好きにすればいい。」



敵対する気がないのであれば、文句を言うつもりはない。


それぞれに事情があるだろうが聞き出すつもりもないからな。


ひとまず翔子に視線を戻してから本来の話を聞いてみることにした。



「食事くらい構わないが、それよりも北条がどこにいるか知っているか?」


「え?あ~、アレね。残念だけど今どこにいるのかは知らないわ。あのバカならさっさと朝食を食べた後に準備運動をして来るって言ってどこかに行っちゃったから。」



準備運動か。


何をしているのか分からないが翔子達も居場所を知らないらしい。


それでも今の話で気持ちを切り替えることはできた。



すでに北条は試合に向けて行動しているようだからな。



間違いなく気合いは十分だろう。



…果たして上手く魔力を誘導して勝てるかどうか。



多少の不安はあるが今から焦っても仕方がない。


あとのことはあとで考えるしかないからな。



ひとまず今は翔子と沙織と共に食堂に向かうことにした。


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